国立研究機関と細胞ハンドリング技術を用いた共同研究を開始~研究現場におけるDX・AXを促進する次世代の自動化実験技術開発を目指す~
- ヤマハ発動機株式会社
- 2025年08月07日
- 10:00
ヤマハ発動機株式会社は、このたび、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)と、細胞ピッキング&イメージングシステムを用いた、次世代細胞ハンドリングと自動化技術の応用に関する共同研究契約を締結しました。この共同研究は、研究現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)・AX(AIトランスフォーメーション)を促進する技術と基盤の整備を目的としています。理研・生命機能科学研究センター(以下、BDR*¹)の自動化・分析技術と、当社の細胞観察操作技術を組み合わせ、AI技術を活用することで、作業の標準化と精度向上、ならびに再現性の高いデータ取得の実現を目指します。本共同研究の期間は、2025年7月から2027年3月を予定しています。
本研究では、研究機器のソフトウェアやプログラムを連携させるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)およびデータ連携基盤、細胞観察技術や細胞ハンドリングの高度化に取り組みます。手法や設計は理研BDRが、実装は当社がそれぞれ担当し、さらに両者の協働で、細胞実験高度化の社会実装に向けた検討を進めます。その成果として、細胞を精度高く選び出す技術の確立や完全自動化の実現、さらには細胞を巧みにハンドリングすることによる新たな研究アプローチの開発などが期待されます。
当社は、生命科学分野の研究現場の多様なニーズやオートメーション需要に応えるため、本研究を通して、さらなる機能開発・実装に向けた知見の獲得を図ります。また当社は、細胞塊*²の取り扱いや画像データの取得を高速かつ高精度に行うためのシステムを開発・提供しています。細胞の自動選別や、周辺画像を自動で繋ぎ合わせる機能などを備えており、研究現場における作業の効率化や、データの信頼性向上に貢献することを目指しています。
※1 理化学研究所 生命機能科学研究センター(理研BDR):生物個体の発生・誕生から老化までのライフサイクルについて、細胞や臓器、体全体といった階層的な視点から研究している理研の研究センター。幹細胞、オルガノイド、観察・計測技術、AI、ロボティクスなどの先端研究を通じて、健康維持や少子高齢化に伴う社会課題の解決に貢献することを目指す。
※2 単一細胞もしくはスフェロイドやオルガノイドなどの三次元細胞構造体