京都産業大学 神山天文台の研究グループは、彗星が太陽紫外線放射を浴びることで発する「酸素原子オーロラ輝線(酸素輝線)」の原因が、従来その主な原因と考えられてきた「ライマン・アルファ輝線」よりも高いエネルギーの光子であることを突き止めた。この研究成果は「酸素原子オーロラ輝線の起源」に関する議論に終止符を打つものであり、小天体の地上観測手法を飛躍的に改善させる重要な知見となることが期待される。
彗星は太陽紫外線放射を浴びることで赤や緑色の「酸素原子オーロラ輝線(酸素輝線)」を発する。従来、その主な原因は、太陽紫外線放射の非常に強い成分である「ライマン・アルファ輝線」であると考えられてきた。
今回、京都産業大学神山天文台(河北秀世台長)は、理論面での再検討と過去の観測データの詳細な分析とから、実際にはその原因が、「ライマン・アルファ輝線よりも高いエネルギーの光子」であることを突き止めた。本研究によって得られた理論的知見により、彗星「核」の氷成分として最も重要なH2O(水)とCO2(二酸化炭素)の成分比を、より厳密に測定する手法の確立に見通しが開けた。
河北教授は、「解決できずに困っている問題が、意外な発想で簡単に解決できることがある。今回の論文は、まさにその類のものであり、誰が思いついても不思議ではなかったアイデアだと思う。今後、彗星における酸素輝線のさらに詳しい研究を進め、H2O以外の分子の寄与、とくにCO2とO2(酸素分子)の量を測ることを目指している」とコメントしている。
この研究成果は、2022年5月21日(日本時間)に天体物理科学雑誌「Astrophysical Journal」(オンライン版)に掲載された。
むすんで、うみだす。 上賀茂・神山 京都産業大学
関連リンク
・彗星の酸素輝線の謎を解明
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20220517_859_comet.html
・京都産業大学 理学部 宇宙物理・気象学科 河北 秀世教授
https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/sc/kawakita-hideyo.html
・京都産業大学 神山天文台
https://www.kyoto-su.ac.jp/observatory/
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