「金属アレルギー診療と管理の手引き 2025」を発行(厚生労働科学研究成果)
~知っておくべき金属アレルギーの実態と診断・指導~
藤田医科大学(愛知県豊明市 学長:岩田仲生) 医学部 総合アレルギー科・先端アレルギー免疫共同研究講座の矢上晶子教授は、厚生労働科学研究「金属アレルギーの新規管理法の確立に関する研究」の研究代表者として、『金属アレルギー診療と管理の手引き 2025(第1版)』を発行しました。本手引きは、金属アレルギー分野における重要な指針として、医療現場や関係者のみならず、一般の方にも広くご活用いただくことを目的に公開しています。金属は、日常生活に欠かせない物質である一方で、幅広い医療材料としての使用も増加しています。金属アレルギーは、すべての方に発症しうる疾患であるものの、わが国における診断や指導に関する正しく整理された情報がなく、適切な医療を受けられずに苦しんできた多くの患者さんの存在が課題となっていました。本手引きでは、わが国の金属アレルギーの実態を明らかにするとともに、診療・管理の実践的な方法について分かりやすく解説。本手引きが広く普及し、活用されることで、わが国における金属アレルギー診療が質的に大きく進歩し、国民の健康と生活の質の向上に貢献できると考えています。
|
診療と管理に携わる、医師・歯科医師をはじめ、歯科衛生士、管理栄養士、看護師など様々な医療従事者向けに、診療に役立つ基本的な知識や診療の流れ、生活指導のポイント、病診連携における情報共有の考え方などを分かりやすくまとめました。
患者さんを含め、すべての方が金属アレルギーの正しい知識を持つことが重要であり、一般の方にも配慮した内容としています。 ◇配布・公開について (第1版 2025年7月30日発行) ・ 全国のアレルギー疾患対策医療拠点病院79施設を中心とする医療機関などに冊子を配布 ・ 藤田医科大学総合アレルギーセンターのホームページ(https://www.fujita-hu.ac.jp/general-allergy-center/ )、厚生労働省の補助事業として一般社団法人日本アレルギー学会が運営するアレルギーポータルサイト(https://allergyportal.jp/bookend/guideline )などからもダウンロード可能 |
■ わが国の金属アレルギーの実態
一般人約7万人に「金属アレルギー経験の有無」をアンケート調査した結果、約2千人から「経験あり」と回答されました。
さらに詳細な分析から、①金属アレルギーの自覚は女性に多いこと、②発症を自覚した年代は10~20歳代で半数以上となること、③対症療法のみで原因まで特定できていない、ということが明らかになりました。
つまりわが国では、金属製アクセサリーを使用する若い年代の女性を中心として新規に金属アレルギーを発症し、罹患率は国民の少なくとも3%以上にまで拡大している可能性があることが示唆されます。同時に、多くの人が症状を繰り返しながら原因と思われる金属を「何となく避けて」生活している、という実態であることが再確認されました。
我々医療従事者は、早急に金属アレルギーの診断・検査体制の整備を進め、一般の皆さまには、金属アレルギーを正しく理解していただく必要性があると考えます。
■ 医療従事者へのメッセージ
本手引きは、わが国で初めて、金属アレルギーの診療・管理に関し、エビデンスと専門家の合意に基づいて得られた統一見解から作成されたものです。本手引きの普及により、わが国において早急に対策を講ずる必要のある金属アレルギーに対し、安全で質の高い診療・治療方法の均てん化を図ることをめざしています。
また、患者満足度の高い金属アレルギー診療を実現するには、皮膚科医だけでなく、他科の医師・歯科医師をはじめ、看護師、歯科衛生士、管理栄養士など多職種のメディカルパートナーとの密な連携が重要ですが、専門知識のズレや情報共有不足が課題となっています。本手引きにより各医療現場の認識が共通化されることで、治療内容を選択される患者さんにとっても納得度が向上すると考えられます。
■ 一般の方へのメッセージ
金属アレルギーは、アクセサリーや日用品に加え、食品中の金属、医療材料、歯科材料など、生活全体と密接に関わる疾患です。原因物質を正確に把握して避けることで、症状を誘発することなく生活できる疾患ですが、接触と症状誘発を何度も繰り返すことで増悪し、生活に大きな支障が生じるリスクもあります。本手引きを活用し、金属アレルギーについての正しい知識を持ち、金属アレルギーを疑う経験があった場合は、早期に適切な診療を受けていただくことを推奨します。
