森林火災や害虫の被害を受けた木材も利用し、貴重な原木を最大限活用
カナダ最大の木質ペレット業界団体であるカナダ木質ペレット協会(WPAC: Wood Pellet Association of Canada)より、カナダ産木質ペレットのサステナビリティについてご紹介します。
WPACは2021年、持続可能性に関する誓約を発表しました。10箇条の誓約の一つは、木々を確実に最大かつ最善に利用することにより森林の価値を尊重するというものです。これはペレットの原料の100%を製材や伐採活動からの廃材や残材、あるいは他の目的で利用できない木から調達することを意味します。そのような木を排除することで、森林の健康状態の向上や火災リスクの低減にもつながります。
近年では、森林火災によって年間500万から1500万ヘクタールの人工林が失われていますが、森林火災現場で回収された焼け焦げや炭化した木材のほか、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の森林に自生するキクイムシの一種であるマツクイムシ(マウンテン・パイン・ビートル)などの害虫による被害を受けた木材もペレット生産の重要な原料となっています。
WPACでは、2022年にペレット生産に使われる原料を中心にBC州森林から生まれ林産業で使用される様々な原料の調査を委託し、各原料間の関連性を調査しました。政府および業界からのデータや企業機密データ、持続可能なバイオマスプログラム(SBP)による監査報告も分析し、ペレット工場オペレータから個々の聞き取りも行いました。また、実質上、州内の各ペレット工場に原料を搬送するトラック1台ごとの貨物データも調べたことで、各工場に運ばれる林地残材がどの伐採区画から出たのかまでを遡ることができました。
同調査により、木質ペレット原料の85%は製材業とその関連産業からの副産物であり、残りの15%のうち11%が森林からの低級材であることが確認されました。また、低級材も他に活用の選択肢のない場合に限ってペレット生産に使われていることも証明されました。
海外市場で燃やされている化石燃料を代替する目的で木質ペレットを生産し、そのために林班全体を伐採したり、より価値の高い林産品を犠牲にするようなことでは、ペレット使用における経済および環境上の目標そのものに反します。同調査は、木質ペレット生産のみを目的に伐採が行われているのではないかという懸念を一掃し、原木1本1本を最大かつ最善に生かすという原則がいかに堅持されているかに光を当てる結果となりました。
● 原木処理後の廃材(85%)
・製材工場からの廃材(78%)
林地から直接採集する以外の原料の大半は製材工場からの廃材です。BC州政府の記録に基づく2019年の推定値では、州内製材工場に搬入された各原木の半分以上(52%)がチップやおが屑、かんな屑になったことが示されました。これらは製材工程における副産物で従来は廃棄物とみなされ、焼却炉に関する規制が1990年代後半に導入されるまでは大半が焼却されていました。しかし、今日ではそのほとんどがパルプ・バイオマス・ペレット生産者に売却されるか、製材現場でエネルギー源として使用されています。BC州内のパルプ工場が減少し製材廃材の処理能力も低減する中(2019年~2020年で42%減)、ペレット業界はBC州からの廃材に市場を提供する意味でも、ますます重要な役割を担い得る存在と言えます。
・パルプ工場・合板工場・製材二次加工場の廃材(6%)
製材工場からだけではなく、他の林産品製造業からも廃材を調達しています。合板工場からは単板のストリップ(幅狭)材、パルプ工場からは木材チップ検査ではじかれた極小材、製材品を他の製品に加工する二次加工業者からは木口の切り落としなどです。
・その他(1%)
残りの1%は原木そのものをチップとする業者からの調達と、州内陸部の様々な林産品工場の丸太置場清掃などから出る廃材です。
●低級材・林内チップ(15%)
・パルプ原木
パルプ原木は一般的に、製材用に十分な寸法や等級に満たない原木として定義されており、粉砕してバイオマスとし、バイオマス発電やペレット加工にも利用できます。しかし、バイオマスの価値はパルプに比べてはるかに低いため、パルプ工場への輸送コストがかさみ、かつバイオマス燃料市場が近場にあるという条件でなければバイオマスとしては使われません。
・未利用木
「未利用木」は、短小な原木や木塊、その他パルプ等級とするには小さいか品質が劣る様々な木片を指すために用いられる新語です。一般的な伐採作業の副産物で、現地で製材用原木を下処理したときに出る幹材や木片、また木が倒れたり切り出される際に打ち落とされたり切断された、商品となりえない幹材などが含まれます。こうした木材は価値が低く、最終用途とされる場所に近接していないと林地から排除しても採算が取れないため、現時点ではほとんど回収されていません。
・林内チップ
林内チップとは林地から出る木製品であり、林地で機械的に粉砕処理された廃材として生産され、粉砕形状でエンドユーザに届けられます。そこがペレット工場やバイオマス発電所に原形のまま届けられる木質原料(未利用木など)とは異なる点であり、後者は目的地到着後に粉砕されて工場で使われます。
木質ペレットに使用される低級材
WPACでは、今後も責任ある原料調達および木質ペレット生産の取り組みを推進し、厳格な森林管理から生まれた低炭素の再生可能エネルギー源を日本の皆さまに提供することをお約束します。
■カナダ産木質ペレットのサステナビリティについて
https://pellet.org/ja/resources-ja/wpac-%e6%9c%a8%e8%b3%aa%e5%8e%9f%e6%96%99%e8%aa%bf%e6%9f%bbbc%e5%b7%9e%e7%94%a3%e3%83%9a%e3%83%ac%e3%83%83%e3%83%88%e5%8e%9f%e6%96%99%e3%81%ae%e6%8c%81%e7%b6%9a%e5%8f%af%e8%83%bd%e6%80%a7/
カナダ木質ペレット協会(WPAC: Wood Pellet Association of Canada)
カナダ最大の木質ペレット業界団体です。カナダの持続可能で世界をリードする木質ペレットセクターの代弁者として、WPAC会員とともに責任ある再生可能なクリーンエネルギーを世界に供給することに尽力しています。カナダ全土に施設を有する50以上の生産者と組合員を代表し、かつては廃棄物とみなされていた繊維をペレットの変容力を利用した責任ある再生可能エネルギーに変えています。詳しくは
https://pellet.org/ja をご覧ください。