北里大学獣医学部が肉用牛の生産性向上を実現する『飼料設計アドバイスシステム(フィードバランサー)』を開発



北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室(青森県十和田市)において、肉用牛繁殖農家や技術者向けのスマートフォンアプリとして、繁殖雌牛に対する適切な飼料給与量やバランスを助言できる『飼料設計アドバイスシステム(フィードバランサー)』を新たに開発したのでお知らせします。この開発により、肉用牛繁殖農家では、繁殖雌牛に必要な飼料給与量や栄養素のバランスを把握できるとともに、必要な栄養素を過不足なく給与できるようになり、繁殖成績の改善が見込まれ、生産性の向上が期待されます。





 繁殖成績の低下は、肉用牛繁殖農家において収益性に大きな影響を及ぼす重要な問題です。特に、肉用牛繁殖経営では、"1年1産"が経営目標とされているところですが、家畜改良増殖をめぐる情勢(農林水産省:令和2年)によると、国内における平均分娩間隔は13.2ヶ月であり、"分娩間隔の短縮が課題"と示されています。

 分娩間隔の延長には、発情見逃しや人工授精技術など種々の要因が関与していると考えられていますが、繁殖雌牛の栄養状態は本質的な要因であるため、栄養管理は繁殖管理の"土台"と言えます。ところが、現状では飼養者の勘や経験よって飼料給与量を手加減で増減している状況であり、熟練の技術に大きく依存していると言えます。一方で、飼料給与量の過不足によって過肥や削痩となり、結果として繁殖成績低下や分娩事故の引き金となっているケースも多く見受けられます。そのため、繁殖雌牛に対する適切な飼料給与量やバランスを助言できる支援ツールが求められていました。

 今回開発した『飼料設計アドバイスシステム(フィードバランサー)』は、黒毛和種繁殖雌牛を対象として、繁殖ステージに応じた栄養素の必要量を自動算出するススマートフォンアプリで、体重と繁殖ステージ(妊娠末期、授乳期など)を入力して、給与飼料(粗飼料、濃厚飼料など)を選択し、給与量を入力すると、必要な栄養素量に対する給与飼料の割合(過不足)がレーダーチャートで表示される仕組みです。また、発育中の育成牛(子牛)を対象としたプログラムも併せて搭載しました。

 この『飼料設計アドバイスシステム(フィードバランサー)』は、農研機構生研支援センター「生産性革命に向けた革新的技術開発事業」の支援を受けて北里大学獣医学部が開発したもので、2021年1月30日から公開する予定です。


■問い合わせ先
≪研究に関すること≫
 北里大学獣医学部 動物資源科学科
 動物飼育管理学研究室
 鍋西 久 准教授
 TEL: 0176-23-4371(代表)
 E-mail: nabe9@vmas.kitasato-u.ac.jp

≪報道に関すること≫
 学校法人北里研究所 総務部広報課
 〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
 TEL: 03-5791-6422
 E-mail: kohoh@kitasato-u.ac.jp



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