構造部材NLTが前田建設工業の東京藝術大学木造化プロジェクトで採用
「NLTは材料調達と施工が容易で特殊な設備も要らず、今後の普及が期待される」と評価
カナダ林産品の普及活動を行う非営利業界団体カナダウッドの日本事務所、カナダウッドジャパン(所在地:東京都港区、代表:ショーン・ローラー)より、主にツーバイフォー工法で用いられている枠組壁工法構造用製材で製作する構造部材NLT(Nail-Laminated Timber)が、前田建設工業株式会社(本店所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:前田 操治、以下:前田建設工業)が実施設計・施工を手掛ける「東京藝術大学国際交流拠点(仮称)整備事業」にて採用となりましたのでお知らせします。本事業は国土交通省による令和3年度の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されており、これは再生可能な循環資源である木材を大量に使用する建築物の木造化関連リーディングプロジェクトを支援し、日本国内における木造建築技術のさらなる発展と普及を目的としたものです。本事業は木造化の先進事例となるだけでなく、木造とすることで工事における騒音や振動を軽減し、近接する音楽学部に配慮した施工も実現します。
今回、「国際交流拠点(仮称)」の3階から5階までの鉄骨造部分と木造部分の床にNLTが一部採用されます。前田建設工業構造設計部の渡邉氏は、NLTを採用した理由として「材料調達および施工が容易であり、特殊な設備も必要としないことから今後の普及が期待される」とコメントしており、採用にあたっては、北米と異なる気象条件下でどのような性状を示すか把握する必要があるため、人工気象室を活用して温湿度の変化に対する影響を確認し、NLTの設計・施工方法の確立も目指します。
NLTは、日本ではCLT(Cross Laminated Timber)が最も馴染み深いとされるマスティンバーの一種で、主にツーバイフォー工法で用いられている枠組壁工法構造用製材であるディメンションランバーを小端立て(こばだて)にして積層し、釘や木ねじでランバーどうしを留め付けた構造部材です。
マスティンバーの活用が進む北米と比べ、日本ではまだあまり浸透していない技術ですが、一般に流通している入手が容易な製材と釘や木ねじだけで製作可能な汎用性の高さや、製材のバットジョイント(芋継ぎ)による長尺パネルの製作で床の支持スパンを伸ばした「大空間」の設計における活用、接着剤を使用しないためNLTを構成する製材が再利用可能という環境負荷軽減への寄与などが主なメリットとして挙げられ、今回の採用に続く今後ますますの普及拡大が期待されています。
カナダウッドジャパンでは、日本国内におけるNLTの実用化に向け、2017年度から一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会と共同で研究開発に取り組んでおり、2020年にはNLTによる床版・屋根版について準耐火構造大臣認定(床:1時間、屋根:30分)および木造建築新工法性能認定(認証機関:公益財団法人日本住宅・木材技術センター)を取得しました。
カナダウッドジャパンは今後もNLTをはじめとした木造建築関連の優れた技術の普及に努め、日本国内における木造化のさらなる推進に向けた取り組みをすすめていきます。