シュローダー マクロ経済見通し(2025年7-9月期)
【米国】
米国経済については、引き続き堅調さを維持すると考えます。金融市場は、米国雇用統計の下方修正やトランプ政 権の政治的圧力に反応し、米連邦準備制度理事会(FRB)による近い将来の利下げを織り込んでいます。しかし、 その他の経済指標は米国労働市場が底堅いことを示しており、堅調なファンダメンタルズが個人消費を下支えると考え ます。加えて、関税の影響が顕在化するのには遅効性が伴うことを考慮すると、インフレが上振れするリスクがあるため、 即座の利下げは妥当ではないとみています。
【ユーロ圏】
ユーロ圏経済に対する楽観的な見方も現実のものとなりつつあります。EUと米国が貿易協定に合意したことで不透明 感は減退し、経済成長をさらに押し上げる可能性があります。また、緩和的な金融・財政政策が行われており、景気 サイクルの加速を促すとみています。ただし、これらは欧州中央銀行(ECB)の利下げサイクルが終了したことを意味 する可能性があります。
【英国】
スタグフレーション懸念がイングランド銀行(BoE)の追加利下げの障害になるという見通しも、ほぼ予想通りに進んで います。GDP成長率は1%を大きく上回る可能性は低いとみる一方、供給サイドの制約により、こうしたわずかな経済 成長率であってもインフレ率の高止まりにつながると考えます。今後数か月でインフレ率が再び4%を突破し、少なくとも 2026年半ばまで3%を上回る水準で推移することを懸念しています。労働市場のより顕著な悪化や、秋季予算案に おける財政引き締め策がなかった場合、当面の間、政策金利は4%で据え置かれる可能性が高いとみています。
【エマージング諸国】
中国経済は、デフレを伴う住宅バブルの崩壊に陥っています。2025年初から半ばにかけては、米国関税政策の度重 なる延期により、製造業輸出の前倒し需要が発生したことで、堅調な経済成長を維持しました。しかし、7月の経済指 標は低迷しており、輸出の減速と財政支援の効果が剥落することにより、さらなる国内経済減速を見込んでいます。過 剰生産能力はデフレ懸念を継続させ、名目GDP成長率は市場予想を下回る可能性が高いとみています。 その他のエマージング諸国の経済見通しは良好であるとみており、ドル安が継続すればさらに明るいものとなる可能性が あります。中央銀行は、通貨高に起因するデフレ機会を活かして利下げを実施しており、2026年の内需を下支えする とみています。インドは利下げサイクルの最前線に立っており、ブラジルも年内に金融緩和を開始する可能性が高いとみ ています。
今後想定される他のシナリオ
基本シナリオ以外で最も可能性の高いリスクシナリオとして、「米ドル安の進行」を想定しています。当シナリオでは、トラ ンプ米政権の政策や「双子の赤字」を背景に、投資家の米ドル資産需要が減退し、米ドルが2026年末までにさらに 20%下落するシナリオを想定しています。次いで可能性が高いのは、デフレーション方向のシナリオの「米国経済の低 迷」で、ビジネス環境を巡る不確実性から、米国企業は2025年下半期に採用を減らし、設備投資も削減するシナリ オを想定しています。
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