川崎重工は、今年9月18日にヘリコプタ用救助支援システム 「HeROSS(ヒーローズ)」※の追加型式設計承認(STC)を国土交通省航空局から取得しました。同システムは、セントラルヘリコプターサービス株式会社および株式会社島津製作所と共同開発した、最新型ヘリコプター「H145//BK117 D-3」用のオプション装備品となります。
※Helicopter Rescue Operation Support Systemの頭文字をとったもの。
「HeROSS」は、レーザーレーダー(LiDAR)と機外監視カメラを搭載したセンサー・ポッドを機体下部の左右ボーディングステップに装備し、そこから収集した全方位の障害物情報を機内のタブレットおよびヘルメット・マウンテッド・ディスプレイ(HMD)に表示することで乗組員に対して注意喚起を促す周囲障害物監視システムです。
ヘリコプターを用いた人員救助活動においては、森林や山岳地帯など周囲に障害物がある環境でホバリング飛行を強いられる状況が多く、障害物の監視を強化する必要があります。この装備品の搭載により、乗組員がすべて目視で行っていた監視負担が軽減され、より安全かつ確実な救助任務の実行に貢献します。
【HeROSS概要】
1.主な構成部品
(1)センサー・ポッド(セントラルヘリコプターサービス製造)
(2)主計算機(障害物情報生成装置、島津製作所製造)
(3)表示器(タブレットまたはHMD:島津製作所製造) ※表示器への通信は機内Wi-Fiを使用
2.特長
(1)機体左右のセンサー・ポッドに内蔵されたLiDARで周囲をセンシング。検出した障害物情報は、自機から障害物までの距離に応じてカラー表示され、乗組員へ着実な注意喚起を実施。
(2)センサー・ポッドに後方/下方の計2方向のカメラを装備。広範囲の安全確認を補助。
(3)Wi-Fiによる最大4台の表示デバイスとの無線接続を実現。表示デバイスは、タブレットおよびHMDの2種類から選択可能。
ヘリコプタ用救助支援システム「HeROSS」の概念図
タブレット表示例
【主要諸元】
検知範囲(水平/垂直方向) |
左側LiDAR: 0~-190 deg 、右側LiDAR: 0~190 deg※1
/上方15 deg、下方-15 deg (16本のレーザーによりセンシング) |
障害物表示距離範囲 |
基準面から5~30m |
重量 |
8.5kg |
寸法 |
主計算機(障害物情報生成装置): 176×218×62mm
センサー・ポッド(レドーム部): φ126×H137mm |
表示デバイス |
タブレット、HMD(主計算機とWi-Fi接続) |
表示デバイス最大接続数 |
4台 |
表示内容 |
・障害物方向、距離(緑、黄、赤の3段階カラー表示)
・機体下方/後方のカメラ映像
・対地速度及び垂直速度 |
その他 |
飛散物によるノイズ除去プログラム実装済 |
※1 機体前方に左右LiDARの設置幅相当の非検知領域があります。
当社は今後も、BK117ヘリコプターの性能向上および各種用途に合わせた装備品を開発するとともに、これまでの納入実績に裏付けられた高い信頼性や、開発・製造・販売・アフターサービスまで全て当社で行えるきめ細やかなサポート体制を活かし、国内外問わず積極的な営業活動を展開し、快適で安全な空の移動に貢献していきます。
以上