大阪ガスは、大阪市や大阪広域環境施設組合の協力のもと、カーボンニュートラル社会の実現を目指し、再生可能エネルギー来の水素と、生ごみを発酵させて製造したバイオガスとをメタネーションし、製造されたメタンを配管で輸送し、都市ガス消費機器で利用するというサプライチェーン構築を目指す実証事業を、2022年度から開始します。なお、本事業は環境省の「令和4年度既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築実証事業」に採択されました
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メタネーションとは、水素と二酸化炭素(以下「CO2」)から都市ガスの主成分であるメタン(以下「合成メタン」)を合成する技術です。
バイオガスは、下水汚泥や生ごみ等のバイオマス資源から発生し、一般的にメタン・約60%とCO2・約40%で構成されるガスを指します。本事業では、都市部の生ごみからバイオガスを製造した後、バイオガス中のCO2をメタネーションすることでメタンを増加させ、バイオガスの更なる有効活用に繋げることを目指します。
本事業は、再エネ由来水素と地域の未利用バイオマスを活用したエネルギーの地産地消モデルと位置づけられ、合成メタンの利用による天然ガスの代替によりCO2排出量の低減を目指します。まず、大阪広域環境施設組合が運営管理する大阪市此花区にあるごみ焼却工場(舞洲工場)の敷地内にて、再エネ由来水素と生ごみ1t/日から得られるバイオガスから、5 Nm3/h規模のメタンを製造します。メタネーション設備は、大阪ガスが保有する微生物によるメタネーション技術(以下「バイオメタネーション」)を導入した設備と、日立造船株式会社のメタネーション設備の両方を用います。水素はDaigasグループが保有する再エネ電源を用いて、水電解装置により製造します。生ごみは、株式会社ライフコーポレーションが保有する大阪市内のスーパーの食品残渣を活用します。製造したメタンをガス調理機器・給湯器等で利用し、安定的なメタン製造・利用が可能であるかを確認します。
2024年度からは、装置を大阪・関西万博会場に移設し、再エネ由来水素と会場内で発生する生ごみ由来のバイオガスからメタンを製造し、会場内の熱供給設備やガス厨房で利用する予定です。なお本事業は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(以下「博覧会協会」)が掲げる「EXPO2025グリーンビジョン
*2」の実現に貢献できるプロジェクトとして期待されています。
さらに大阪・関西万博期間中は、大気中のCO2をメタネーション原料として用いることで、メタン製造量を増加させることを検討しています。
本事業後は、メタネーション設備のスケールアップを図りながら、2030年までに、再エネ由来水素と生ごみ由来バイオガス中のCO2から合成メタンを製造するシステムを、近畿圏を中心にごみ焼却工場や食品加工工場向けに導入することを目標としています。再エネ由来水素を合成メタンとし、既存の都市ガスインフラ・機器でそのまま活用できる水素サプライチェーンを構築することで、熱需要の低炭素化、追加的な社会コストの低減、エネルギーセキュリティーの向上を図り、早期の社会実装を目指します。
本事業の概要について