~銅系材料を通じて電気電子回路部品の価値を高め、モビリティ・情報通信分野に貢献~
● 抵抗器に好適な銅系抵抗材として高い体積抵抗率(98μΩ・cm)を有する「EFCR(R)-100」を開発
● 多様な環境下における抵抗特性の安定化を実現(安定的な電気特性・非磁性・銅めっき密着性)
● 24年度量産販売を開始、今後も新たな価値提供のためEFCR(R)シリーズを拡充予定
古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:森平英也)は、高精度を要求される抵抗器に最適な銅系抵抗材「EFCR(R)」シリーズの新たなラインナップとして、世界最高クラスの高い体積抵抗率を有する「EFCR(R)-100」を開発しました。本製品は、2023年度下期からサンプル提供、2024年度中に量産・販売の開始を予定しています。
■背景
抵抗器は電流制御・分流・検知の役割から、高精度な電気電子回路に使用されるなどした自動車や電気機器に欠かせない部品です(図1)。抵抗器は用途や設計の多様化が進んでおり、使用される抵抗材は広範な温度域や磁界の影響を受ける状況など、様々な環境下で安定した抵抗値を保つことが求められます。こうしたなか、抵抗器の高抵抗化や小型化を望む顧客から、銅系抵抗材のラインナップを増やす要望とあわせて、製品化が期待されてきました。
図1 抵抗器と電気電子回路基板
■内容
当社独自の合金設計技術と製造技術を活かし、銅系抵抗材として世界最高クラスの高い体積抵抗率(98μΩ・cm、表)を有するEFCR(R)-100を開発しました。多様な環境下における抵抗特性の安定化を実現するEFCR(R)-100は、すでに上市済みのEFCR(R)-30(HRR)やEFCR(R)-44(CMR)と同様に抵抗温度係数や対銅熱起電力の絶対値が小さく、温度変化に対して安定的な電気特性を有します(表、図2)。また、銅マンガン系合金であるEFCR(R)-100は、鉄クロム系合金と異なり非磁性であるため、高周波の発生する状況下においても安定的な抵抗値を示します(図3)。加えて、鉄クロム系合金およびニッケルクロム系合金に比べ銅めっきの密着性が高いため、電極との接続信頼性にも優れています(図4)。なお、EFCR(R)シリーズは様々な設計およびプロセスに対応するため、異なる強度や伸びなど特徴に合わせたラインナップを展開しています。
今後も銅系材料を通じて電気電子回路部品の価値を高め、モビリティ・情報通信分野に貢献するため、様々な抵抗値を有するEFCR(R)シリーズのラインナップを拡充してまいります。
表 EFCR(R)シリーズの物性値
図2 EFCR(R)シリーズの温度に対する体積抵抗率の変化率
図3 磁界強度と磁束密度の関係(EFCR(R)-100およびFeCr系合金)
図4 ピール試験後の表面写真
(a)EFCR(R)-100 (b)FeCr系合金 (c)NiCr系合金
(注)体積抵抗率:物質の電気の通し易さを示す物性値、数値が大きいほど電気を通しにくい。
『EFCR』は日本における古河電気工業株式会社の登録商標です。
関連製品ページ
抵抗材用銅合金(線・条)
https://www.furukawa.co.jp/copper/product/inc/pdf/resistance.pdf
■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。
古河電工グループのSDGsへの取り組み
https://furukawaelectric.disclosure.site/ja/themes/182