職員に対する周知やタスク管理、問い合わせ、各種申請手続きなどの庁内手続きを統一プラットフォームで運用、業務の効率化・高度化を促進
デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役社長 佐瀬真人、以下、デロイト トーマツ)とServiceNow Japan合同会社(東京都港区、執行役員社長:鈴木 正敏 以下、ServiceNow Japan)は、東京都渋谷区の職員用ポータルサイトを、ServiceNowの製品であるHR Service Delivery (HRSD)*を導入して構築しました。このポータルサイトで、職員に対する周知や問い合わせ管理、各種申請などのワンストップな運用が可能になり、大きな業務の効率化・高度化が期待できます。HRSDが、自治体の職員用ポータルサイトに採用されるのは全国で初めてです。
* HRSD:米国ServiceNow社 のNow Platform上で運用され、様々な部門のメンバーが統一されたプラットフォーム上で各種の業務ができるSaaS製品
渋谷区ではこれまで、職員が必要とする情報は全庁ポータルサイトのほか、課の独自サイトやファイルサーバーなどに散在し、検索が難しく、欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかっていました。庁内の問い合わせはチャットやメール、電話など複数のツールを使い、回答する側の情報共有や負荷の分散ができず、業務量の可視化もできていない課題がありました。一方で、多くの自治体と同様に、人口減で将来的な職員不足が予想され、内部事務の効率化や業務の高度化が急務になっています。こうした課題を、ポータルサイトの一元化で解決し、職員が本来の業務に十分な時間をかけられるようにするため、2022年度からHRSDを導入して新たな職員ポータルサイトの構築プロジェクトを進め、2023年5月に運用を始めました。
新たな職員ポータルサイトは、主に以下の特徴があります。
- 業務システムへのリンクや周知用掲示板などを集約
- 各主管課からのお知らせや作業依頼を職員の属性に応じて一括配信
- 職員からの問い合わせとその対応を集約し、チャットボットでの回答も導入
- 各主管課に対する庁内申請業務を電子化
- 各部門同士の連携を管理
渋谷区の在籍職員数は約2700人。職員用のポータルサイト機能を統合管理してから約4カ月が経過し、成果として問い合わせ対応業務において月間平均50時間削減を実現するとともに、他部署からもポータルを利用した業務改善提案が見られるなど、住民サービスにより注力できる環境が醸成されつつあります。
具体的な効果は以下となります。
- 問い合わせの自己解決率が上がり、定型的な問い合わせのリードタイムが削減された。
- 問い合わせを受ける側は、担当者タスクの平準化が実現でき、さらに特殊問い合わせについては対応履歴を参照できるので経験の浅い職員でも対応可能になった。
- 申請手続きは、処理がどこまで進んだのかワークフローが可視化されることにより問い合わせが減った。
- 対象者を指定したタスク配信により、リマインドをしなくても着実な処理実行が行えるようになった。
- BYOD(個人所有の携帯端末)で移動中や隙間時間にも職員ポータルをチェック出来るようになり、情報連携が密になった。
また、ローコード開発*が可能であるNow Platformを採用したことで、将来的には職員自らが必要な機能を拡充し、継続的な改善や次なるDXにつなげられる特徴もあります。
*ローコード開発:ドラッグ&ドロップによるGUI操作を中心として、プログラミング言語の知識に依存せずにアプリケーションの作成を行うことができるプラットフォーム
デロイト トーマツ グループは、各インダストリーが直面する固有の問題を熟知したプロフェッショナルチームが、知見を広く提供すると共に、クライアントに総合的なサービスを提供しています。そのうちの一つが政府・公共向けサービスであり、サービスの受け手である住民に焦点を当てた公共業務の成果最大化を支援しています。常に先進的なサービスを提供するため、デロイトのグローバルの専門家と連携し、政府・公共向けサービスにイノベーションを起こすようなテーマについて、日々研鑽を重ねています。
なかでも自治体DXを含むデジタルガバメントは近年の重要テーマの一つで、単なるデジタルツールの導入ではなく、デジタルを活用した住民向けサービスの大幅な向上、新たな価値の提供を目指すものです。デロイト トーマツはこういった取り組みが持続的になるために、組織戦略やヒューマンキャピタルのコンサルタントとも連携し自治体DXを担う組織・人材の変革も含めた幅広いソリューションを統合的に提供しています。
ServiceNow Japanは、組織がDXを促進する上で必要なのはさまざまなワークフロー(業務の流れ)をエンドツーエンドなプラットフォームで連携させ、1つのデジタルデータを多くの業務や部門間で活用・共有できる「デジタルワークフロー」の環境整備が重要と考えています。この「デジタルワークフロー」の仕組みを構築するクラウドプラットフォームが当社が提供する「Now Platform®」です。当社は、製造、金融といった業種別に特化したソリューションを提供し、自治体向けのDX促進の支援にも注力しており、その際、住民の利便性向上のみならず職員の業務負担の改善も強く意識しています。Now Platformが各システムをつなぎ、住民と職員の架け橋の役割を果たすことで業務が可視化・整流化され、職員はデジタルとアナログの両面から一層住民に寄り添う行政が実現できると考えています。さらにNow Platformはシステム連携のみならず、職員自身が新たなサービスや機能を実装しやすくするローコードによるアプリケーション開発も実践できる点も特徴です。