立命館大学障害学生支援室では、障害のある学生とその学生を支援する学生サポートスタッフらが共同で、誰もが学びやすい授業づくりを提案する冊子「大学と障害学生 ~学生たちが考え、書き綴った、障害学生をめぐる大学のいま~」を制作。2016年3月31日に発行する。この冊子は、主に教職員を対象に、障害を持つ学生と彼らをサポートする学生への理解を促し、より良い授業を運営してもらうことを目的としている。
2016年4月、障害を理由とした差別の禁止を義務づける障害者差別解消法が施行される。障害者が社会的障壁を感じずに生活できるような「合理的配慮」の提供が、国立大学などの公的機関には義務、私立大学などには努力義務として定められる。
立命館大学は、2006年に障害学生の修学を支援する「障害学生支援室」を開設し、今年で10年を迎える。支援は、学生サポートスタッフによる「ピア・サポート」(学生同士の支えあい、学びあい)を基本に、パソコンでのノートテイクや黒板の板書代筆などを行っている。2015年度は、3つのキャンパス(京都、滋賀、大阪)で、7名の障害学生がこの支援を利用しており、約50名の学生サポートスタッフが登録している。しかし、こうしたサポート体制をとっているものの、授業を担当する教職員によっては板書や説明のスピードが早いためサポートが追いつかず、障害学生がリアルタイムで授業を理解することが難しかったり、学生サポートスタッフがいるからという理由で、一部配慮の必要はないと考える教員がいたりと、教員とのコミュニケーションで苦労するケースが多々ある。
当事者である学生たちは、自分たちの困りごとや本音を率直に発信し、障害学生やサポート学生への理解を深めてもらうため冊子を作ることにした。この冊子を通じて、「障害学生への配慮は、誰もが受けやすい授業につながる」ということを教職員に伝えていきたいと考えている。
今回の活動は、そのうちの視覚障害のある学生も含めた支援室に関わる学生11名が中心となり、2015年9月から勉強会やケーススタディ、編集会議を重ねて企画・制作に取り組んできた。教職員・障害学生・障害のない学生3者へのインタビュー取材をしたほか、障害学生の本音を引き出す座談会を企画したり、「今日からできる配慮一覧」と題して、いつでも始められる配慮例をまとめ、これをきっかけに障害学生との対話を提案している。
冊子は、全45ページ(B5版)。教職員および学生、大学受験を考える障害のある受験生にも配布する予定。また、障害学生支援室のホームページでも閲覧可能。
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