~苦労を感じてでも推し活に「お金」と「時間」を捻出 若い世代ほど顕著 ~
株式会社ビデオリサーチ(以下当社)内の生活者に関するシンクタンク「ひと研究所」では、「推し活に関するアンケート調査」を実施しました(調査対象:全国・男女15~69歳、調査期間:2024年2月6日~2月7日、事前調査:4,234人、本調査:1,437人)。今回はその中から、「推し活と消費行動」に関する調査結果をご紹介します。
※本レターは、当社ウェブメディア「VR Digest+」内の記事から情報を抜粋してお届けしています。
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●「推し活と消費行動」に関する調査結果:
ビデオリサーチ ひと研究所調べ(2024年2月「推し活調査」)
< サマリー >
■推しがいる・ある人※1は全体の4割/中でも15~19歳では7割以上にのぼる
推しがいる・あると回答した人のうち…
■Z世代・Y世代・X世代※2の約15%は、推し活に年間10万円以上費やしている
■若い世代ほど年間50万円以上を費やす人の割合が高く、より推し活にお金をかけている傾向
■Z世代の6人に1人が、推し活にお金をかけることを大変だと感じている
■Z世代・Y世代・X世代では、睡眠時間を削って推し活の時間を捻出している人も |
※1:推しがいる・ある人の割合は「ビデオリサーチ ひと研究所 推し活・ファンエンゲージメント調査(2025年)」より
【参考記事:1万4千人に聞いた!2025年最新【推し活事情】<推し>がいる人の割合は?- 2025年ファンエンゲージメント研究調査から(2025年3月4日公開)https://www.videor.co.jp/digestplus/article/consumer250304.html】
※2:Z/Y/X世代の定義については諸説ありますが、本レターで用いた調査は15歳以上を対象としているため、
Z世代を「男女15-26歳」、Y世代を「男女27-42歳」、X世代を「男女43-58歳」と定義して分析をしています。
【推し活とは】
「推し」とは、一般的には好き・お気に入りの人物やモノで、応援したい対象を指し、それらを応援したりする活動のことを「推し活」といいます。ひと研究所では、「推し活」が人々のメディア利用、消費行動の促進につながることに注目し、「推し活」に関する研究をしています。
ひと研究所による「推し活」の調査データを含む分析記事は、以下からご覧いただけます。
■VR Digest+(ビデオリサーチ ダイジェストプラス)
若い世代ほど苦労を感じてでも推し活に"お金"と"時間"を捻出- 2024年「推し活」の実態調査から紐解くVol4(2025年2月28日公開)
https://www.videor.co.jp/digestplus/article/consumer250228.html
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■Z世代・Y世代・X世代の約15%は、推し活に年間10万円以上費やしている
■若い世代ほど年間50万円以上を費やす人の割合が高く、より推し活にお金をかけている傾向
「推しがいる・ある」と回答した人を対象に、年間で推し活にかける金額を質問したところ、いずれの世代も「1万円未満」が過半数となりました。これは推しという言葉が「好き」「おすすめ」程度の意味を含む広義的なものとなり、推し活でお金を使う活動はしていない層が多く存在するためだと考えられます。
一方で、推し活に年間10万円以上を費やしている人の割合は、Z世代16.9%、Y世代15.4%、X世代17.1%と、それぞれ15%以上にのぼります。
また、年間50万円以上を費やしている人の割合は、X世代以上(X世代:1.4%、59~69歳:1.6%)と比較してZ世代(3.6%)、Y世代(3.1%)で高く、若い世代の方が推し活にお金をかけている傾向が確認できます。
【図1】 年間で推し活にかける金額(世代比較)
■Z世代の6人に1人が、推し活にお金をかけることを大変だと感じている
次に、「推しがいる・ある」人を対象に、推し活において「お金」や「時間」を費やすことが“大変”だと感じているかを質問しました。「お金」を費やすことが大変だと感じている人の割合は、Z世代では16.7%、Y世代では15.2%、X世代では10.1%、59~69歳では7.0%。「時間」を費やすことが大変だと感じている人の割合は、Z世代では7.3%、Y世代では9.0%、X世代では3.9%、59~69歳では3.4%となり、いずれの世代でも「時間」よりも「お金」を費やすことに関して大変だと感じている人が多いことがわかります。
世代別では、若い世代ほど「お金」に対する大変さを感じる人が多く、特にZ世代ではおよそ6人に1人が推し活にお金を費やすことを大変だと感じていることがわかりました。
【図2】 推し活において「お金」や「時間」を費やすことが大変だと感じる割合(世代比較)
■Z世代・Y世代・X世代では、睡眠時間を削って推し活の時間を捻出している人も
「推しがいる・ある」人に対し、推し活にかける「お金」や「時間」の捻出のための方法を質問しました(自由回答)。「お金」に関する工夫では、給与を上げる努力をしたり、パートやアルバイトの時間を増やしたりと、いずれの世代も「節約・やりくり」や「働く」などの回答が集まりました。また、Z世代・Y世代・X世代では「ポイ活」、59~69歳では「貯金を使う」といった回答もありました。
「時間」に関する工夫としては、Z世代・Y世代・X世代で「睡眠時間の削減」といった回答が多く、睡眠時間を削ってまでも推し活のための時間を確保している様子がうかがえました。
担当者コメント
ひと研究所 主任研究員 若狭谷 笑未(わかさや えみ) 専門領域:推し活
若狭谷へのコメント取材等も可能です。お問い合わせください。
節約や仕事を頑張ってお金を捻出したり、睡眠時間を削ったり、苦労を感じてまでも<推し活>を続けるのはなぜか。ひと研究所では、<推し活>の「応援」と「表明」という側面が"自分を形成する"ことにつながるからだと考えています。例えば、推しの動画を何度も再生したり、生放送でのパフォーマンスをテレビの前で見守りつつSNSに投稿したり、あるいは公式グッズをたくさん買うといった行動は、推しを「応援」するものといえます。また、『●●推しです』と自己紹介したり、SNSなどを通じて自分の推しを公表する行為は、自分は何が好きでどのような人間なのか「表明」することです。「応援」は貢献意識を醸成し、「表明」は自己意識を形成していきます。これらはやがてその人の「自己肯定感・自尊心」や「アイデンティティ」へとつながっていき、生きる意味や価値、もっと言えば生き方にまで昇華していく場合もあるのではないかと思います。
このように、<推し><推し活>は人の心の深くに刺さり、強く影響を与えており、だからこそ生活者は<推し>や<推し活>に「ハマる・沼る」のだと考えます。
■調査概要
・調査タイトル:推し活に関するアンケート調査
・調査期間:2024年2月6日~2月7日
・調査対象:男女15~69歳
・調査方法:インターネット調査
・調査地域:全国
・有効回答数:事前調査 4,234人、本調査 1,437人
■ひと研究所
ひと研究所とは、ビデオリサーチの生活者に関するシンクタンクです。当社が保有する多様なデータを活用しながら、生活者の今と未来のインサイトを探求しています。
https://www.videor.co.jp/service/communication/hitoken.html
●株式会社ビデオリサーチ https://www.videor.co.jp/
株式会社ビデオリサーチは、テレビを含む動画ビジネスを支えるデータ&システム会社です。1962年にテレビ視聴率データを提供する調査機関として設立され、日本国内におけるテレビ視聴率調査や各種メディアデータ、マーケティングデータを提供しています。公正なデータと信頼性の高い指標を基盤に、企業のマーケティング課題解決をトータルサポートし、知恵と情熱でデータ&システムを駆使するソリューションカンパニーとして、企業の意思決定を支援しています。