大阪ガスは、
京都大学、
NJS、
大阪市と共同で、
下水処理場で発生するバイオガスを活用したバイオメタネーションのフィールド試験*1
を、2022年度中に開始します。なお、4者はこのたび、国土交通省の令和4年度下水道応用研究に採択されました。
メタネーションは、二酸化炭素と水素から都市ガスの主成分であるメタンを合成する技術です。この合成メタンは、都市ガスの既存インフラや消費機器をそのまま利用でき、電化が難しい分野への展開も可能です。また、CO2をリサイクルし、再生可能エネルギー由来の水素と組み合わせることで、将来の都市ガスのカーボンニュートラル化に貢献できます。
なお、バイオメタネーションは、生物反応を用いてCO2と水素をメタンに合成する技術です。
本フィールド試験は、2022年度中に大阪市の海老江下水処理場で開始する予定のもので、新たに設置する小規模な試験装置に下水汚泥と水素を投入し、下水処理場と同じ条件のもとで下水汚泥をバイオガス化しながらさらに、バイオガス中のCO2と水素を微生物によりメタン合成するバイオメタネーションを行います*2。また、2023年度には、同試験装置に廃棄バイオプラスチックの分解物である乳酸を投入することで、バイオガスの発生量自体を増大させるフィールド試験も行う予定です。
これらにより、下水汚泥をバイオガス化する場合と比べ、下水汚泥から得られるメタンの量を約3倍に増加させるとともに、メタン濃度を85%以上に高めることを目指します。
なお、本フィールド試験では、当社がバイオメタネーションとバイオガス発生量増大のフィールド試験を、大阪市が試験サイトと下水汚泥の提供を、京都大学が実用規模を想定したシミュレーションを、NJSが環境性の評価を行う予定です。
*1:開発中の技術を、実際に使用する状況下を模した装置で試すもの
*2:一つの装置の中で、バイオガス化にくわえメタネーションを行う方式を「in-Situ方式」と呼び、これを採用することで、下水処理場の既存のバイオガス化装置を活用でき、新たなメタネーション装置が不要になるため、導入が容易
- 本フィールド試験の概要
*3:本フィールド試験では市販の水素ボンベを使用予定
*4:本フィールド試験では市販の乳酸を使用予定
- 国土交通省 令和4年度下水道応用研究の概要
- Daigasグループが取り組む3つのメタネーション技術
図:Daigasグループが取り組む3つのメタネーション技術
当社は今後、バイオメタネーション技術を段階的にスケールアップし、2030年頃の下水処理場での実用化や得られたメタンを都市ガスに導入することなどを視野に検討を進め、地域の未利用バイオマス資源を活用した熱エネルギーの地産地消モデルを検証したいと考えています。
Daigasグループは、2021年1月に発表した「カーボンニュートラルビジョン」のもと、脱炭素社会に貢献する技術・サービスの開発、気候変動をはじめとする社会課題の解決に努め、暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループを目指してまいります。