日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)のチタン薄板が、グレーチング国内トップシェアである株式会社ダイクレ(以下、ダイクレ)に採用され、今回、別府市より受注に至りました。
大分県別府市の温泉郷(別府八湯)では、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉の7 種類の泉質が確認されています。それぞれの泉質により、効能や湯ざわりが変わってきますが、金属に与える影響も異なります。単純泉・ナトリウム泉などpH が4.0 程度の温泉は金属に与える影響は小さいのですが、硫黄泉などpH2.0 といった酸性温泉になると、温泉にはつきものの、絶えず発生する水蒸気や成分由来の塩化物等の浮遊粒子に加えて、強腐食性の硫化水素のような酸性ガスが温泉水とともに湧出する場合があり、金属材料には苛酷な環境です。大分県別府温泉においても、そこかしこから、特に高温の蒸気からなる湯けむりが立ち上る箇所があり、そこに設置された鋼製グレーチングは、防錆のための亜鉛めっきが施されていても、鋼材の腐食が著しく進む状態に置かれています。
この状況を別府市と共有し、チタンが強酸性泉においても優れた耐食性を示すことをご理解いただいたうえで、腐食が厳しい箇所の鋼製グレーチングをチタン製に切り替える協議を進めてまいりました。街づくりにおける安全性の確保はもとより、業者や職員による現地確認の負荷軽減にも繋がる方向性が確認出来たことから、受注に至りました。
今回設置されたチタン製グレーチングによる効果を今後ご評価頂いた上で、同様の環境にある鋼製グレーチングのチタン製への換装を継続協議して参ります。
チタン製グレーチングのニーズは潜在的にあったものの、チタン素材が高価であるため鋼製もしくはステンレス製のグレーチングをメンテナンス・補修・換装する手法を選択するケースが多く、開発を見送ってきました。しかし少子高齢化や働き方改革が進む中、長期耐用が可能でメンテナンス負荷を軽減出来る可能性を持つチタンへのニーズが高まると判断し、チタン製グレーチング開発をダイクレへ相談、ダイクレの既存グレーチング製造ラインでの試行錯誤の末、「人荷重用グレーチング」の開発に成功しました。すでに、当社と鋼材商社である富安株式会社と協働し、北海道登別温泉にて試験モニターを継続しており、強酸性泉による耐久性が確認されていることも、今般、別府温泉で採用を決断頂いた理由の一つになりました。
チタンは工業生産開始が1946 年と他の金属に比較し新しいため、未知の需要分野がある未来の金属です。安心・安全の街づくりに繋がるインフラ整備においても新たな用途開拓を、パートナー企業と共にたゆみなく進めています。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を結集し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)を通じ、これからも社会の発展に貢献していきます。
設置前 設置後
▼株式会社ダイクレ
https://www.daikure.co.jp
▼富安株式会社
https://www.tomiyasu.co.jp
▼日本製鉄の意匠性チタンTranTixxii
https://www.nipponsteel.com/product/trantixxii/
▼日本製鉄のデザイニングメタル
https://www.nipponsteel.com/product/use/design/
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https://www.nipponsteel.com/contact/
チタン営業部自動車・建材室 電話:03-6867-5611
以 上