プライベート・エクイティ投資とパブリック・エクイティ投資の6つの主な違い

新たな投資家層である個人投資家がプライベート市場に参入しています。プライベート・エクイティ市場とパブリック・エクイティ(公開株式)市場への投資における、主な違いについて説明します。

ローリー・ベイトマン
投資部門共同責任者兼
株式部門グローバル責任者


ティム・クリード
プライベート・エクイティ投資部門
責任者、シュローダー・キャピタル

シュローダーの投資部門共同責任者兼株式部門グローバル責任者のローリー・ベイトマン(RB)と、シュローダー・キャピタルのプライベート・エクイティ投資部門責任者のティム・クリード(TC)に、プライベート・エクイティ投資とパブリック・エクイティ投資の6つの違いについて解説してもらいました。

1) オーナーシップ
RB:「パブリック・エクイティとは、株式市場に上場する公開企業であり、数百万人の投資家によってその株式が所有されている場合があります。これらの株式は毎日、また日中にも取引することが可能です。」

TC:「非公開企業は上場しておらず、通常、個人や家族またはプライベート・エクイティ・ファンドが所有しています。プライベート・エクイティ・ファンドは、何年もかけて企業を大きく成長させるために、年金基金、保険会社、基金、財団、そして個人投資家からの資金を募り、それらの企業を買収します。 英国および世界の企業の大半は非公開企業です。」

2)情報の入手可能性
RB: 「公開企業は、一般に認められた会計・報告基準に従って、企業に関する重要情報を公開しなければなりませんが、非公開企業にはそのような法的義務はありません。」

TC: 「非公開企業に関する情報は公開されていないこともありますが、ジェネラル・パートナーやリミテッド・パートナー*は、その企業に関するすべての情報にアクセスできます。すべての情報をパブリックに公開する必要がないことの利点の一つは、非公開企業は、規制上の報告義務を果たす必要がない代わりに、ビジネスの運営に時間とリソースを集中できることです。」

*ジェネラルパートナー(GP)はファンドの運用を行う投資の専門家、リミテッドパートナー(LP)はプライベート投資に資金を提供する外部の投資家

3)投資先企業への関与
RB: 「公開企業の株主として、受動的な株主になることも、他の投資家を代表して企業行動にプラスの影響を与えようとする、積極的な株主になることも可能です。シュローダーでは、投資先企業への関与を非常に重視しており、責任ある企業市民として、投資先企業が最もサステナブルな方法で経営されるよう、発言権を行使しています。」

TC:「プライベート・エクイティの投資家は、積極的に利害関係者として役割を果たす機会が、間違いなく多くなるでしょう。一般的に、公開株式市場の投資家は多くの少数株主の中の一人であるのに対し、プライベート市場の個人投資家は、少数の大株主の一人です。そのため、ビジネスにより近い存在となり、企業運営に大きな影響を与えることができます。さらに、プライベート・エクイティ・ファンドが投資する際には、通常、成長分野について明確に合意した事業計画を、経営陣と共同で作成します」。

4)バリュエーションの手法
TC:「プライベート・エクイティへの直接投資は、一般に認められた価値評価の原則および手続きに従って、通常、月次または四半期ごとに評価されます。評価手法は、以下の3つのアプローチのいずれか、またはそれらの組み合わせに基づきます。」

―マーケット・アプローチ(比較可能な同業他社の価値を参考に、マルチプルを適用する手法)
―インカム・アプローチ(企業のキャッシュ創出力と収益性に基づいて評価する手法)
―マイルストーン / イベント・ドリブン・アプローチ(当面の間インカムやキャッシュフローを創出できない企業に対して行う手法)

RB:「上場株式は、需要と供給に基づき、毎日市場で価格が決定されます。どの公開市場データのプロバイダーにアクセスしても、上場株式の価格をいつでも正確に知ることができます。仮に多くの投資家が株式を売却している場合、他の条件が全て同じであれば、需要の減少と供給の増加は、株価の重しとなります。対照的に、株式の買手が多く、供給が一定であれば、その株価は上昇するはずです。」

5)流動性
RB:「上場株式は比較的流動性の高い投資と考えられています。これは、一般的に上場株式は素早く売買できるため、投資した現金をいつでも回収できるからです。」

TC:「プライベート・エクイティは業界が成熟し、大きな市場となるにつれて、プライベート資産の流通市場がますます重要な役割を果たしてきています。これは、投資家がファンドマネージャーを通じて取引することにしばられず、プライベート資産の買手と売手を見つけることが容易になってきたことを意味します。」
「また、プライベートエクイティ投資の仕組みも、例えば定期的な流動性ウィンドウを設けるファンドなど様々あります。これは、投資期間が終了する前に資金を引き出す必要があるかもしれない投資家にとって、より大きな柔軟性をもたらします。」

6) アクセスのしやすさ
RB:「未経験の投資家でも簡単に株式の売買ができる様々なプラットフォームがあり、公開株式の購入は比較的簡単なプロセスです。」

TC:「一般的な投資家がプライベート・エクイティにアクセスすることは、パブリック・エクイティに比べると難しいですが、規制や新しい商品の開発により、いくつかの点では容易になりつつあります。例えば、欧州長期投資ファンド(ELTIF)は、洗練された個人投資家がプライベート・アセットにアクセスできるようにしたファンド形態の一種です。一般的に、この種のファンドはキャピタルコールの回数が少なく、投資期間が短く、個人向けに税務申告は簡素化され、最低申込金額も低くなっています。」
「キャピタルコールとは、ファンドマネージャーが、投資を実行し、費用や手数料などのファンドの義務を果たすために、ファンドの投資家に資金の提供を呼びかけることです。」


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組織名
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
ホームページ
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/
代表者
黒瀬 憲昭
資本金
49,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号丸の内トラストタワー本館21 階
連絡先
03-5293-1500

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