◆ポイント
・新型コロナウイルス感染症(新型コロナ) 冬の感染再拡大
・風邪と新型コロナ 見分けが難しい
・新型コロナで処方される薬剤の代表的な成分
・新型コロナ検査キット(抗原検査) 国が承認した検査キットを推奨
大正製薬から新型コロナに関する情報をお届けします。
◆新型コロナ感染症 冬の感染再拡大
新型コロナが第5類に移行し、感染症対策が緩和され、流行前の生活に戻りつつあります。第5類に移行後の新型コロナ感染者数の推移を確認すると、昨シーズンの冬は年末~2月にかけて増加していることが分かります。昨年と同様に、これから感染者数が再拡大の可能性があるため、感染症の予防や発症した時の対策を意識して、十分に備えておきましょう。
◆風邪と新型コロナの違いは??
皆さんは一般的な風邪と新型コロナの違いを知っていますか?その原因や症状を表にまとめてみました。
※1 新型コロナの原因ウイルスとは異なります。
表からもわかるように、風邪と新型コロナの症状はほぼ同じです。お医者さんでも初期の症状だけで風邪か新型コロナかを見分けるのは難しいとされています。
新型コロナの特徴的な症状としては味覚症状(味がわからなくなる)や嗅覚症状(匂いがわからなくなる)が挙げられます。しかしオミクロン株に置き換わってからは、これらの症状の発生率が低下しています。味や匂いを感じられるからと言って、風邪だと判断するのは間違っているかもしれません。
このように、風邪と新型コロナを症状だけで判断するのは難しいため、新型コロナ感染の疑いがあるときは、病院で診察・検査を受けるか、市販の検査キットなどを活用してみましょう。
◆風邪・新型コロナでよく処方される薬の成分と市販の風邪薬の成分
風邪・新型コロナと診断された時に、病院で処方される薬について調査をし、処方数が多いランキングを確認してみました。
風邪の時 新型コロナの時
調査使用データベース:JMDCデータマート、調査対象:2023年1月~12月
このように、風邪と新型コロナでは病院で処方される薬の成分は少し異なりますが、薬の効果の種類には大きな違いがないことが分かりました。また、15歳以上で集計した場合は、新型コロナと風邪で処方される薬の上位5種類は同じ成分
※2が占めていました。
※2 L-カルボシステイン・アセトアミノフェン・トラネキサム酸・デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物・ロキソプロフェンナトリウム水和物
新型コロナの治療薬として抗ウイルス薬も開発されていますが、今回の調査結果から、新型コロナと診断された場合でも風邪の場合と同じ成分が多く処方されていることが明らかになりました。
また、風邪、新型コロナの時に病院で処方される成分は、ドラッグストアやインターネットで購入できる市販の風邪薬にも含まれている成分
※3でした。
※3 医療用医薬品と一般用医薬品は、成分が同じでも、成分量、効能・効果が異なる場合があります
◆新型コロナの検査キット(抗原検査)
■「体外診断用医薬品」、「第1類医薬品」、「研究用」との違いは??
新型コロナの検査キット(抗原検査)は、ドラッグストア、インターネット等で購入可能な製品がありますが、その違いを知っていますか?
国が承認した抗原検査キットは、【体外診断用医薬品】又は【第1類医薬品】と表示されています。なお、一部のネットショップで「コロナ 検査キット」等と検索すると、厚生労働省で承認されていない「研究用」の検査キットが多数表示されますので、購入の際には注意が必要です。
以下の表に主な違いをまとめました。
参考資料2)~4)まとめ
■抗原検査キットを使うタイミング
せきや熱、のどの痛みなどの症状が出た日(発症日)を1日目として、2日目以降に検査をするとよいとされています。検出には一定以上のウイルス量が必要になるため、発症後すぐに検査をすると偽陰性(本当は感染しているのに陰性と判定される)のリスクが高まります。早めに検査をして陰性だった場合は、翌日に再び検査するなど、複数回行うとよいでしょう。
◆新型コロナかなと思ったら
厚生労働省が推奨している対応をまとめました。体調に異変を感じたら、まずは抗原検査キット
※4でセルフチェックし、陽性の場合は、一定期間は外出を控えることが推奨されています(法律に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかはご自身で判断することとなります)。
5)
基本的には新型コロナの陽性者であっても、症状が軽い人に関しては薬を飲まなくても治る人がほとんどです。症状によっては、せき止めや解熱剤などの対症療法の市販薬を使っていただくことも一つです。
6)
体調が悪化した時は、自治体が設置する新型コロナ相談窓口まで速やかにご相談または、医療機関を受診することをお勧めします。また陰性の場合、体調の異変が続いている間は、基本的な感染予防対策を継続しましょう。
65歳以上の方や、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方など重症化リスクを有している方、お子さんや妊娠している方などは、外来対応医療機関を受診することをお勧めします。
5)
※4検査キットは、医療用または一般用検査キット(OTC)として国が承認したものを使用することが推奨されています。
◆しっかりとした備えを!
今も、新型コロナが流行しています。さらに、冷え込みが厳しくなり、身の周りに風邪をひいている人も増えてきたのではないでしょうか。一般的な風邪も新型コロナも基本的な予防や対処法は似ているので、感染してしまった時のために、事前に準備できていると一安心ですね。しっかりと準備しておきましょう。
■参考資料
1)国立感染症研究所ホームページ IDWR速報データ
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/data.html)
2)「新型コロナウイルスの抗原定性検査キットは国が承認した「体外診断用医薬品」を選んでください!」(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/content/000992964.pdf)
3)「新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27779.html)
4)「新型コロナウイルス感染症の研究用抗原検査キットに係る留意事項について(周知依頼)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000745521.pdf)
5)「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q1-3)
6)「第12回 新型コロナウイルス感染症の治療について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202110_00003.html)