ガバナンスのフレームワークが整備されていないと認識、
規制コンプライアンスの整備ができていると回答したのはわずか10%
AIおよびアナリティクスのリーディング・カンパニーである米国SAS Institute Inc.(以下 SAS)は、生成AIに関する最新の調査結果を発表しました。報告によると、米国国内の組織は、生成AIによってビジネスや人の生産性が向上する可能性について、非常に意欲的であることが分かりました。一方、そうした意欲の高まりの中で、リーダーたちは理解のギャップや戦略的な計画の欠如、人材不足などが、このテクノロジーの価値を実現し、測定する上での障害になっていると考えています。
この調査は今年初め、SASの支援を受けて Coleman Parkes Research 社が実施したもので、米国国内で生成AI戦略もしくはデータアナリティクスの意思決定者300人を対象に、主要な投資領域や組織が直面する課題についての意識調査を行いました。Coleman Parkesはこの調査を米国以外のリーダーにも実施し、グローバルな調査結果については、2024年後半に公開を予定しています。米国国内における調査のエグゼクティブサマリーについては、「Generative AI Challenges and Potential Unveiled: How to
Achieve a Competitive Advantage(
https://www.sas.com/en_us/offers/24q2/generative-ai-reports.html)(生成AIの課題と今後の可能性:競争で優位に立つための方法)」を参照ください。
SASの戦略AIアドバイザーであるマリネラ・プロフィ(Marinela Profi)は、次のように述べています。「組織は大規模言語モデル(LLM)だけではビジネス課題を解決できないことに気付き始めています。生成AIは、組織にとってビジネスのあらゆる願望を実現してくれる真新しいおもちゃなどではなく、ハイパーオートメーションの実現や既存のプロセスおよびシステムの高速化に貢献する理想的なアイテムとして扱われるべきです。時間をかけた先進的な戦略の策定や、LLMの統合、ガバナンス、説明可能性を提供するためのテクノロジーへの投資を行うことはあらゆる組織にとって重要なステップであり、一気に飛び込んで身動きが取れなくなる前に取るべき方策だと言えます」
生成AI導入に際して組織がつまずくポイントとして、主に4つの分野が挙げられています。
- データ利用における信頼性の向上とコンプライアンスの実践:LLMへのバイアスやプライバシーリスクを測定可能な信頼できるシステムがある、と回答したのは全体の1割に過ぎませんでした。さらに、米国企業の93%が生成AIのための包括的なガバナンスフレームワークが整備されていないと回答しており、規制対応に関しては、ほとんどの企業にコンプライアンス違反のリスクがありました。
- 生成AIの既存システムやプロセスへの統合:組織は、生成AIと既存システムの統合を図る際に、互換性の問題に直面していることを明らかにしています。
- 人材およびスキル:社内の生成AI人材の不足:人事部門は適切な人材の不足に直面しており、組織のリーダーは生成AIへの投資効果を上げるために必要なスキルを確保できないのではないかと懸念しています。
- コストの予測:リーダーはLLMの利用に伴って、直接、間接にかかる法外なコストを問題として挙げています。モデル開発者はトークン数でコストの見積もりを提供しており、組織はこれが法外な額にのぼることに気付いています。しかし、自社独自のナレッジの準備やトレーニング、
ModelOpsの管理には長期にわたって複雑にコストが掛かってきます。