② 株式会社HEALTHREE
https://company.heal3.com/
運動距離に応じて暗号資産(トークン)を取得し、運動習慣の継続をサポートするヘルスケアアプリ「HEALTHREE」を開発するスタートアップ企業。テクノロジーの力を活用して一人でも多くの人の健康習慣を改善することを目指す。HEALTHREEのゲームシステムやユーザーの特徴の他、自治体や大手企業との実装実験やコラボレーション実績を紹介。
株式会社HEALTHREE 太田 将野 氏
③ 株式会社リビングロボット
https://livingrobot.co.jp/
「ロボットと人が共に生きる社会の実現」を目指す。人手不足が深刻な農業地域のサポートを行う「自動走行式草刈りロボット」や介護や高齢者の生活をサポートする「見守りウィーゴ」、プラグラミング学習をサポートする「歩くメカトロウィーゴ」などを開発し、自治体や大手企業との連携を実現。農業、介護、教育、医療など多方面でロボットによる現場のサポートを行う。
株式会社リビングロボット 井上 潤一 氏
④ 日野コンピューターシステム株式会社
https://www.hino-cs.com/
「人流と物流の課題をデジタルの力で解決し、持続可能な社会を実現する」ことをパーパスとし、自社の運送DXソリューションを市民の健康促進に役立てる取り組みを進める。その一つである「VR空間ナビ測定(脳健康測定)」(
https://hino-c-plus.com/dx/brain100-studio-%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0/)は認知機能をはじめとした脳年齢を測定し認知症リスクを判定する。測定によって生活習慣改善と健康を促進する実証実験に自治体と共に取り組む。
日野コンピューターシステム株式会社 村上 大介 氏
⑤ 株式会社SuperIO
https://www.superio.co.jp/
先端技術XR/AIを活用し「驚き」や「楽しさ」を提供するスタートアップ企業。展示DXとデジタル空間データビジュアライゼーションを可能にした革新的なソリューション「XRGallery®︎」をグローバルに事業展開する。イタリア、ミラノサローネでは、日本の伝統工芸を空間ごと表現した「XR日本間」を発表。未来の生活に影響を与え得る世界のトップスタートアップが集結する「デザインテックパビリオン」より出展した唯一の日本企業としてイタリア版フォーブスデザイン欄でその名を紹介された実績を持つ。その他にもAIによって美術史上のアーティスト自身が表情をつけながら自身の作品を説明する「多言語AIガイド」の事例を紹介。
株式会社SuperIO 工 素子 氏
あふれるアイディア。トークンもロボットもAIも京都で
各メンバーの発表の後は、山下前副知事も加わり、それぞれのサービス、商品、ソリューションと京都府との共同事業の可能性を探るトークセッションを行いました。
全員とコラボレーションしたいと意欲を見せる山下前副知事と登壇者の皆さん
WeWork 高田(高田):それでは、山下前副知事に加わっていただき、トークセッションを行って行きます。まずは、山下さんの感想はいかがでしたでしょうか。
山下前副知事(山下):はい。僕は皆さんとコラボレーションしたいです(笑)。
まず、JEISさんの脱炭素への取り組みとして、リアルなお米にトークンを付けて良い循環を促すというアイディアを伺いました。京都府立大学では、背が低く生育期間の短い稲作の研究が進んでいます。この稲は水耕栽培も可能なので植物工場で生産ができます。これを発展させて、植物工場にクリーンエネルギーを使うようにし、クリーンエネルギーを使った農家の方や工場でできた米を食べた方にトークンを発行するというビジネスができそうですね。
次にロボットやAIですが、今2つのロボットの開発をしています。一つ目は、例えば家庭内の意思疎通をスムーズにしてくれる「空気を読むロボット」。二つ目がAIとの共生を土台とした「人間と友達同士のような付き合いができるロボット」です。
そしてもう一つ、VRやアバターを活用した「デジタルお土産」を開発したいです。これはどのメンバーさんともコラボレーションできそうだと思っていますが、京都のバーチャル空間で体験したことをアバターで残し持ち帰ってもらう。そして自国に帰って、「京都でこんなことが体験できた」と周りの方に見せていただいたら、また京都に行きたいという人が増えるでしょう。
こんな風に皆さんとご一緒にできるアイデアが京都にはたくさんありますよ。
右:山下前副知事 左:WeWork Japan GR パートナーシップ&イノベーションアドバイザー 高田
京都だからこそできる多様な取り組み
高田:すぐにコラボレーションができますね。さて、先ほどHEALTHREEさんには、健康への行動変容を促すアプリHEALTHREE(
https://heal3.com/)をご紹介いただきました。HEALTHREEを京都府で実施する場合の特別なアイディアなどはありますか?
HEALTHREE 太田氏:京都の街の中を舞台としたゲームを考えたときに、イメージするものはポケモンゴーです。ポケモンゴーはある地域にしか出ないポケモンがいます。京都のお寺にもそこでしか出ないポケモンがあって、ものすごく人が集まっています。位置情報ゲームは人を動かす力があるということですね。これをHEALTHREEに置き換えると、例えばその場所でしか手に入らないマップを配置することで、人々を動かすことができるのではないかと考えています。あとはクーポンの発行もいいと思います。コラボレーションの幅が割と広く、色々な可能性があるのではないかな。
高田:日野コンピューターシステムさんはいかがですか?
日野コンピューターシステム 村上氏:例えばですが、複雑な道が多いロンドンのタクシードライバーはロンドン市内の道を全て覚えなければ免許が取れないそうで、そのためか認知症になる方が少ないという実例があります。この例は道が碁盤の目のように張り巡る京都でも当てはまるのではないかと考えています。弊社の「VR空間ナビ測定(脳健康測定)」(
https://hino-c-plus.com/dx/brain100-studio-%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0/)の結果が思わしくなかった方に、京都を楽しんでもらうことで脳年齢を若返らせ、認知症予防に繋げる取り組みができるかもしれません。するとますます京都に足を運ぶ方も増えるでしょう。もしかするとHEALTHREEさんのゲームとも何か一緒に取り組みができるかもしれませんね。
京都とのアイディアを語るHEALTHREE 太田 氏
山下:脳年齢の測定は、京都府でも大学と組んで研究を進めています。普通の顔から泣いたり怒ったり笑ったりという表情を変える瞬間の変化とその変え方で、アバウトではありますが脳年齢を測定するというものです。この他にも、ピカソやシャガール、北斎など色々な絵を見てもらって、それぞれの絵を見た時に脳のどの部分が反応するかを測定する実証実験も進めています。この実験によって、絵を単なる鑑賞物ではなく、脳の特定部分を活性させるものとして高齢者のエクササイズに活用したいと考えています。何か一緒にできそうですね。
それからトークンの話に戻りますが、トークンって、自分に戻ってくるという点がいいと思っていたのですが、それでは高齢者の方は続かないんです。例えば、歩いた歩数だけトークンがもらえるというプログラムがあった時に、高齢者の方には「あなたが歩いて得たトークンで、あなたのお孫さんが通っている小学校の設備が良くなります」という説明をしたところ、どんどん歩いてくれるようになったということがありました。自分の行動によって自分に利益が返ってくるよりも、自分の行動がお孫さんのためになるとか、地域に貢献しているということの方が、高齢者の方にはうれしく、社会参加を促すことにもなるんだということがわかりました。
京都はイノベーションの宝の山のよう
高田:お話がどんどん広がっていきますね。話題を進めますが、SuperIOさんは海外だけでなく日本の自治体と取り組まれた事例はありますか?
SuperIO 工氏(工):関西の自治体との取り組みで、市の公式キャラクターをXRの美術館の中で石像にしたり、絵の中に隠したりというゲーミフィケーションを行いました。ARによって、そこにキャラクターがいるように感じることができる作品を作ったりもしました。
高田:京都府にはたくさんの文化財があると思いますが、SuperIOさんが提供しているバーチャル空間に入って観光ができたり、普段見えないものをARやXRで見せるということは京都でもできますか?
山下:実はアート&テクノロジーヴィレッジ京都(ATVK)で、台湾のARの企業と京都の企業と一緒に、京都の観光地のAR・VR・ XRや先ほど申し上げたデジタルのお土産を作る取り組みを進めています。このチームに入っていただくのは?
工:ぜひ参加したいです。京都は私たちのようなアートやデザインをやっている者からすると、宝の山のように見えます。一つアイデアを申し上げると、現在京都ではオーバーツーリズムの問題が深刻化していますが、XRやゲームの力でカバーできる部分があるのではないかと思います。イタリアのフィレンツェでも人気の美術館に人が集まりすぎないように、美術館の近くでXRを利用してイマーシブ体験を提供する取り組みがあり、これは京都でも実現できるかもしれません。
京都は宝の山と語るSuperIO 工 氏と頷く登壇者の皆さん
テーマはあってもボーダレス。それが産業リーディングゾーン
高田:それは期待できますね。この取り組みはアート&テクノロジーのカテゴリーになるのでしょうか?
山下:カテゴリーは関係ありません。産業創造リーディングゾーンに集まる方はデザイン思考やアート思考で物事を考える方が多いので、研究の結果や成果物を、観光に使うもよし健康に使うもよしスポーツに使うのもよし。ボーダレスです。
高田:それこそがオープンイノベーションですね。では、少しテーマを変えて、リビングロボットさんが、教育現場向けのロボットを紹介されていましたね。
リビングロボット 井上 氏:あるくメカトロウィーゴ(
https://store.livingrobot-platform.com/mwg-promotion/)という教育用ロボットはすでに自治体で導入されています。ロボットの動きや見た目を自分でカスタマイズして楽しめるもので、初めてのプログラミング教材としても最適です。ロボットと人(子供)が一緒に成長できればと考えています。
高田:産業創造リーディングゾーンは教育に関する取り組みはありますか?
山下:ATVKで進んでいる取り組みがいくつかあります。その一つが、子供たちと一緒に遊ぶことで子供の発達障害の可能性がわかるロボットの開発です。発達障害の専門医にアクセスしようとすると京都府の場合六ヶ月かかるといわれていますので、その解消につながるでしょう。その他、いじめにあっている子供のケアや子供が病気になった時に親御さんをサポートする取り組みも考えています。子供の心身の健康から発達障害の発見までといった子供のサポートプラットフォームを、主にスタートアップ企業と一緒に作っていけたらと考えています。
高田:ロボットといえば、JEISさんの開発されたロボット temi (
https://proximo.co.jp/works/jr_temi/)は WeWork リンクスクエア新宿 で活躍しているそうですね。
山田:はい。フォンブースが空いているか temi に見に行ってもらったり、フロアマップを床に写してもらったりと、コミュニティスタッフのように活躍しています。temi にコミュニティスタッフの代わりができるということは、他にも色々な可能性がありますね。 産業創造リーディングゾーンでもぜひ色々な実証実験をしていただきたいですね。
山下:ぜひやりましょう。最後にもう一つ、取り組みの中で出てきた課題です。今、京都の大学と認知症だけでなく、高齢者のウェルネスとハピネス(幸福度)を測る共同研究を進めています。高齢者がロボットと会話することで、その方がどういうところに幸福を感じていて、どのくらい幸福なのかということを数値化するものです。関西と北海道でその実験を進めていて、関西の方はロボットとよく喋るのですが、北海道の人はロボットとほとんど喋らないのです。この地域性をどうしたらよいのか・・・
高田:これは皆さんへの宿題ですね。本日は興味深いお話しをたくさん聞けました。この後の懇親会ではぜひ皆さんとつながってください。ありがとうございました。
トークセッションを終えた山下前副知事と登壇者の皆さん
トークセッションのあとは懇親会に移り、山下前副知事をはじめ京都府職員、セッションに参加した WeWork 入居メンバー、そして来場者を交え、活発な意見交換が行われました。
法被を着た京都府職員とWeWork メンバーが名刺交換

京都府職員と議論がはじまるWeWorkメンバー

周りに人がたえない山下前副知事

登壇後にSuperIOのVRを体験するHEALTHREE 太田 氏 。京都府とだけでなく、登壇企業同士も互いのサービスを理解し合う機会に
WeWork Japan は今後も、京都府をはじめ自治体メンバーと他企業メンバーとのビジネス連携、新たなビジネスアイデアの創造など、オープンイノベーションや社会貢献、地域貢献に繋がる様々な活動をサポートしてまいります。
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