当レポートでは、弊社独自の削減貢献量モデル(製品が他の製品やサービスの代替として使用される際に回避される排出量) を強化するために行った変更点をご説明します。また、ポートフォリオ構築のシグナルとして活用した場合、削減貢献量がリター ンの向上に寄与し得ることを示すバックテストを実施しました。弊社の分析結果によると、削減貢献量へのエクスポージャーを 重視した分散型・低リスクのグローバル株式ポートフォリオは、マクロ経済や政策面での逆風によるセンチメントの循環的変動 にもかかわらず、過去5年間でグローバル株式ベンチマークを10%上回るパフォーマンスを達成していた可能性があります。最後に、クリーン移行を支える構造的な成長要因を検証し、更新された削減貢献量フレームワークが、こうした長期的な価値 源泉を特定・獲得するための堅牢なツールを投資家に提供することをご説明します。
はじめに
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)1によると、地球温暖化を1.5℃に抑えるには、2030年までに世界の温室効果ガス排出 量を43%削減する必要があります。Climate Policy Initiative(CPI)は、このシナリオを達成するには2030年までに毎 年約7.4兆ドルの資金が必要と試算しています。脱炭素目標 達成の可否にかかわらず、2015年のパリ協定署名以降、世界 経済の脱炭素化に向けた取り組みは強化され、クリーンエネルギー資金は2015年から2024年にかけて約80%増加し、2兆ドルに達しました。
しかし、現在気候戦略に投入されている資本の多くは、報告されている事業活動排出量が低いセクターや企業に集中しています。ESGスクリーニング、規制開示、気候変動対応型指数は、スコープ1(事業からの直接排出量)、スコープ2(購入したエネル ギーからの間接排出量)、スコープ3(その他のバリューチェーン全 体の排出量)の排出量指標に大きく依存する傾向があり、広範なシステム全体での排出削減を可能にする企業よりも、既に低炭素である企業を優遇しています。
国際エネルギー機関(IEA)は、重工業や運輸、建築等、削減が 困難な分野からの排出量は、他の分野に比べて減少ペースが 遅くなると指摘しています。重要なのは、これらのセクターの多くの企業が、提供する製品やサービス、インフラを通じて他分野の 脱炭素化を可能にしていることです。これは測定上の課題をもた らします。排出削減が困難な分野での解決策導入を加速させ るため資本が緊急に必要とされる一方で、炭素の影響の測定方法が伝統的であるがゆえに、こうした企業が見落とされる可能性があります。
例えば、鉄道インフラメーカーは、乗用車や道路貨物輸送から 排出量の少ない鉄道輸送への移行を支援しており、アルミニウムメーカーは、電気自動車において鋼鉄等の重い材料の代替となることで軽量化に貢献し、エネルギー効率の向上に寄与しています。こうした貢献は、企業のスコープ1、2、3の排出量に焦点を当てる従来の炭素指標には反映されていません。
2021年、弊社はこのギャップに対処するため、
独自の削減貢献量フレームワークを開発しました。このフレームワークは投資分析に直接適用できるよう設計されており、グリーン移行の受益者および貢献者からなる幅広い対象に向けて、より的を絞った資本配分を可能にします。スコープ1、2、3の排出量と併せて排出削減活動を分析することで、企業がシステム全体の脱炭素化を実現する上で果たす役割を理解するための新たな視点が得られます。これにより投資家は、従来の排出量分析では除外されていた可能性のある高排出セクターで事業を展開する企業を含む、 見過ごされていた機会を特定することが可能となります。
2021年のレポート発表以降、削減貢献量モデルのベースとなる 研究と前提条件について複数回アップデートを実施しました。これには、急速に進化する気候ソリューションの動向に対応するため、対象活動を7つ追加する拡充も含まれます。弊社の分析結果によると、理論上、削減貢献量へのエクスポージャーを重視した分散型・低リスクのグローバル株式ポートフォリオは、過去5年 間でベンチマークとなるグローバル株式指数を10%上回るパフォーマンスを達成していた可能性があります(これらの結果は バックテストに基づくものであり、将来の結果を示すものではありません)。
レポート全文につきましては、下記リンクをご参照ください。
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/institutional/insights/ai-power-demand-and-the-carbon-challenge-why-investors-need-avoided-emissions-analysis/
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