2025年1月21日
PwC Japanグループ
PwC、「第28回世界CEO意識調査」の結果を発表
人員拡大や継続的なAI導入を計画する中、
CEOの約5分の3が世界経済の先行きを楽観視
- CEOの約60%が世界の経済成長は今後12カ月間で拡大すると予想しており、その割合は昨年の38%や2年前の18%から上昇
- CEOの42%が今後12カ月間で人員拡大を見込んでおり、これは人員縮小を予想するCEOの2倍を超えている。生成AIによって従業員が増加したと回答したCEOは、減少したと回答したCEOよりも多い
- CEOは生成AIによる具体的な影響を認めており、56%が効率性の向上を報告した一方、34%が収益性の向上を、32%が売上の増加を実現
- CEOの42%が自社は改革を進めなければ10年を超えて存続できないと考えており、10人中4人近くは過去5年間に新しい分野で競争を始めたと回答
- 気候関連の投資は、売上の減少よりも増加につながる可能性が6倍高い
世界経済フォーラム年次総会の会期中である1月20日にPwCが発表した「第28回世界CEO意識調査」によると、世界中のCEOの60%近くが世界の経済成長は今後12カ月間で拡大すると予測しています。
109カ国・地域のCEO4,701名を対象に行った調査の報告書からは、CEOの42%が今後12カ月間で5%以上の人員拡大を予想しており、その割合は人員縮小を見込むCEO(17%)の2倍を超え、昨年の39%から増加していることも明らかになりました。この割合は中堅以下の企業(1億米ドル未満)で最も高く(48%)、業種別では、テクノロジー(61%)、不動産(61%)、プライベート・エクイティ(52%)、製薬・ライフサイエンス(51%)において高くなっています。
CEOは世界経済に関して楽観的な見方をしている一方、世界のCEOが挙げた今後1年間のリスクとして「マクロ経済の変動」(29%)や「インフレ」(27%)が引き続き上位を占めています。しかし、地域によって明白な差があります。「地政学的対立」が中東(41%)や中東欧(34%)では最大のリスクとして考えられています。西欧では、「マクロ経済の変動」(29%)が懸念材料として最上位となる中、「サイバーリスク」(27%)が「高度なスキルを持つ従業員の不足」(25%)や「インフレ」(24%)をわずかながら上回りました。アフリカでは「インフレ」(39%)が最大の懸念材料となった一方、北米やアジア太平洋地域では世界平均とほぼ同様のリスクが注視されています。
PwCグローバル会長のモハメド・カンデ(Mohamed Kande)は次のように述べています。
「今年の世界CEO意識調査では、2つの結果が明らかになりました。つまり、世界中のビジネスリーダーは今後1年間について楽観視していますが、価値を創造、提供、獲得する方法を改めて構築しなければならないことも同時に認識しています。生成AIのような新興テクノロジー、地政学的変化、気候変動などは全て、経済の在り方に変革をもたらしています。新たなビジネス・エコシステムが形成されつつあり、企業による競争や価値創造の方法を大きく変えているのです。ビジネスリーダーは企業を繁栄させるために今すぐ行動を起こし、人材、拠点、サプライチェーンから、ビジネスモデルの改革に至るまで、戦略に関する大胆な決断を下さなければなりません」
改革の必要性
過去2年間と同様、CEOの10人に4人(42%)は、企業が今後も現在の方針を踏襲した場合、10年を超えて存続することができないと考えています。大胆な変革なしに企業が存続できないと予想するCEOのうち、42%は自社の経済的存続性に最も大きな影響を与えるものとして、規制環境の変化を挙げています。
しかし、CEOはあらゆる分野において行動を起こしています。3分の2近く(63%)が過去5年間、自社の価値の創造、提供、獲得の方法を変えるために、少なくとも1つの重大な行動を起こしてきました。過去5年間においてより多くの改革を進めてきたCEOは、過去12カ月間で利益率を高めています。
企業がビジネスモデルを再構築する中、10社のうちほぼ4社(38%)は過去5年間で少なくとも1つの新しい分野で競争を始め、約3分の1(34%)はその分野が同期間中に企業収益の20%超を占めるようになったと回答しています。
しかし、改革ペースは遅く、企業の大半は機敏性に欠けています。プロジェクトや事業部門間での予算や人材の移動に関して言えば、CEOの約半数は前年比の財務および人的資源の再配分が10%以下であることを明らかにしています。3分の2超が20%未満の再配分にとどまっています。平均すると、過去5年間における新規事業の売上は7%に過ぎません。
CEOは生成AIの可能性について楽観的だが、より大きな成果を求めている
CEOは生成AIによる具体的な影響を報告しています。半数を超えるCEO(56%)が過去12カ月間に従業員の時間の効率性向上を、3分の1(32%)が売上の増加を認めています。
しかし、業績は昨年表明していた期待をやや下回っています。2024年には、46%が収益性の改善を期待していると回答しました。1年後にそのような収益向上が実現したかどうかを尋ねると、向上したと答えたCEOは34%にとどまりました。AIへの信頼が、依然としてより広範な導入への障害となっています。自社の主要なプロセスにテクノロジーを組み込むことに高い信頼を寄せていると答えたCEOは、3分の1に過ぎませんでした。
それでも、生成AIが収益性に与える影響を楽観視する見方は昨年よりもわずかながら強まっており、49%が今後12カ月間で増加すると予想しています。約半数(47%)は今後3年間でAI(生成AIを含む)を自社のテクノロジー・プラットフォームに活用することを予想しており、41%はコア・ビジネス・プロセスに、30%が新たな製品やサービスの開発に組み込む計画を立てています。
まだ初期の段階ではあるものの、生成AIの導入結果として、世界経済全体において雇用機会が広範に減少することを示すデータはありません。生成AIによって従業員が減少した(13%)と回答したCEOよりも、増加した(17%)と回答したCEOの方が多い状況です。
PwCグローバルおよび米国のコマーシャル・テクノロジー&イノベーション・オフィサー(CTIO)であるマット・ウッド(Matt Wood)は次のように述べています。
「今年の調査は、企業における生成AIへの見方がより成熟していることを示しています。CEOは生成AIが新たな機会を生み出す力を持っていると確信しており、事実、昨年よりも楽観的な見方をしています。同時に、その価値を実現するための課題について認識を深めています。彼らはAIシステムの設計において信頼の構築が重要であると考えており、当面はコア・ビジネス・プロセスへの統合を優先しています。また、生成AIが新たな製品やサービスを通じて成長を生み出したり、新しい価値を創造したりする可能性を見いだすことも重要です」
気候関連投資は実を結びつつある
気候変動が引き続きビジネスに影響を与える中、CEOは行動を起こし続けています。私たちがCEOに対し、過去5年間における気候関連投資による財務的影響を尋ねたところ、それらの投資による売上への影響は増加(33%)が減少(5%)の6倍に上ったことが明らかになりました。さらに、CEOの3分の2近くが気候関連投資はコスト削減につながった、あるいはコストに大きな影響を与えなかったと報告しています。
しかし、気候関連投資の実施には依然として課題が残っています。このような投資を行ったCEOは、自社がそうした投資を始めることを阻害する最大の要因として、「規制の複雑さ(24%)」を挙げました。一方、「投資収益率の低下」を挙げたCEOは18%、「経営陣や取締役会の不同意」は6%でした。
PwCのグローバル・チーフ・コマーシャル・オフィサーであるキャロル・スタビングス(Carol Stubbings)は次のように述べています。
「30年以上にわたるデジタル化により、これまで浸食することがなかった分野の間の境界が崩れ始めた一方、気候変動、AI、その他のメガトレンドによる相乗的な影響により、再構築のプロセスは加速することになるでしょう。今回の調査は、ビジネスリーダーは経済に関する楽観的見方と、企業が将来も成功するには価値創造の方法を根本的に再構築する必要があるという現実主義を併せ持ち、未来に立ち向かっていることを示しています」
以上
「第28回世界CEO意識調査」について
PwCは2024年10月1日から11月8日にかけて、世界109カ国・地域の4,701名のCEOに調査しました。本調査におけるグローバルおよび地域の数値は、調査対象国・地域の世界の名目GDPに占める割合に基づいて加重されています。業界別および国別の数値は4,701名のCEOの全サンプルの加重していないデータに基づいています。調査結果の全文は
https://pwc.com/ceosurvey を参照ください。
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