DIC株式会社(社長執行役員:池田尚志、以下「DIC」)と公益財団法人国際文化会館(理事長:近藤正晃ジェームス、以下「国際文化会館」)とのアート・建築分野を起点とする協業プロジェクトが本格始動いたしました。DICの今後のアートに関わる活動方針、建築ユニットSANAAが手掛ける「ロスコ・ルーム」デザイン構想の発表やロスコ・チャペルとの連携締結と、着実に事業が深化・進展していることを発表いたします。本プロジェクトを通して、新たな芸術・文化的体験創出や、アートがビジネスと公益の双方にインパクトを生み出す新たな協業の形を国際社会に示し貢献をしてまいります。
■DICの今後のアートに関わる活動方針
― 戦後アメリカ美術を中心とするアートへの明確なコミットメント ―
DICは、マーク・ロスコ作品をはじめ、卓越した戦後アメリカ美術を中心とする20世紀美術品を社会に開き、次世代へ継承することを企業の長期的責務と位置付けています。マーク・ロスコの〈シーグラム壁画〉に加え、移設対象となるジャクソン・ポロック、フランク・ステラ、サイ・トゥオンブリーなどを含む戦後アメリカ美術を中心とした20世紀美術作品群と、それらと深く関連するヨーロッパや日本の美術作品を通じて、研究・保存・公開・国際連携といった観点からアートへコミットしていきます。
DICが保有する作品群を文化資産として社会に開き、次世代へ継承するため、2030年までの移設期間中も、ロスコ作品をはじめとする所蔵作品の国内外での鑑賞機会を広げ、文化資産をより多くの方々に届ける活動を進めます。
―「化学×アート」を軸にした社会貢献と企業価値向上の両立—
DICは「化学×アート」を軸に、美術品修復に関する化学メーカーとしての知見を活かした支援を本格的に進めていきます。修復支援活動を継続的に行うための組織「IACC(Institute of Art Conservation Chemistry)」を立ち上げ、こうした取り組みを通じて、文化資産の保護と新たな価値創造に挑戦し、社会貢献と企業価値向上の両立を目指します。
■建築ユニットSANAAによる「ロスコ・ルーム」デザイン構想の発表
―アートと建築を起点とした協業の象徴 ―
© 1998 Kate Rothko Prizel & Christopher Rothko / ARS, New York / JASPAR, Tokyo G4115
国際文化会館の新西館に開設する常設展示室「ロスコ・ルーム」の設計を手掛ける建築ユニットSANAA(
※添付資料1)には、DIC川村記念美術館や米国のロスコ・チャペル、英国のテート・モダンのロスコ空間をご訪問いただき、作品と空間の在り方について深く理解を深めていただきました。
新たな「ロスコ・ルーム」は、アートと建築を起点とした協業の象徴です。国際文化会館が誇る、唯一無二の日本モダニズム建築と近代日本庭園が調和する環境を最大限に生かしていただきました。
デザインコンセプト
- 庭園から連続するアプローチ
「ロスコ・ルーム」へは、新設される緑豊かなエントランス庭園に囲まれたエントランスホール、自然光を感じることのできる地下のメディテーションスペースからアプローチします。国際文化会館新西館建設計画(仮称)のメインコンセプトの一つである親自然空間体験と、「ロスコ・ルーム」の単独的な空間体験のふたつを両立させ、ひと続きの体験となる構成を目指します。
- 展示室の中で独立した空間
「ロスコ・ルーム」は、地下の展示室内にあります。他の展示と連続しながらも、独立した場となるように計画します。「ロスコ・ルーム」自体が明確な存在感を持ち、訪れる人に象徴的な体験をもたらす空間を目指します。
建築ユニットSANAAのコメントは以下の通りです。
このたび国際文化会館の新西館建設計画の一環として、シーグラム壁画を展示するロスコ・ルームの設計に関わる機会に恵まれ、たいへん光栄に思います。静かな展示環境の中、そこを訪れる人々が作品と深く向き合える場となるよう、設計を進めてまいります。
■ロスコ・チャペルとの提携協定締結
― 企業・財団・国際拠点が連携するパートナーシップ―
DICと国際文化会館は、アメリカ・ヒューストンにあるロスコ・チャペル(
※添付資料2)と各々が新たにパートナーシップ提携を締結いたしました。DIC川村記念美術館に展示していたマーク・ロスコの<シーグラム壁画>7点すべてを国際文化会館が建設する新西館に移設し、新設する「ロスコ・ルーム」を共同運営していくにあたり、アメリカのマーク・ロスコの中核拠点であるロスコ・チャペルと連携し、海外との文化的ネットワークを形成してまいります。
ロスコ・チャペルは、1971年にアメリカ・ヒューストンに設立された無宗派の礼拝堂であり、内部にはマーク・ロスコが晩年に制作した14点の絵画が恒久設置されています。宗教・文化・国籍を超え、アートを媒介に内省、対話、和解を促す場として、国際的に高く評価されています。同チャペルはまた、アートを通じた社会変革や人権・平和をテーマとする活動拠点としても世界的に重要な役割を果たしています。
- DICとの連携
2024年7月のハリケーンによるロスコ・チャペルの被災は、気候変動リスクの高まりと文化資産への影響を改めて認識させる出来事でした。このような中、DICとロスコ・チャペルは、重要な文化資産を守るため、被災したロスコ・チャペルの美術品修復支援において戦略的なパートナーシップを締結することに合意しました。今後、修復家が求める材料の提供など、化学メーカーならではの知見と技術を活かした支援を展開します。
- 国際文化会館との連携
国際文化会館は、ロスコ・チャペルと連携して「平和を促進するための民間外交」を展開してまいります。両組織は共同で諮問組織を設立し、プログラムの企画・運営を行うとともに、志を同じくする世界各地の組織へと連携を広げてまいります。
本締結にあたり、ロスコ・チャペル プレジデントのアブドラ・アンテプリ氏は以下の通り述べました:
■ロスコ・チャペル プレジデント アブドラ・アンテプリ
このパートナーシップは、貴重な文化資産を継承していく責任と、対話を通じて相互理解を育むという双方に共通する理念を体現する意義深いものです。マーク・ロスコのレガシーを守り伝えるとともに、思索と国際交流の新たな場を育んでいくにあたり、DICおよび国際文化会館と協働できることを大変光栄に存じます。アートを媒介として人々の相互理解と静かな瞑想を促し、社会との世代を超えた永続的な絆を育む未来を見据えてまいります。
DICと国際文化会館のアート・建築分野を起点とする協業プロジェクトが本格始動するにあたり、DIC株式会社 社長執行役員 グループ CEO 池田尚志と、公益財団法人国際文化会館 理事長 近藤正晃ジェームスは以下の通り述べました:
■DIC株式会社 代表取締役 社長執行役員 グループCEO 池田尚志
この度、国際文化会館およびロスコ・チャペルとの協業を本格的に始動できたことを、大変嬉しく思います。私たちは、アートの保存・公開・継承を基本理念としつつ、アートを起点とした様々な社会的価値の創出を目指してまいります。美術品の修復支援組織「IACC」は、化学メーカーとしての専門性を結集し文化資産の保全に貢献するだけでなく、長期的視点から社会や文化の発展に寄与する新しい技術やソリューションを生み出す場として運営してまいります。移設期間中においても、所蔵作品の鑑賞機会を広げ、多くの皆様にご覧いただけるよう取り組むとともに、私たちの活動についてより知っていただけるよう努めてまいります。
■公益財団法人国際文化会館 理事長 近藤正晃ジェームス
いま世界では、国際秩序が揺らぎ、戦争と対立が人々の未来に重く影を落としています。こうした時代だからこそ、世界のリーダーが集い、偉大な芸術を前に立ち止まり、心を静め、人として向き合い、対話を通じて相互理解を深め、平和の可能性を探る空間の重要性は、かつてないほど高まっています。
日本の戦国時代、大名たちは茶室に集い、刀を外し、同じ器で茶を味わいながら、対話を通じて和平を模索しました。混迷の現代において、その役割を担うのがロスコ・チャペルとロスコ・ルームです。
国際文化会館は、ロスコ・チャペルと連携し、現代の「茶道外交」を通じて、アートの力で平和と対話を育む取り組みを進めてまいります。
■ご参考
本件に関するホームページは以下URLをご覧ください。
http://dic-ihj.org/
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DIC株式会社について
DICは日本で有数のファインケミカルメーカーです。DICを中心に世界全体でSun Chemical Corporationを含む約170の子会社によってグループが構成され、60を超える国と地域で事業を展開しています。グループ全体として、人々の生活に欠かせない包装材料、テレビやPC等のディスプレイに代表される表示材料、スマートフォンなどのデジタル機器や自動車に使用される高機能材料を提供するグローバルリーディングカンパニーと認知されています。これらの製品を通じて、社会に安全・安心、彩り、快適を提供しています。DICグループは持続可能な社会を実現するため、社会変革に対応した製品や社会課題の解決に貢献する製品の開発にグループ一丸で取り組んでいます。連結売上高は1兆円を超え、世界全体で21,000名以上の従業員を有するなか、DICグループはグローバルで様々なお客様に寄り添っていきます。詳しくは、
https://www.dic-global.com/ をご覧下さい。
- 公益財団法人国際文化会館について
国際文化会館は、日本における民間外交と国際文化交流のパイオニアで、1952年の設立以来、一貫して、日本・アジア太平洋地域の平和と繁栄に貢献してまいりました。「多様な世界との知的対話、政策研究、文化交流を促進し、自由で、開かれた、持続可能な未来をつくることに貢献する」というミッションを掲げ、「アジア・太平洋地域を代表する知の交流拠点」の実現に向け、取り組んでおります。国際文化会館は、モダニズム建築を代表する登録有形文化財の本館と七代目小川治兵衛が作庭した名勝庭園を擁してい
ます。プリツカー賞受賞者のSANAAが設計する新西館では、「シンクタンク部門」と「アート・デザイン部門」の公益プログラムを拡充します。
詳しくは、
https://ihj.global/ をご覧ください。