メディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:岩崎 博之、以下「MDV」)は、企業向けPHR(パーソナルヘルスレコード)システム「カルテコworkwell」の新バージョンとして、PC版対応を2025年4月21日にリリースいたします。ソニービズネットワークス株式会社(同渋谷区、代表取締役社長:小笠原 康貴、以下「SBN」)のクラウド勤怠管理システム「AKASHI」との連携ではこれまで、スマートフォンアプリを利用できる従業員のみが対象でしたが、今回のPC版対応によりパソコンの内蔵カメラや外付けWebカメラを介して、日常業務の中でも簡便にストレス度・疲労度を測定することが可能となりました。また、実際に取得したバイタルデータを基に従業員への具体的な支援をするEmo Scan Approachパートナー企業の募集を同日より開始し、健康経営推進の新たな枠組みを形成することを目指します。
■ 背景と課題
コロナ禍以降、従業員のメンタルヘルス問題が深刻化しており、特に10~20代の「心の病」が全体の43.9%まで増加し、初めて30代(26.8%)を上回るなど、若手層への対策が急務となっています。また、企業全体で「心の病」が増加傾向と回答した割合は2021年の22.9%から45.0%へと倍増し、従来の対策が追いつかない速度でストレス要因が拡大していると考えられます。
さらに、ストレスチェック制度の実施目的として「法制義務化対応のため」が84.1%と圧倒的に多い一方で、「職場環境の改善」や「従業員の活性化」などの積極的な活用にはまだ課題が残っています。リモートワークを含む多様な働き方が広がる中、簡便かつ客観的にストレス・疲労度を測定した上で、早期把握とケア体制を整えることが重要課題となっています。
■ PC版リリースによる測定環境の拡大
これまではスマートフォンアプリを利用できる従業員のみが対象でしたが、今回の対応により、PCの内蔵カメラや外付けWebカメラを用いてストレス度・疲労度を測定できるようになりました。これによって、リモートワークや在宅勤務の従業員を含む全社員が、統一的かつ手軽に非接触バイタルセンシングを利用できるようになります。さらに、PCを活用することで「業務開始時のPC起動」や「終業時の打刻」など、業務の節目に合わせて自然な流れで自身の健康状態を客観的にチェック可能です。特にリモートワークやフレックス勤務が拡大する状況では、従業員が自らの状態を可視化し、セルフマネジメントの新たな手段として活用できます。また、終業時にPCカメラで体調を計測することで、業務終了の意識づけを強化し、知らず知らずのうちに作業を続けてしまうことを防止します。これにより、適切な休息の確保や翌日のパフォーマンス向上を目的とした「デジタルデトックス」にも役立ちます。
■ Emo Scan Approachパートナー企業の募集開始
「Emo Scan Approach」とは、「客観的計測」「主観評価」「結果処理」の3つの領域を通じ、従業員の「心の」状態を的確に把握・対処する仕組みです。MDVではすでに「客観測定の領域」として、非接触バイタルセンシングによるストレス・疲労度の可視化を実現していますが、真の健康経営には計測データを基に「具体的に手を差し伸べるアクション」へつなげることが不可欠です。そこで今回のPC版リリースを機に、以下のサービス領域を担うパートナー企業を広く募集いたします。
・主観測定の領域:
従業員の主観的なストレスチェックやEAP(従業員支援プログラム=Employee Assistance Program)
など、内面からのアプローチ。プレゼンティーイズム(※)の早期発見とケアをして、就業意欲を向上させます。
・結果処理の領域:
取得データを部署別・職種別など多角的に分析し、パルスサーベイや産業医サポートなど既存施策を効果的に補完する企業。データドリブンな人事戦略によって、人材定着率の向上やコスト削減にも寄与。
※健康上の問題を抱えながら出勤して業務効率が低下している状態
■ 今後の展開:Emo Scan Approach提携による健康経営強化
MDVでは、外見上は問題なく業務を遂行しているように見えても、実は疲労やストレスを抱え込んでいる状態を“仮面疲労(かめんひろう)”と定義しています。周囲への気遣いや責任感の強さゆえに、自分自身の疲労やストレスに気づきにくくなる状態で、交感神経の過剰な優位性が続くことで心身のバランスを崩すリスクが高まります。
しかし、この仮面疲労を早期に把握することで、メンタルヘルス不調や生産性の低下を未然に防げる可能性があります。MDVは、測定結果を生かした実践的なケアやサポートをする企業との連携を強化し、客観的指標と主観的指標を組み合わせた一歩踏み込んだ健康経営を推進することで、従業員の健康と組織全体の生産性向上の両立を目指してまいります。
【出典】 公益財団法人日本生産性本部
第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果概要