留学経験のある学生は留学経験のない学生よりも将来を楽観視
2千人の日本人を対象に留学に関する調査
英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシル(本部所在地:英国ロンドン、チーフ・エグゼクティブ:マーティン・デイヴィッドソン)は、日本の学生と卒業後間もない男女約2,000人を対象に留学に関する調査を実施しました。 特定の文化的思考が学生の意思決定にどう影響するのかを探るため、ブリティッシュ・カウンシルは本年9月、16~25歳の日本の学生と卒業後間もない男女を対象に、海外留学のメリットや障害について意見を聞きました。自己記入方式のオンラインアンケート(日本語)を実施し、2,004人から回答を得ました。 文部科学省によると、2004年に8万3,000人と史上最高を記録した日本人留学生の数は、2011年には5万7,501人まで減少しました。 急速な高齢化や不透明な経済情勢などを背景に、日本政府は、国際競争力のある労働力の創出を優先課題に掲げ、海外に留学する日本人学生の数を2020年までに倍増させることを発表しました。 『日本の“内向き”神話を覆す(Japan: Debunking the “inward-looking” myth)』と題した調査レポートでは 、いわゆる「内向き」思考のせいで日本人留学生が近年減少しているとされることについて、その真偽を調べています。 回答者は、1.留学経験がある人、2.留学を希望している人、3.勉強は日本だけでよいという人、の3つのタイプに分類されます。 回答結果を分析した結果、海外留学の経験がある学生は留学を希望しない学生よりも自分の将来について楽観的であることがわかりました。反対に、留学を望む学生は日本の将来について最も悲観的でした。 留学により得られる最大のメリットは語学力で、留学の障害となる要因の上位3つは、語学力の不足、費用、安全面の懸念でした。 本調査の著者であるブリティッシュ・カウンシル、エデュケーション・インテリジェンス部門編集ディレクターのアンナ・エサキ=スミスは次のように述べています。 「どの国にも学生に固有の文化的思考があります。しかし今回の調査では、日本の学生が留学を検討する際、語学力の不足、費用、雇用機会といった、非常に基本的な考慮点が大きな役割を果たしていることがわかります。留学のメリットや効果について学生がどう考えているのかをよく理解すれば、留学を通じてもっとたくさんの日本人学生に国際競争力を高めてもらうことができるでしょう。留学から得られるメリットは、学生自身だけでなく、より多様な大学関係者、活力ある日本の民間部門、そしてグローバル経済全体で共有することができます」 ※レポート全文は無料でダウンロードできます。(英語のみ)(登録が必要です) https://ei.britishcouncil.org/educationintelligence/japan-debunking-inward-looking-myth ■主な調査結果 •留学経験がある日本人学生は、留学に関心がない学生よりも自分の将来について楽観的。反対に、留学を望む学生は日本の将来について最も悲観的。 •日本人学生の留学に対する考え方は英米の学生の考え方と同様、もしくはより好感触である。 •留学により得られる最大のメリットは語学力。 o留学経験がある学生(12%)に聞いたところ、留学を選んだ最大の理由は語学力の向上(79%)。その他の留学理由は、海外旅行がしたかったから(46%)、海外で働くため(35%)、友人や家族、教授に勧められたから(30%)。費用面を挙げた学生は多くない。 o留学に関心がある学生(33%)にその理由を聞いたところ、語学力を向上させたい(79%)、海外旅行がしたい(53%)、海外で働くきっかけにしたい(47%)、もっと自立したい(32%)、研究分野の単位を取りたい(31%)。 •留学したいと考える学生の希望留学先は、米国(24%)、オーストラリア(16%)、英国(15%)、カナダ(11%)、ドイツ(7%)。 •留学の障害となる要因の上位3つは、語学力の不足、費用、安全面の懸念。 o留学に関心がない学生(46%)にその理由を聞いたところ、語学力がない(51%)、お金がかかる(41%)、安全でない(32%)、海外の学習課程は難しい(12%)、ホームシックになりそうで心配(12%)。 o留学に関心がないと答えた男性は女性より10%多く見られた。 o就職活動の時期と重なることは、留学を阻む大きな要因としては挙げられなかった。(障害として挙げた回答者はわずか3%) •学生側の立場からは、日本および海外の雇用主が大学卒業生の採用時に留学経験を重視するかどうかは、判断がつかない。 •留学への関心を高めるきっかけとして挙げられたのは、金銭的支援が受けられること、外国語コースがあること、雇用機会の拡大が裏づけられていること。 •留学を希望する学生に比べて、留学を希望しない学生では相当な割合がパスポートを持っていない。留学に関心がなく、パスポートも持たない回答者は、海外旅行の経験がないと考えるのが妥当。また、家族に留学経験者がいるかどうかをアンケート対象者全員に尋ねたところ、いないと答えた人の割合は留学を希望しない学生が最大。 ■ 調査概要 調査方法:インターネット調査(自己記入方式のオンラインアンケート(日本語)) 調査エリア:日本全国 調査対象:16~25歳の学生および卒業後間もない男女 サンプル数:2,004人 調査時期:2014年9月 以上ブリティッシュ・カウンシルについて
ブリティッシュ・カウンシルは、1934年に設立された英国の公的な国際文化交流機関です。世界100以上の国と地域で英国と諸外国の文化交流活動を推進しています。日本では60年以上の歴史を誇り、教育と文化を通じて、英国と日本を結ぶ架け橋になることを目指しています。
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