欧州呼吸器学会 (ERS) 2018国際会議で発表
本資料はアストラゼネカ英国本社が2018年9月16 日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は9月16日、中等症から最重症の慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)の患者さん(過去1年の増悪歴は問わない)を対象に、PT010(ブデソニド[吸入ステロイド薬、ICS]・グリコピロニウム[長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬、LAMA]・ホルモテロールフマル酸塩[長時間作用性β2刺激薬、LABA]の3剤配合剤)の有効性と安全性を、2剤配合剤であるBevespi Aerosphere(グリコピロニウム・ホルモテロールフマル酸塩の配合剤) 、シムビコートタービュヘイラー(ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩の配合剤)およびPT009 (ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩の配合剤)と比較検討した第III相試験(KRONOS試験)の結果が公表されたことを発表しました
1。
KRONOS試験は呼吸機能の主要評価項目9項目のうち8項目を達成し、主な副次的評価項目では、試験前12カ月間の増悪歴を問わない患者集団において、PT010はBevespi Aerosphereとの比較で、中等度または重度のCOPD増悪の発現率を52%低下し、統計学的に有意な抑制効果を示しました。さらにPT010は、PT009およびシムビコートとの比較においても、中等度または重度のCOPD増悪の発現率をそれぞれ18%と17%低下し、数値的な改善を示しました(統計学的有意差なし)。また、本試験において肺炎であると判定された症例数は少なく、肺炎の発現率はすべての患者群において同等でした
1。主要評価項目の詳細は後述の通りです。
本データは、フランス・パリで開催の欧州呼吸器学会(ERS)2018国際会議において9月16日に発表され、
The Lancet Respiratory Medicineに掲載されました
1。
アストラゼネカのグローバル医薬品開発部門呼吸器領域の責任者であるDr. Colin Reisnerは次のように述べました。「PT010の呼吸機能改善における有効性と、COPD患者さんに対する3剤配合治療薬としての潜在的価値を示すKRONOS試験の結果により、当社の自信が深まりました。PT010がグリコピロニウム・ホルモテロールフマル酸塩の2剤配合剤との比較で、中等度または重度のCOPD増悪の発現率を半減させたことは重要です。2019年に予定しているCOPDの増悪に対する抑制効果を検証するETHOS試験により、PT010の特徴がさらに明確化されることを期待しています。」
KRONOS試験の筆頭著者である、南東ミシガン肺研究所(米国ミシガン州・リボニア)のGary Ferguson教授は次のように述べました。「COPDの増悪は、呼吸機能と死亡率に影響を与えるため、COPDの管理における優先事項であり、12カ月間増悪歴がない患者さんでも増悪リスクに晒されています。KRONOS試験において、PT010はLAMA/LABAの2剤配合治療薬との比較で、過去1年間の増悪歴に関係なく、COPDの症状がある患者さんにおけるCOPDの増悪リスクを低下することが示されました。」
KRONOS試験では、PT010の安全性あるいは忍容性における新たな事象や想定外の事象は認められませんでした。また、有害事象プロファイルも過去の試験において認められたものと一貫していました。最も高い頻度で報告された有害事象は鼻咽頭炎、上部気道感染症、COPD、気管支炎、筋痙攣、発声障害、高血圧、呼吸困難、背部痛および悪心でした。肺炎の発現率は低く、PT010(1.9%
)、Bevespi Aerosphere(1.6%)、PT009(1.9%)、シムビコートタービュヘイラー(1.3%)すべてで同程度でした。
アストラゼネカはPT010に関する最初の薬事承認申請を2018年下半期に行う予定です。
以上
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
COPDは、肺の気流閉塞を引き起こし、消耗性の息切れ症状を呈するようになる進行性の疾患です
2。COPDは世界中で推定3億8,400 万人に影響を与え
3、2020年までに死因の第3位になると予測されています
2。呼吸機能の改善や増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することがCOPD治療において重要です
2。
COPDの増悪は生活の質(QOL)を著しく損なうだけでなく、病勢進行、呼吸機能低下の加速、頻繁な入院、死亡率の増大につながります
4。たった一度の重症な増悪が死亡リスクを増大します
5。
PT010およびAerosphereポートフォリオについて
PT010はICSであるブデソニドとLAMAであるグリコピロニウム、LABAであるホルモテロールフマル酸塩の定量3剤配合剤を1つの吸入器で吸入します。本剤はアストラゼネカのAerosphere薬剤送達技術を採用し現在開発中です。また、Aerosphere薬剤送達技術は、海外で既承認のBevespi Aerosphere(グリコピロニウムとホルモテロールフマル酸塩の配合剤)の基盤ともなっている技術です。なお、Bevespi Aerosphereは、本邦において未承認です。
KRONOS試験およびATHENA臨床試験プログラムについて
KRONOS試験は、PT010の安全性および有効性を評価する、多施設無作為化二重盲検並行群間比較24週持続投与試験です。本試験は、PT010をBevespi Aerosphere (pMDIによるグリコピロニウムとホルモテロールフマル酸塩14.4/9.6μgの配合剤)、シムビコートタービュヘイラー(ブデソニドとホルモテロールフマル酸塩400/12μgの配合剤)およびPT009(Aerosphere薬物送達技術を用いた加圧噴霧式定量吸入器[pMDI]によるブデソニドとホルモテロールフマル酸塩320/9.6μgの配合剤、PT010の臨床試験において対照薬として使用している薬剤)と比較しました。患者さんはPT010、Bevespi Aerosphere、シムビコートタービュヘイラー、PT009のいずれかの1回2吸入を1日2回吸入しました。KRONOS試験は、約1,900例の中等症から最重症のCOPD患者さんを対象に実施し、約4分の3 (74%)の患者さんに過去12カ月間報告された増悪はありませんでした。
KRONOS試験では、対照薬PT009を評価する非劣性評価項目2項目を含む主要評価項目9項目のうち8項目を達成しました。
The Lancet Respiratory Medicineには、本試験の主要評価項目のうち6項目についての文献を投稿しています。KRONOS試験の主要および副次評価項目、ならびに治療薬間の比較は、各地域の規制要件により異なります
1。
ATHENAは、PT010に関するアストラゼネカの第III相臨床試験プログラムで、全世界で11の試験に1万5,500例を超える患者さんを組み入れています
6,7,8,9。ETHOS、KRONOS、 TELOSおよびSOPHOSがATHENAの主要4試験です。ETHOS試験、TELOS試験およびSOPHOS試験はPT010およびPT009に関する試験で、それぞれ吸入ステロイド(ICS)低用量と高用量の剤型を含み、好酸球レベルによって患者さんを層別化して無作為割付しています
7,8,9。
シムビコートについて
シムビコートはICSのブデソニドとLABAのホルモテロールを1つの吸入器に配合した吸入剤です。シムビコートは、シムビコートタービュヘイラーもしくはシムビコートpMDIの剤型でCOPD治療薬として世界約120カ国において承認されています。同剤の適応症は国・地域により異なるため、それぞれの処方情報あるいはSummary of Product Characteristics (SmPC)を参照してください。
日本で販売されているシムビコートタービュヘイラーは、1吸入あたり160/4.5μgのDelivered dose(容器から放出される薬物量)で記載していますが、本文においてはMetered dose(容器内で量りとられる量)である、1回(2吸入)あたり400/12μg相当で記載しています。
Bevespi Aerosphereについて
Bevespi Aerosphereは長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)のグリコピロニウムと、長時間作用性β2刺激薬(LABA)のホルモテロールフマル酸塩の2剤を定量配合した気管支拡張剤です。Bevespi AerosphereはAerosphere 薬物送達技術を用いた最初で唯一のLAMA/LABA配合剤です。Bevespi Aerosphereは気道全体に効果的に薬剤を送達することが画像試験で示されています。また、Aerosphere 薬物送達技術は、PT010を含む新薬候補の技術基盤でもあります。
アストラゼネカの呼吸器疾患領域について
呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、製品ポートフォリオは年々成長し、2017年には世界中の1,800万人以上の患者さんに当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術は加圧噴霧式定量吸入器、ドライパウダー吸入器、ならびにAerosphere 薬物送達技術などに及びます。また、当社の呼吸器生物学的製剤には、現在好酸球性の重症喘息治療薬として承認され、重症鼻ポリープ症の治療薬として開発中のファセンラ(抗好酸球、抗IL-5受容体α抗体)、および第IIb相試験の主要評価項目と副次評価項目を達成し、第III相臨床試験を実施中のtezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、疾患発症機序を解明する研究を行っています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
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- Clinicaltrials.gov. A Study to Assess the Efficacy and Safety of PT009 Compared to PT005 on COPD Exacerbations Over a 52-Week Period in Subjects With Moderate to Very Severe COPD (SOPHOS). [Online]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02727660. Last accessed: August 2018.