屋内外の光で発電!カーボンナノチューブ電極の両面型太陽電池 ペロブスカイト太陽電池の実用化へOsaka Metroで実証実験を開始 名古屋大学 5時間前 【本研究のポイント】 ・カーボンナノチューブ(CNT)薄膜透明電極を用いた両面受光型注1)・半透明ペロブスカイト太陽電池注2)(CNT-PSC)の長期耐久性実証実験をOsaka Metro本社にて開始する。 ・下部透明電極に酸化インジウムスズ(ITO)電極注3)、上部裏面電極注4)に単層カーボンナノチューブ(SWCNT)注5)薄膜透明電極注6)を用いた独自構造により、屋外光および室内光の双方から発電可能である。 ・10 cm角(100 cm²)のセミモジュール注7)を用い、CNT-PSC 27枚と金属電極PSC 3枚による比較耐久性評価を1年間実施する。 【研究概要】 名古屋大学大学院工学研究科および未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所の松尾 豊 教授、上岡 直樹 助教、大島 久純 特任教授らの研究グループは、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)と共同で、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)薄膜透明電極を用いたペロブスカイト太陽電池(CNT-PSC)の社会実装に向けた大面積・長期耐久性実証実験を開始します。 本研究で用いるCNT-PSCは、下部の透明電極に酸化インジウムスズ(ITO)電極、上部の裏面電極にSWCNT薄膜透明電極を用いた、両面受光型・半透明構造を特徴としています。この構造により、屋外の太陽光だけでなく、室内照明などの比較的弱い光環境からも発電が可能であり、従来の片面受光型太陽電池とは異なる用途展開が期待されます。また、SWCNTは活性酸素を吸着する働きがあると考えられており、ペロブスカイト太陽電池の耐久性向上に寄与すると期待されます。発電層に用いられているペロブスカイト材料は、名古屋大学で独自に設計・開発されたオリジナル材料であり、高い光電変換特性と耐久性の両立を目指したものです。 本実証実験は、2026年3月から約1年間、Osaka Metro本社にて実施されます。10 cm × 10 cm(100 cm²)サイズのCNT-PSCセミモジュールを27枚、比較対象として従来の金属裏面電極を用いたペロブスカイト太陽電池(PSC)を3枚設置し、実環境下での発電特性および経時劣化挙動を継続的に評価します。 【研究背景と内容】 ペロブスカイト太陽電池は、日本発の次世代太陽電池技術として高い注目を集めており、軽量・フレキシブルで高効率な点が大きな特長です。一方で、金属電極の腐食や金属拡散による劣化が、長期耐久性の観点から大きな課題となっています。単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、炭素原子のみから構成されるため化学的に安定であり、酸化や腐食を起こしにくい材料です。SWCNTを薄膜化することで、高い導電性と光透過性を両立した透明電極を形成することが可能となります。研究グループは、こうしたSWCNTの特性に着目し、ペロブスカイト太陽電池の裏面電極としてSWCNT薄膜透明電極を適用してきました。 本研究グループはこれまで、SWCNT薄膜透明電極を用いた太陽電池の実証研究を段階的に進めてきました。2024年12月から2025年10月にかけては、Osaka Metroが運営する e METRO MOBILITY TOWN において、SWCNT薄膜透明電極を用いた有機薄膜太陽電池注8)(CNT-OPV)の10 cm角セミモジュールを引退した地下鉄車両の窓部に設置し、約1年間の耐久性実証実験を実施しました(2024.12.06プレスリリース)。また、このCNT-OPVはOsaka Metroに移設され、現在、長期延長試験が実施されています。さらに、2025年3月から現在に至るまで、名古屋大学内のシアトルエスプレスカフェにおいて、CNT-PSC(1枚)の10 cm角セミモジュールの先行実証実験を継続しています(2025.3.11プレスリリース)。屋内外の光が混在する実環境下においても、CNT-PSCは安定した発電挙動を示しており、両面受光型・半透明ペロブスカイト太陽電池としての実用的な耐久性が確認されています。これらの成果を踏まえ、本実証実験では、設置枚数27枚と大幅に増やした10 cm角((100 cm²)セミモジュールによる1年間の長期・大面積評価を行い、CNT-PSCの社会実装に向けた信頼性データの取得を目指します。 本研究で用いたCNT-PSCは、下部の透明電極にITO電極、上部の裏面電極にSWCNT薄膜透明電極を用いた半透明構造を有しており、両面から光を取り込むことが可能です。この構造により、窓面に設置した場合には、屋外の太陽光だけでなく、屋内照明などの弱い光環境からも発電できます。CNT-PSCは、金属電極型と比較して意匠性に優れ、SWCNT電極側から見ても電極が目立たず、背後の景色を視認できます。発電効率は金電極を用いたPSCに比べて若干低いものの、光の入射面を反転させても同等の発電性能を示すことが確認されています。SWCNT電極は、化学的に安定で酸化や腐食に対する耐性が高く、ペロブスカイト太陽電池の耐久性向上に寄与します。金属電極で懸念される金属拡散による劣化が抑制され、SWCNTのπ電子共役構造によるラジカル種・活性酸素の消去効果が耐久性向上に寄与します。また、高い電子伝導性を有し、薄膜であっても効率的な電荷輸送を実現します。さらに、柔軟性に優れているため、フレキシブル基板や曲面への適用も可能です。 本研究では、SWCNT電極を正孔捕集電極として用いており、その導電性と安定性を高めるため、名古屋大学で独自に設計・合成したフラーレン誘導体を正孔ドープ材料として適用しています。さらに、発電層に用いられているペロブスカイト材料は、名古屋大学で独自に設計・開発されたオリジナル材料であり、高い光電変換特性と耐久性の両立を目指したものです。 図1.単層カーボンナノチューブ透明電極を用いた両面受光型ペロブスカイト太陽電池(CNT-PSC)の模式図。下部にITO透明電極、上部の裏面電極に単層カーボンナノチューブ(SWCNT)薄膜透明電極を用いた両面受光型・半透明構造を有する。 図2.10 cm角(100 cm²)カーボンナノチューブ透明電極を用いたペロブスカイト太陽電池(CNT-PSC)セミモジュールの外観写真。屋外からの太陽光だけでなく、室内照明などの弱い光環境からも発電が可能であり、両面受光型太陽電池として機能する。 【本研究の意義】 SWCNT薄膜透明電極は、貴金属である金や銀を用いず、また原理的にはレアメタルであるインジウムを含まないITO電極を置き換えることもできるので、資源価格の高騰や経済安全保障にも対応可能な電極です。CNT-PSCは、SWCNTがもつ特性により、耐久性の向上、軽量化、透光性、両面受光性を同時に実現できる可能性があります。特に、室内光と屋外光の双方から発電可能である点は、建築物の窓面や都市インフラへの調和、モビリティ分野など、従来の太陽電池では難しかった応用を可能にします。 今回の取り組みは、これまでに得られたCNT-OPV実証実験の成果を踏まえ、より高効率な次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池へと展開するものです。実環境下で長期評価を行うことで、将来的には駅施設や車両、都市空間への太陽電池の設置可能性を検討するための基礎データを取得することを目指します。 本研究で用いられているSWCNT材料設計およびペロブスカイト材料開発の一部は、JST CREST(科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業)の支援を受けた基礎研究に基づいています。本実証実験は、これらの基礎研究成果を社会実装へとつなぐ重要なステップです。また本研究は、株式会社デンソーとの共同研究のもとでも行われたものです。 【実証実験の概要】 実証実験期間:2026年3月 ~ 2027年3月(予定) 実証実験場所:Osaka Metro本社 試験デバイス: ・CNT-PSC(10 cm × 10 cm):27枚 ・金属電極PSC(10 cm × 10 cm):3枚 デバイス構造: ・下部電極:ITO透明電極 ・上部電極:SWCNT薄膜透明電極 ・発電層:名古屋大学オリジナル ペロブスカイト材料 共同研究企業:大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)、株式会社デンソー 先行実証:名古屋大学 シアトルエスプレスカフェ(2025年3月〜現在) 基礎研究支援:JST CREST 【用語説明】 注1)両面受光型太陽電池: 太陽電池の表裏両面から光を取り込み発電できる構造を持つ太陽電池。設置環境に応じて発電量を向上させることが可能であり、窓面や屋内外の光が混在する場所への応用が期待される。 注2)ペロブスカイト太陽電池(PSC): ペロブスカイト構造を有する有機無機ハイブリッド材料を発電層に用いた太陽電池。高効率、軽量、低温プロセスによる製造が可能であり、日本発の次世代太陽電池技術として注目されている。 注3)ITO(酸化インジウムスズ)透明電極: 酸化インジウムにスズを添加した透明導電材料。高い透明性と導電性を有し、ディスプレイや太陽電池など幅広い分野で利用されている。 注4)裏面電極: 太陽電池や電子デバイスの裏側に配置される電極で、発電層で発生した電流を収集する。安定性や電気伝導性、コスト優位性などが求められ、金属や炭素材料などが使用される。 注5)単層カーボンナノチューブ(SWCNT): 炭素原子が六角形格子を形成して筒状になったナノ材料。高い電気伝導性、機械的強度、化学的安定性を有し、透明電極やエネルギーデバイスへの応用が期待されている。 注6)単層カーボンナノチューブ(SWCNT)薄膜透明電極: 直径1~2 nm程度の単層カーボンナノチューブをネットワーク状に形成した薄膜電極。光透過性と高い導電性を両立でき、金属電極に代わる透明電極として注目されている。 注7)セミモジュール: 複数の太陽電池セルを直列または並列に接続した小型モジュール。研究開発から実証段階において、実用時の発電特性や耐久性を評価するために用いられる。 注8)有機薄膜太陽電池: 発電層に有機半導体材料を用いた太陽電池で、軽量・柔軟な特性をもち、製造コストが低いことが特徴。多様な基板に対応可能で、次世代の再生可能エネルギー源として注目されている。 ▼本件に関する問い合わせ先 名古屋大学総務部広報課 TEL:052-558-9735 FAX:052-788-6272 メール:nu_research@t.mail.nagoya-u.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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