日本製鉄 第70回大河内賞にて「大河内記念生産賞」を受賞
大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念し、公益財団法人大河内記念会が生産工学、生産技術、生産システムの研究開発、並びに実施等に関するわが国の業績で、学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した個人、グループまたは事業体を表彰する伝統と権威のある賞です。贈賞式は3月26日(火)に日本工業倶楽部会館(東京都千代田区)で実施されます。今回受賞した賞の概要は以下のとおりです。
製鉄において高炉法を使用する際には、コークスは、鉄鉱石の還元材、鉄鉱石等を溶解するための熱源、そして還元ガスの通気性や、溶融した鉄やスラグの通液性を確保するスペーサーとして重要な役割を果たします。特に高炉での還元効率を高め、コークスの使用量を削減しCO2の発生量を抑制するためには、高炉内のスペーサーとして強度の高いコークスが求められます。
通常、強度の高いコークスを製造するには、資源が限られ価格が高い良質な粘結炭(強粘結炭)を多量に配合する必要があり、安価だが単独では強度の高いコークスにならない劣質炭(非微粘結炭)の配合率には限界があります。
日本製鉄では、劣質炭の配合によってコークスの強度を低下させる欠陥の生成機構を独自開発手法により解析し、欠陥生成機構の違いに基づき劣質炭を3つの種類に分類しました。さらに、各種劣質炭の配合構成比と粉砕粒度を最適化し、配合構成比に応じて粘結補填材を添加することにより、製造されるコークス中の欠陥を低減し、高い強度を実現する技術を開発しました。
このコークス強度向上技術を日本製鉄九州製鉄所(八幡地区)内のコークス炉に導入し、世界最高水準の劣質炭配合率(74%)を達成しながらも、強度の高いコークスを製造し、高炉の低炭素化とコークス製造コストの削減に大きく貢献しています。また、本技術は日本製鉄九州製鉄所(大分地区)、関西製鉄所(和歌山地区)にも、部分的に導入済みであり、実際の鉄鋼の生産に使用されています。
本技術は、現在開発中の高炉を用いた水素還元技術と組み合わせることも可能であり、将来においても高炉の低炭素化に貢献する汎用性の高い技術です。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動「産業と技術革新の基盤をつくろう」を通じて、これからも社会の発展に貢献していきます。
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