2025年 日本のボッシュ・グループ年次記者会見

ボッシュ、2024年売上高は厳しい経済状況下で堅調な成長を維持

  • 日本国内における第三者連結売上高は、約4,280億円:3年連続で最高売上高記録を更新
  • 自動車市場の発展をリードする日本発の最新テクノロジー
  • 日本×グローバル調査「AIは10年後最も影響力のあるテクノロジー」:従業員の成長を促す数々のAI施策
  • Bosch Forum Tsuzuki:本社、ボッシュ ホール、全天候型広場のエリア一帯で地域活性化に寄与

横浜 — グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーであるボッシュの2024年度の日本国内における第三者連結売上高は、約4,280億円(26億ユーロ超)でした。2024年は、世界経済の低迷や、国内では主要事業である自動車市場における生産台数の減少が影響し、引き続き厳しい年となりましたが、ボッシュは前年比1%増と微増ながらも堅調な業績を維持しました。

ボッシュ株式会社代表取締役社長のクリスチャン・メッカーは、年次記者会見で「2024年の国内自動車生産台数が前年比8.5%減の823万台であったなか、ボッシュは安定的な成長を遂げました。その結果、ボッシュは日本において、3年連続で最高売上高記録を更新しました」と述べました。さらに「1911年に日本で事業を開始して以来今年で114年目を迎えるボッシュは、今後も『Invented for life』というコーポレートスローガンのもと、自動車産業のみならず、産業機器や、空調など、あらゆる事業分野で、人々の生活を豊かにする取り組みに一層力を入れていきます」と、続けました。

なお、日本におけるボッシュ・グループの従業員数は2024年12月31日現在、約6,300名となっています。

日本主導で開発を進める最新テクノロジー
ボッシュは2024年、新本社兼研究開発施設を横浜市都筑区に開設しました。複数拠点に点在していた従業員を新拠点に集約し、研究開発設備を拡充したことで、お客様特有のニーズに対応するための開発体制を強化しています。新本社では、運転支援や自動運転技術に関する開発も推進しており、複数の実証実験を進めています。そのひとつが、画像認識ソフトウェアおよびAIを活用した「パレット ガレージ アシスト システム(機械式駐車場向け運転支援システム)」です。日本の都市部によくある狭い道路や駐車場では、多くのドライバーが高度な運転技術を必要とされています。特にスペースが限られた機械式駐車場での駐車には、複雑な運転操作が必要です。そこでボッシュは、日本特有の駐車環境に適した「パレット ガレージ アシスト システム」を日本のエンジニアチーム主導で開発しています。このシステムにより、ドライバーの指示に従い自動駐車機能が開始されます。近距離カメラで撮影された画像は外部リソースに転送され、そこでAIが機械式駐車場のパレットの位置と向きを検出します。計算された出力データは、車両のECU、さらに車両駆動システムに転送され、ステアリングや、アクセル、ブレーキを完全に自動駆動します。現在、ボッシュの新本社にある機械式駐車場を利用し、開発を継続しています。さらにAI学習に用いられる画像データを増やすため、本社の駐車場に加え、国内のさまざまな機械式駐車場でのデータ収集や、3Dモデルを活用したデータ拡張にも取り組んでいます。日本のお客様向けのデモでは、システムへの搭載を前向きに検討したいといった好意的なフィードバックが得られています。


自動化領域においてはさらに、ボッシュは昨年秋から、SAEレベル2の運転支援および自動運転の試験走行を東京・横浜周辺で開始しました。これは、ボッシュが急ピッチで開発を進めるグローバル規模で展開可能なエンドツーエンドAIベースのADASスタックを現実の都市環境下で実証し、量産に向け最適化することを目的としています。日本は特に、左側通行での運転や坂道における車速の調整など、都市部で見られるような複雑な都市構造と交通事情が特徴的で、ボッシュにとってシステムのグローバル化における主要な拠点と位置付けています。このさまざまなセンサーからのデータをまとめて、車の周りの状況を正確に理解するプロセス全体をAIが一貫して担うエンドツーエンドAIベースのADASスタックに、プラットフォーム開発環境とデータ収集パイプラインを拡張し、得られるデータを活用して、2024年秋から半年以上の公道試験を継続してきました。現段階ですでに、日本の交通標識や大小さまざまなトラックを認識するほか、路上駐車を避けた走行や、複雑な都市交差点での判断などに対応しており、大都市の典型的な走行シーンでの自動運転を実現してきました。これにより、SAEレベル2の市街地での安定した走行を可能とし、試乗した日本のお客様からも高い評価を得ています。ボッシュは引き続きこの実証実験で、日本のニーズに適応しながらシステムの適用範囲をより広げ、グローバル市場におけるAIベースのADASスタックの量産化につなげていく予定です。


さらに、昨今モビリティ市場で加速している、ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)の実現に向けた開発も進めています。ボッシュでは近年、ブレーキ、ステアリング、パワートレイン、サスペンションなど車両制御のためのさまざまなアクチュエーターを統合制御する、包括的なソリューションであるビークルモーションマネジメントの開発に注力しています。ハードウェアに依存しないソフトウェア機能によって、車両のダイナミクス、ハンドリング、効率性などが最適化されます。現在、日本で開発中のコンセプト車両では、ビークルモーションマネジメントによるマルチアクチュエーター統合制御により、ドライバーの好みや、走行シーンに応じてパーソナライズ化された運転を可能にします。各アクチュエーターの性能を最大限に引き出すことで、車両全体の走行性能を高め、1台でありながら複数の異なる車両のような多彩な走行モードを実現します。例えば同じ車両に乗りながらも、ソフトウェアの設定ひとつでスポーティ、コンフォート、ラグジュアリーなど、走行モードを切り替えることができます。ドライバーは車両を変えることなく、週末山道を走るアウトドアドライブから、都市部での通勤や送迎まで、シーンに応じた最適な走りを実現できるようになります。本ソリューションは、2025年初めに実施した冬期試乗会で複数の日本のお客様から高評価を得ています。現在、日本のお客様との試乗会を重ね、フィードバックを得ながら、さらなる開発に力を入れています。

AIは10年後最も影響力のあるテクノロジー:幅広いAI施策で従業員の成長を促進
ボッシュのビジネスの核となるモビリティ市場のみならず、世界ではあらゆる産業分野で技術革新が加速しています。それに伴い、AI技術も急激な進化を遂げ、個人や企業の成長戦略において不可欠なテーマとなっています。そこでボッシュでは、AIなどテクノロジーの重要性を把握するべく、テクノロジーおよびAIに関する調査をグローバル(ドイツ、フランス、イギリス、米国、ブラジル、中国、インド)および日本で実施しました。その結果、AIが「10年後、最も影響力のあるテクノロジー」としてグローバル(67%)でも日本(51%)でも1位となりました。また「AIスキルの重要性」を認識し(グローバル:56%、日本:45%)、「AIで自分の仕事がリスクにさらされると思う」割合(グローバル:49%、日本:52%)は、グローバルでも日本でもそれぞれ約半数いました。一方で「職場でAIの研修を受けたことがある」割合はグローバルで28%、日本ではわずか10%という結果で、日本ではAI研修の受講経験者がグローバルと比較して圧倒的に少ないことが分かりました。

ボッシュでは、AIスキルを身につけることが個人としても会社としても大きく成長するチャンスだと捉え、AIに関連する施策を積極的に取り入れています。その一例として、ボッシュではすでに、独自の教育プログラムであるAIアカデミーを通じて世界で6万5,000人以上の従業員にAIのトレーニングを提供しています。またグローバルで2023年末より展開している生成AIツール「AskBosch」を、日本を含むグローバルで2023年に導入しました。2025年は国内における同ツールの平均月間アクセス数を5万回以上にする目標を設定しています。さらに、社内外の事例を学び、AIに関する知識を共有する社内イベント「Bosch Japan AI Day」を2024年秋に実施し、2025年も引き続き開催予定です。ボッシュでは、このように積極的にAIに関連するツールや施策を導入し、世界の技術革新の進化に対応する人材育成に力を入れています。

※AIに関する調査結果および施策に関する詳細は、別途発表するプレスリリースを参照ください。
https://www.bosch.co.jp/press/rbjp-2506-05/

Bosch Forum Tsuzuki:本社周辺地域一帯のさらなる活性化に寄与
2024年11月、ボッシュは横浜市都筑区と「地域活性化に関する包括連携協定」を締結し、ボッシュの本社、ボッシュ ホール、両施設間に位置する全天候型広場の一帯を「Bosch Forum Tsuzuki(和名:ボッシュ・フォーラム・つづき)」と命名し、以来、地域活性化につながるさまざまな施策を行っています。2024年9月にオープンしたcafé 1886 at Boschは、オープン以来POSの取引件数が累計5万件を上回り、ボッシュの従業員から一般のお客様まで多く利用されています(2025年5月末時点)。2024年12月には従業員と地域団体が協業し、クリスマスオーナメント制作ワークショップや多言語の絵本読み聞かせなど、クリスマス関連のイベントを本社1階で実施し、多くの来場者でにぎわいました。2025年3月にはボッシュ ホール(都筑区民文化センター)がオープンし、Bosch Forum Tsuzukiの 敷地全体が週末や祝日も含めて一般開放されています。

ボッシュは今後も、日本発の開発をリードすることでモビリティ市場の発展に寄与するとともに、モビリティ以外のビジネスポートフォリオを拡大し事業基盤の強化を図ります。また、地域活性化にさらに貢献することで、「Invented for life」を体現する企業として、さらなる成長を目指していきます。


世界のボッシュ・グループ:2025年の展望と戦略の方向性
ボッシュ・グループの2024年の売上高は、前年比1.4%減の903億ユーロで、為替調整後は0.5%減となりました。支払金利前税引前利益は31億ユーロ(2023年:48億ユーロ)で、支払金利前税引前利益率は3.5%でした。昨年は、市場環境が成長の大きな足かせとなりましたが、競争力強化のために意欲的な「戦略2030」を継続しています。ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長のシュテファン・ハルトゥングは、「2024年度は、コスト、構造、製品ポートフォリオの観点から重要な改善を成し遂げました」と述べています。通常のインフレ率を2~3%とした場合、2030年まで平均年間成長率6~8%を達成することを目指しています。2025年第1四半期の売上高は、前年同期比で4%増となっています。ボッシュ・グループは、現在の環境下では極めて挑戦的であると認識しつつも、引き続き2026年も目標利益率を7%としています。市場や技術が変化する中でも成功を維持するために、ボッシュは今後もコストおよび構造改革に集中的に取り組み、収益性の高い事業分野に注力します。「ボッシュは、グローバル規模のテクノロジーリーダーとして、優れた革新性を始めとした自社の強みを大胆に発揮することに全力を注ぎます」と、ハルトゥングは続けました。

ボッシュはまた、スタートアップ企業との協働が成長に向けた大きな刺激になると考えています。ボッシュ・グループは、欧州最大級のベンチャーキャピタル投資会社のひとつであるボッシュの子会社Bosch Venturesが、ベンチャーキャピタル向けに約2億5,000万ユーロのファンドを新設すると発表しました。ボッシュは、モビリティ事業セクターにおいて、eモビリティ、水素、ソフトウェア・ディファインド・ビークルの開発が成長の大きな刺激になると予測しています。消費財事業セクターでは、新たな顧客ニーズが重要な成長機会をもたらすと予測しています。電動工具では、コードレス工具のラインナップ拡充に力を注ぐほか、今年BSH Hausgeräteは、初のMatter対応家電製品となる冷凍冷蔵庫を発売する予定です。産業機器テクノロジー事業セクターでは、受注量の安定化が見込まれることから、ソフトウェアや「Hydraulic Hub」などのデジタルサービスで、2030年初めまでに約10億ユーロの売上高を目標に掲げています。さらに、バッテリーや半導体、消費財の生産といった成長分野におけるファクトリーオートメーションは、今後さらに注目されると見込んでいます。エネルギー・ビルディングテクノロジー事業セクターにおいては、ジョンソンコントロールズと日立のHVAC(暖房・換気・空調)事業の買収が予定されており、これによる大きな成長が見込まれます。世界情勢が不安定な状況においても、ボッシュにとってクライメートアクションは依然として重要な課題です。ボッシュは、2030年までに、製品使用時における排出など、ボッシュの直接的な影響範囲外での二酸化炭素排出量のさらなる削減を目指す新たなスコープ3目標を設定しました。また成長目標に関わらず、それまでにはCO2削減目標を2018年比で15%から30%に倍増したいと考えています。「世界経済が他に現在対処すべき課題を抱えているからと言って、気候変動がなくなるわけではありません。持続可能性はボッシュにとって変わらず優先事項です」と、ハルトゥングは指摘します。
本件に関するお問合わせ先
古市、浄土寺
電話:045-605-3010

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この企業の情報

組織名
ボッシュ株式会社
ホームページ
https://corporate.bosch.co.jp/
代表者
クラウス メーダー
資本金
17,000,000,000 万円
上場
非上場
所在地
〒150-8360 東京都渋谷区渋谷3丁目6-7
連絡先
03-3400-1551

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