2022年の炎上発生件数は1,570件(上半期567件、下半期1,003件)、前年比11.1%減少!
「デジタル・クライシス白書2023」公開のお知らせ
「デジタル・クライシス白書2023」の発刊にあたり、「デジタル・クライシス白書
2021」、「デジタル・クライシス白書2022」と同様に、「炎上の露出源」「『炎上』からネットニュースメディアやマスメディアにアウトプットされる状況」「炎上の発生件数及び内訳」「キーワード分析」「炎上の定量的な評価」を行いました。
▼過去の白書のダウンロードはこちらから
デジタル・クライシス白書2021
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2021/
デジタル・クライシス白書2022
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2022/
調査方法は、「デジタル・クライシス白書2022」と同様に、全国47都道府県の10代から60代までの男女5,142人を対象とし、炎上事案に対してのリテラシーやその後の行動などの調査を行い、クライシスに対する世代差などが表れた結果となりました。
■調査概要
炎上の発生件数、露出源とアウトプット状況の調査
- 調査期間:2022年1月~2022年12月
- 調査ツール:シエンプレ保有のソーシャルリスニングツールを使用
- 調査対象ワード:「【炎上】」
※クローリングシステムとは、SNSや口コミサイトなどの媒体のデータを自動収集できるシステムである
■出現キーワードの調査
- 出現キーワードの調査期間:2022年1月1日~2022年12月31日
- 調査ツール:ソーシャルアナリティクスツール「NetBase」を使用
- 調査対象ワード:「炎上」
※Decahoseとはツイートデータの10分の1の母集団を指す。10分の1のデータを実態に近い数値にスケーリング(拡張)
※その他の仕様は「NetBase」の仕様に準拠
■炎上の特性の調査
- 調査期間:2022年12月21日~12月26日
- 調査対象:スマートフォン又はPCを保有している10~60代の方
- 調査方法:マーケティング会社を利用して5,142人へアンケートを実施
調査を開始した2019年から2021年まで年間の炎上発生件数は増加し続けていましたが、2022年は初めて減少に転じました。その中で注目すべきは上半期と比較して下半期に件数が増加している点です。下半期は安倍元首相の事件を発端にして批判が集まりやすい話題や意見が対立しやすい話題が多くありました。国内で発生した規模が大きな事件や事故、災害等が炎上発生件数にも一定の影響を与えていると言えそうです。
炎上がアウトプットされるまでの速度の調査も興味深い結果となりました。炎上後にその事案が放送・記事化される速度は「24時間未満」が59.0%と、2021年の47.3%から大幅に増加していたのです。真摯な姿勢を評価する軸は多種多様ではありますが、スピードは重要な要素になっていると言えるでしょう。
また、素早い対応をするためには事前の準備も欠かせません。対応マニュアルを用意することはもちろんのこと、対応マニュアルが機能するものになっているか定期的に「訓練」を行い確認してみましょう。世の中の変化に伴って炎上のトレンドも変化しています。マニュアルを作成して放置しているだけでは画餅に帰してしまいます。常に他社の事例を分析して対応マニュアルをアップデートしていくことが必要です。本稿をきっかけに関係者と危機感を共有し、様々な取り組みを進めていただく契機にしていただければ幸です。
■調査結果
▼2022年の炎上発生件数は1,570件、前年比11.1%減少
2022年に発生した炎上事案は1,570件であり、前年(1,766件)比11.1%減少しました。最も炎上事案が多く確認されたのは11月の206件、また上半期(1月から6月)の炎上件数が567件なのに対して、下半期(7月から12月)が1,003件であることから、下半期にかけて炎上件数が大幅に増加したことを示しております。
▼1日1回以上「炎上」を認知している人が約2割、週1回以上は54.6%
1日1回以上「炎上」を認知している人が17.7%(5,142人中909人)であり、週1回以上は54.6%(5,142人中2,805人)であることが分かりました。
【設問の内容】
Q.直近1ヶ月の間で、炎上している状況をテレビやSNSなどで見たり聞いたりした頻度は、平均してどれくらいですか。
▼炎上を認知した媒体は「SNS」が最も多く36.6%(5,142人中1,880人)
【設問の内容】
Q.直近1ヶ月間で、炎上している状況をテレビやSNSなどで見たり聞いたりした場合、どのような媒体で認知しましたか?(複数選択可)
▼炎上を認知している人は10代が最も多く25.0%
1日1回以上「炎上」を認知している人は、男性(19.3%)、女性(16.1%)と男性の割合のほうが高い結果となりました。年代では、1日1回以上「炎上」を認知している人は、10代(25.0%)がトップで、続いて30代(20.3%)、その後は20代(20.1%)、40代(14.5%)、50代(11.4%)、60代は10.8%と20代、30代において僅差で入れ替わりがあるものの概ね年齢が高くなるにつれて認知している人の割合は低くなる傾向があることが分かりました。
▼1日1回以上「炎上」を認知している人の割合が最も高いのは青森県
1日1回以上「炎上」を認知している人の割合が最も高いのは「青森県」28.8%(45人中13人)で、2位は「長崎県」26.0%(50人中13人)、3位は「福井県」25.0%(28人中7人)でした。また、1日1回以上「炎上」を認知している人の割合が最も低いのは「香川県」5.1%(39人中2人)と「山形県」5.1%(39人中2人)であり、その次は「石川県」7.4%(27人中2人)という結果となりました。
▼炎上後の対応を確認すると回答した人の合計は2022年も67.9%
確認すると回答した人の合計は、2021年の67.9%と同様に2022年も67.9%でした。内容が納得できるものだと良い印象を受けると回答した人は37.7%から38.0%となっており、2021年とほぼ同等の数値を維持していることから、引き続き事後対応の重要性は高いということがわかりました。
全体の概要は以下の通りです。
■デジタル・クライシス白書2023の概要
第1章:炎上の発生件数及び内訳
2022年1月から2022年12月までの炎上事案を収集、分析し、炎上件数の推移を明らかにしました。また炎上の内訳として問題行動の主体の割合や、問題行動の内容別の分類を行いました。また法人等を分析対象とし、炎上が発生する可能性の高い企業規模(売上高、従業員数、上場の有無)や、炎上の発生しやすい業界を明らかにしました。
第2章:炎上の露出源
炎上の露出源となりやすい媒体とその比率を調査しました。
今回は露出源のカテゴリ別調査と、サイト別調査をそれぞれ実施。SNSが炎上の露出源になりやすいといった傾向が確認されました。
第3章:メディアの対応スピード
デジタル・クライシスの発生後に放送・記事化される割合とそれまでにかかるスピード、
取り上げられるメディアの傾向に関する調査結果です。
第4章:キーワード分析
炎上というキーワードを含んだ投稿に、どのようなキーワードやハッシュタグが含まれているか調査しました。
炎上の早期発見および炎上リスクのある投稿を発見するために、注意すべきハッシュタグについてまとめています。
第5章:炎上の特性
炎上の認知度、認知した媒体、影響度、事後対応の重要性などを調査しました。
「SNS」で炎上を認知した割合が、男性よりも女性のほうが高いといった傾向や、年代別に炎上を認知する媒体が異なるといった傾向が明らかになりました。
第6章:炎上の定量的な評価
炎上事案の投稿数、インプレッション数、ネガティブ割合、ポジティブ割合等を調査しました。リツイートを除いた投稿数の割合や投稿数、ネガティブ割合の平均値をまとめています。
なお、巻末には2023年に発生するデジタル・クライシスを予測し、必要と思われる対策を記述しております。
設立日:2020年1月10日
住所:東京都渋谷区神南1-19-14 クリスタルポイントビル 2F
所長:佐々木 寿郎
研究員:桑江 令、前薗 利大、嶋津 幸太、門屋 智晃、福岡音哉、他
アドバイザー:村上 憲郎(元Google本社副社長及び日本法人代表)、芳賀 雅彦(元博報堂・PR戦略局シニアコンサルタント)、山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)、徳力 基彦(note株式会社プロデューサー/ブロガー)
主な研究内容:
1.国内及び関係する海外のソーシャルメディア他媒体の特性研究
2.国内及び関係する海外のデジタル・クライシスの事例研究
3.「デジタル・クライシス白書」の発行(年1回)
4.「デジタル・クライシス事例レポート」の提供(月1回)
5.会員向けデジタル・クライシス研究会の開催(隔月1回)
URL:https://dcri-digitalcrisis.com/