全国約1,200自治体が直面する深刻な”移動”問題を、人材育成とツールで解決する 地域共創事業「Community Driveプロジェクト」が本格的に始動!

株式会社日建設計

~人口4万人・高齢化率3割超の富山県黒部市を皮切りに、住民・行政・企業がともに地域の福祉と移動問題を考え、行動する新しいまちづくりモデルを構築~
2024年度 国土交通省採択のモビリティ人材育成モデル事業

 福祉のDXを推進する一般社団法人SMARTふくしラボ(所在地:富山県黒部市、代表理事:前田潤)と建築・土木の設計監理、都市デザインを行う組織設計事務所である株式会社日建設計(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大松敦)、複雑な情報を図解で可視化する株式会社図解総研(所在地:東京都文京区、代表:近藤哲朗)は、地域の移動課題解決を図るための人材育成とツール開発を目指すCommunity Driveプロジェクトを発足します。本日より、多様な人が集い、様々な公的セクター間での移動課題を整理し、住民主体で話し合い、地域のモビリティの現状を可視化するワークショップの開催をスタートします。半年にわたるワークショップの開催を通じて、来年2月には本プロジェクトの報告会を開催予定です。

(左から、図解総研近藤哲朗、日建設計羽鳥達也、SMARTふくしラボ小柴徳明、日建設計吉備友理恵)
 地域の移動は、全国の地方都市が抱える大きな課題の一つです。人口4万人弱で高齢化率約32%(全国平均は約29%)の黒部市と同じように人口減少・高齢化が進み、高齢者の移動について同様の課題を抱えていると考えられる市町村は、全国1,718自治体のうち70%を超えています(総務省統計局 令和2年国勢調査)。また、高齢者の免許返納後の移動手段、子どもの通学や習い事の送迎、災害時の移動支援や公共交通の維持、末端配送の物流など多くの場面で資源が足りず、「移動」の課題が山積しています。一方で、黒部市では、福祉分野の移動資源(福祉事業所などが持つ送迎車両など)は、約210台の車両があり、送迎時中心の稼働に留まる中で、維持経費が年間約2億2千万円発生しています(SMARTふくしラボ2021年調査)。今後、既存の移動資源を地域全体で集約ならびに共有する新たな仕組みの実装に加えて、それぞれの地域単位で課題解決に取り組む人材の育成が必要になります。

 Community Driveプロジェクトでは、地域(Community)の動きを加速(Drive)させる人材である「コミュニティー・ドライバー」の育成を図ります。また、開発する研修プログラムでは、実際に課題解決に取り組む地域で、未成年やシニアを含む地域住民や行政、企業など多様なセクターが集まり、データを活用して対話し自分たちの未来の地域の移動を考えていきます。住民に主体性が生まれ、合意形成が促進し、「自分たちの移動を自分たちで考えていく」マインド醸成を目指します。

 将来的には同じ課題に直面する市町村に横展開を見据えた上で、SMARTふくしラボが黒部市で先駆的に取り組んできた移動課題解決の調査研究の知見、日建設計のまちづくりや都市デザインの知見、図解総研の複雑な課題を可視化する力を融合させ、このプロジェクトを立ち上げ地域の移動課題解決に取り組みます。

 Community Driveプロジェクトを主導するSMARTふくしラボは、これまで福祉分野における様々な地域課題に対してデジタルやDXの推進を図り、官と民を繋ぐ共創プロジェクトを実施し取り組んできました。本プロジェクトでは、生み出した人材育成や研修プログラムでまちづくりの新しい手法を創出し、他の地域にも展開していきます。将来的には、黒部市を日本全国だけでなく、世界から少子高齢化が進む社会に必要なソリューションを提供するスタートアップや企業がまち全体で実証実験に取り組める「Age Techバレー」をつくり、日本全体の課題解決のスピードアップを目指します。

 日建設計は、主に人口減少が進む地域の各々の状況に応じて、モビリティが人やモノに限らず水やガス、電気なども混載して移動し、インフラの代わりになるしくみ「モビリティ インフラ システム」を提唱し研究を重ねてきました。建築や街の実際のデータを基にした概算では現状のインフラを維持することと比較した場合、大半の地方でこのモビリティによる最適配送によって大幅にコストを削減できる可能性が示唆されました。Community Driveプロジェクトの先に、この仕組みの実装を見据え取り組んでいきます。

 図解総研は、様々な社会課題を可視化し、より多くの市民が地域の課題解決の参画しやすい環境を目指します。これまで図解総研は介護業界の地域の課題など、複雑な課題の構造を可視化し課題同士の関係を整理することで、何を解決するべきかの議論ができる土台を生み出してきました。同じ業界や地域の課題といっても、個々人や立場によって見え方が異なります。そうした多様な目線からの課題を図解という手法によって可視化することによって、認識を共有し、違いを乗り越えて建設的に議論するための土台作りに取り組んでいきます。

 まず第一弾の取り組みとして地域住民や行政参加型で地域のモビリティの現状を可視化する2つのワークショップを7月26日に開催します。なお、以降9月、11月、1月にも実施し、2月12日(東京:日建設計PYNTで予定)には、Community Driveプロジェクトとの取り組みの発表会と地域の移動の未来を考える「ミライドライブ」フォーラムを開催いたします。

【モビリティ可視化ワークショップ概要】
①多様な公的セクターとの「移動課題整理と可視化WS」:仕事人編

■日 時: 2024年7月26日(金)13:30~15:30(13:00に開場いたします)
■会 場:黒部市国際文化センターコラーレ 創作室( 富山県黒部市三日市20)
■主催者:Community Driveプロジェクト (一般社団法人SMARTふくしラボ/株式会社日建設計/株式会社図研総研)        
■参加者:行政・公的機関職員(市役所、県庁、陸運支局、介護保険、社会福祉協議会)
     多様な部署から15名~20名程度を予定
■内 容:公的機関や専門職(仕事)として、移動課題解決に取り組む中で、課題の要因や解決する際の障壁を洗い出し、整理します。

②移動課題解決に向けて話し合う「移動の未来を考えるWS」:市民編 *報道公開
■日 時: 2024年7月26日(金)18:00~20:00(17:30に開場いたします)   
■会 場:黒部市国際文化センターコラーレ マルチホール( 富山県黒部市三日市20)
■主催者:Community Driveプロジェクト(一般社団法人SMARTふくしラボ/株式会社日建設計/株式会社図解総研)
■参加者:地域住民(多様な世代:児童生徒、学生、若者、子育て世代、共働き、市外在住者、障がい者、一人暮らし、後期高齢者、免許返納者)30名~50名程度を予定
■内 容:様々な立場の住民が感じる移動課題やありたい姿、所有している移動資源を共有し、課題解決策のヒントや将来の地域移動のあり方を導き出します。

Community Driveプロジェクト設立に当たり、一般社団法人SMARTふくしラボ プロジェクトマネージャー 小柴徳明は以下のように述べています。
私たちが目指す未来は、移動課題に限らずコミュニティをドライブさせることです。コミュニティを動かす「人」を育て、自分たちでしくみをつくる「プロセス」を踏み、そこに新しい「技術」を活用する。そうすることで、コミュニティは動き出すと信じています。コミュニティをドライブさせることでまちが元気なる、これこそがまちづくりだと考えます。
Community Driveプロジェクトの先には、それぞれの地域が「サスティナブル・コミュニティ」持続可能なまちになっていくことを目指しています。

株式会社日建設計 設計グループ 部長 羽鳥達也は以下のように述べています。
大規模建築の避難計画を応用し沿岸地域の津波避難リスクを可視化する「逃げ地図」をつくるワークショップを通して、日本中の課題に取り組む人々と対話を重ねてきました。その経験を踏まえると、課題や手法を一方的に提供するのではなく、それを地域住民と一緒に見つけ、手法を利用する意義を共有することが、地域課題を自分事としてとらえてもらえることや、取り組みの継続につながることが分かりました。
より複雑な移動課題をうまく解決するには、運用側と利用側のお互いの信頼が欠かせないと考えており、信頼構築を念頭に置いた対話手法の開発やサービス情報の可視化について、日建設計が長年培ってきた都市開発や建築設計のノウハウを活用してこの課題解決に貢献できればと思っています。

株式会社図解総研 代表取締役 近藤哲朗は以下のように述べています。
これまで、地域の課題や業界の課題など、関係者が入り乱れた複雑な社会課題を図解によって可視化してきました。課題が複雑であればあるほど、関係者間の目線は揃いにくく、対話が難しくなり、対立構造が生まれたり、表層的な課題ばかりが取り上げられることがあります。関係する方々とともに複雑な課題をどのように可視化し、どのように構造的に課題にアプローチしていくべきかを考える機会が、あらゆる領域で求められているように感じます。地域の移動にまつわる様々な課題も、日本全国で起こる構造的な課題です。移動の課題と一口に言えども、移動ができない・しにくいことで引き起こされる課題は幅広く、通勤通学、通院などの日々のルーティンにとどまらず、産業や教育、生活全般に関わるあらゆる機会、目的を阻害する要因になりえます。こうしたクリティカルな課題を可視化し、構造的にアプローチする、弊社図解総研の得意とする “図解で考える技術” そのものを、より多くの方と共有し、貢献できたらと考えています。

■Community Driveプロジェクトについて
地域における移動の課題や未来に向き合い解決策を導き出し、地域(Community)の移動を促進(Drive)する人材である「コミュニティ・ドライバー」の育成と必要になるプログラムならびにツール開発を目指すプロジェクトです。福祉のDXを推進する一般社団法人SMARTふくしラボ(所在地:富山県黒部市)と建築・土木の設計監理、都市デザインを行う組織設計事務所である株式会社日建設計(所在地:東京都千代田区)、複雑な情報を図解で可視化する株式会社図解総研(所在地:東京都文京区)により2024年7月に発足しました。開発する研修プログラムでは、実際に課題解決に取り組む地域の住民や企業、行政といった多様なセクターが集まり、データ活用をしながら、対話し、自分たちで未来の地域の移動を考えていきます。その過程で住民に主体性が生まれ、合意形成が促進し、「自分たちの移動を自分たちで考えていく」マインドを醸成します。本プロジェクトは、2024年度国土交通省モビリティ人材育成モデル事業に採択されています。​​https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/kyousou/
詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。https://cdpj.jp

■一般社団法人SMARTふくしラボについて(https://smartfukushilab.org/
SMARTふくしラボは、福祉分野のデジタル化、DX推進、新規事業創発、シンクタンク機能を持つ組織です。地域の大きな課題である移動にフォーカスし調査研究を進め、2023年度には国交省の共創モデル実証の採択を受け、介護予防、外出支援、公共交通の活性化をハイブリッドに解決する『地域丸ごとデイサービス「Goトレ」』を開発するなど持続可能な地域づくりに取り組んでいます。
「外出自主トレーニングプログラムGoトレ」(​https://smartfukushilab.org/go-training/)​​
■株式会社日建設計について (https://www.nikken.co.jp/ja/
日建設計は、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来120年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで⽇本、中国、ASEAN、中東で様々なプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。地域課題解決では、建物の災害時の避難計画を応用し、避難時間を地図上に可視化する「逃げ地図」を開発しました。この逃げ地図をつくるワークショップはこれまでに全国26都道府県60市区町村、全国の小中高30校以上で開催され、各地域のリスクコミュニケーションや避難に関する合意形成を促進してきました。地域住民、自治体職員など含め少なくとも延べ6000人以上が参加しています。
https://www.nikken.co.jp/ja/insights/benefits_of_the_escape_map.html
■株式会社図解総研について(https://zukai.co
図解総研は、ビジネスモデル、会計、共創、政策のような複雑な概念を共通の型で構造化して図解することで相互理解のコミュニケーションコストを減らし、多様なステークホルダー同士の共通言語を生み出すビジュアルシンクタンクです。これまでの主な書籍に「ビジネスモデル2.0図鑑」「会計の地図」「パーパスモデル」「政策図解」があります。また、介護の課題や地域の課題など、複雑な課題の構造を可視化し課題同士の関係を整理することで、何を解決するべきかの議論ができる土台を生み出してきました。

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