大阪ガスと
イオンアグリ創造は、大阪ガスが開発した農作物の収穫量を高精度に予測する新手法を用い、本日から、イオンアグリ創造の千葉県と島根県のイチゴ農場において実証実験を開始します。本手法は、農作物の収穫量に影響を与える光合成量を算出するモデル(以下「光合成モデル」)と人工知能(以下「AIモデル」)を組み合わせた予測手法で、農作物の流通の安定性、フードロスの削減等に貢献します。
イオンアグリ創造は、全国で20か所の直営農場において生産した農作物を、イオングループ各社に販売しています。イチゴを販売する際、計画的な販売を行うために10日程度先までの出荷量を把握する必要があります。各農場の栽培担当者がイチゴの成熟具合や天気予報に基づき農場全体の収穫量を予測し、出荷量を想定しますが、収穫量の予測は、気温や日射量等の気象の影響を受ける上、経験・ノウハウに基づく作物の生育に関する知識が必要となります。予測結果と実際の収穫量に差異が生じると、不足時には追加調達・欠品、余剰時には商品価格低下・廃棄ロス等が発生する恐れがあります。
大阪ガスでは、2008年から独自手法による気象予測を開始しており、気象に関する知見の蓄積に加えて、AI技術の開発と活用を進めてきました。
両社は、2021年から、イチゴ収穫量予測の精度向上と収穫の効率化等を目指した研究を開始し、この度、千葉県と島根県のイチゴ農場において実証実験を開始します。
大阪ガスが開発した新手法は、日射量・二酸化炭素(以下「CO
2」)濃度・湿度等から光合成量を算出する「光合成モデル」と、光合成量・樹齢等から収穫量を予測する「AIモデル」を組み合わせたものです。AIを活用した農作物の収穫量予測は従来からありましたが、新手法では農作物の生育のもととなる光合成量を予測するモデルと組み合わせることで、高い予測精度と汎用性を実現します。
実証実験では、本日から2023年6月頃の間、千葉県の柏農場と島根県の安来農場における翌日から10日先までのイチゴの収穫量を予測し、予測結果を参考にした収穫と出荷を通じて本手法の有用性評価を行います。また、本手法の更なる改良も進める予定です。さらには、本手法をトマト等の他の農産物の収穫量予測に展開することも目指します。
本手法が実用化されることで、各種の農作物出荷量の最適化や流通の安定性、フードロスの削減や効率的な作業人員の配置が実現します。また、ビニールハウス等の施設栽培においては、本手法による生育予測に基づき、日射量やCO
2濃度等の生育環境を制御することで、収穫量や品質の安定化にも貢献できると考えています。
さらには、農林水産省が推進する「有機農業」においては生育状況の予測による価格・品質・生産量の安定化に、「新規就農」においても経験が少ない農業従事者の支援にも貢献できると考えています。
大阪ガスとイオンアグリ創造は、農作物の収穫量を高精度に予測することで、農業の高度化に貢献してまいります。
本手法の概要
・日射量、CO
2濃度、湿度等から光合成量を算出する「光合成モデル」と、光合成量や樹齢等から収穫量を予測する「AIモデル」を組み合わせたもの。
実証実験のイメージ
会社概要