発表のポイント:
- 福岡県大牟田市において、AIコンステレーションを活用した市民参加型ワークショップを開催し、地域の関係者や専門家を集めてAIと一緒に議論しました。
- 立場により様々な意見がある市民同士の議論に、AI同士の議論が与える効用を実社会で検証しました。
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、AI同士の議論により多様な視点から解を創出することを目指したAIコンステレーションを活用し、地域社会問題に対してAIと共同で議論を行う市民参加型ワークショップを開催しました。実社会では問題の複雑さや立場による意見の違いなど、多様な観点からの議論促進が求められており、AIコンステレーションにより人間同士の議論が深められるかを検証しました。本ワークショップでの知見を活かし、今後は地域におけるコミュニティ支援や企業内の意思決定支援など、様々な応用に向けて取り組んでまいります。
AIコンステレーションの取り組み概要や本イベントの模様は、2024年11月25~29日に開催されるNTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL(※1)で展示予定です。
1.背景
NTTでは、軽量でありながら世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」を開発しています[1]。また、1つの巨大なLLMではなく、専門性や個性をもった多様なLLMの集合知により社会問題の解決を図ったAIコンステレーションを提唱しており[2]、環境負荷の低減だけでなく、AI同士を自律的に協調させることで、新たな集合知を生み出す取り組みを進めています。
今回、このようなAIコンステレーションのコンセプトを、実際の地域における問題の複雑さや、立場により意見が異なる市民同士の議論に適用し、AI同士の議論が実社会にどのような効用を与えるのか検証しました。
2.AIコンステレーションの取り組み
AIコンステレーションは多様なAIモデルやルールを環境として与えることで、AI同士が相互に議論・訂正を行い、人が要因推測すら困難な問題に対し、多様な視点から解を創出する大規模AI連携技術です。AIコンステレーションでは、複雑な問題に対し、様々な専門性を持ったAIがそれぞれの視点から意見を表明することで、多様な価値観を創出することを目指しています。また、専門性や将来価値から、それら多様な視点からの意見に対する重要さを互いに議論することで、少数意見を尊重し、コミュニティ全体の議論を高度化することを目指しています。
NTTでは、このように多様なAIがつながり、相互に作用していくアーキテクチャを、星がつながり星座になっていくイメージをもって、「AIコンステレーション」と名付けました。
3.ワークショップの内容
「会議シンギュラリティ ~AIたちと考えるこれからの大牟田」
● 開催日:10月17日(木)
● 場所:うずうずマイン3F(福岡県大牟田市不知火町1-2-1)
● 共催:大牟田未来共創センター[3]、NTT、地域創生Coデザイン研究所(NTT西日本グループ)[4]、大牟田市
● 開催趣旨:人口減少により多くの地方都市で顕在化している社会問題に対し、地域の関係者や専門家を集めてAIと一緒に議論することで、参加者の議論をより深められるかを検証。
● 参加者(招待制):計24名程度
・テーマ「中小企業支援」:
中小企業経営者、金融機関職員、経済団体職員、労働組合職員、行政職員等
・テーマ「介護予防」:
理学療法士、作業療法士、生活支援コーディネーター、保健師、行政職員等
4.今後の展開
本ワークショップの模様やAIコンステレーションの取り組み概要については、NTT R&Dフォーラム2024 (2024年11月25~29日)にて展示予定です。また、ワークショップを通じて得られた知見に基づき、立場により解が異なるような複雑な問題解決に寄与するAIコンステレーションの具現化に取り組むことで、地域におけるコミュニティ支援だけでなく、地域創生や企業におけるマーケティング活用など、様々な意思決定を伴うユースケースへの適用を検討してまいります。
[1]
https://www.rd.ntt/research/LLM_tsuzumi.html
[2]
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/11/13/231113b.html
[3]
https://poniponi.or.jp/
[4]
https://codips.jp/
※1:「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」 公式サイト
https://www.rd.ntt/forum/2024/