法政大学がComoris・東京工科大学と産学共同プロジェクトを実施 学生が「都市の中の多種と共にデザインする」新しい暮らし方を提案



法政大学デザイン工学部システムデザイン学科アフェクティブデザインラボ(指導教員:ソンヨンア教授、以下、ADL)は、Comoris DAO合同会社(本社:東京都目黒区、共同代表:南部隆一、小田木確郎、渡辺英暁、以下 Comoris)および東京工科大学片柳研究所上岡玲子教授とともに、産学連携による共同プロジェクトを実施しました。
本プロジェクトでは、「都市の中の多種と共にデザインする」というテーマのもと、都市生活における動植物・微生物・風・水・光といった自然要素との共創的なライフスタイルのあり方を、センシング・表現・実装を通して実験的に探りました。




◆研究概要:都市に"他種の感覚"をとり戻すためのデザイン
 都市は人間に最適化された環境である一方で、そこに共存する多様な生命との関係性は見落とされがちです。本プロジェクトでは、そうした人間中心的な視点を問い直し、「他種とともに都市を生きる」ことを前提とした新たなデザインのあり方を模索します。
 プロジェクトのフィールドは、Comorisが手がける都市の空き地を活用したシェアフォレスト。ここを舞台に、学生たちはセンシングやフィールドワークを通じて他種の存在に"気づく"ところからスタート。そこから得たデータや経験をもとに、表現・可視化・コミュニケーションのかたちを考案し、最終的には物理的な実装の可能性まで探ります。

◆プロジェクトのステップと進行
1. Noticing(気づく)
 都市に生きる他種の存在や現象に感覚的・身体的に気づく段階。Comorisや大学周辺、自宅近隣などでのフィールドワークを通して、センシング対象を探索します。視覚に限らず、匂いや音、風、湿度なども重要な観察対象とします。

2. Co-creating(共に作る)
 センシングした結果をもとに、人と他種の関係を豊かにする表現・仕組みを創出。AIによるキャラクター化、体験型の可視化、空間への実装など、都市生活の文脈に沿った提案を行います。

3. Care(相互ケア)
 アウトプットはComorisや大学、自宅などに実際にインストールし、継続的な利用を通じて「ケアし、ケアされる関係性」へとつなげていきます。

◆最終発表会:3チームから5つのコンセプトとプロトタイプを発表
 本プロジェクトは2025年5月に始動し、6月の最終発表会に向けて、レクチャー、フィールドワーク、アイデア提案、プロトタイピングといった段階的なセッションを重ねました。最終発表会の実施概要は以下のとおりです。

・実施日 :2025年6月18日(水)
・実施場所:アーバンシェアフォレスト「Comoris」(代々木八幡)
・参加者 :Comoris関係者、大学関係者、ADLメンバー



<発表概要>
1.育てるイス:座ることで土が育ち、植物が成長しやすくなるイス
 街中の落ち葉などを「育てるイス」に入れておくと、座った時の圧力で土が元気になる。イスの横から植物が生えてくるデザインのため、時間を重ねた使い方に応じてスツールの表情が変化していく。街中の循環とイスと使い手の持続的成長が相互ケア的観点を見せている。プロトタイプをBUCKET(スタック型)、CUBE(ユニット型)、STOOL(中空構造型)の3つ作成。中空構造型は今後、研究を進めていく予定。

2.CoLLAGE:都市の中で他の生き物に気づくための手紙
 Comorisという都心の中にある森を活用。その場にある素材を使って自然素材を集めたコラージュ形式のカードを制作する。QRコードを通じて都心の中の自然を、カードの変化によって捉えることができる。

3.BUGHAUS:人間にはゴミだが、生き物には家かもしれない
 身の回りにある家庭ごみを使って、虫や他の生き物にどんな住まいになり得るかを観察・記録するプロジェクト。参加者は各自が工夫した家庭ゴミをComoris内に配置し1週間後にチームメンバーで中にいる虫を探すワークショップを行った。外から見るとゴミが落ちてるように見えるが、中で参加していた人々は、ゴミを工夫するプロセス、置き方、虫を探すプロセスを通じて自然に対することを考える時間となった。

4.土埋め:微生物が豊かな土と共にファッションを考える
 土が作り出す模様や穴を自己表現のファッションに取り入れる試み。土の中の微生物やその豊かさによって立ち現れる模様が変わっていくことを期待して、10日間、TシャツをComorisの土壌に埋めた。結果、2個ほど穴が空いていたり土らしい模様が残されており、今後の長期間の実験で場所と期間による違いを検討していく。

5.鳥の花壇:鳥のフンが落ちているところを花壇にするゲリラプロジェクト
 鳥のフンは人にとっては汚く、迷惑なもので、通常は街中には鳥を追い出すような装置が設置されていることもある。しかし鳥のフンは種を運ぶ機能をしていたり、鳥のフンがあるところは鳥の休憩場であることも示す。本プロジェクトでは、フンがたくさん落ちているところをあえて花壇にすることで、都市の中での鳥と人間の共存を考える。人間中心主義的な都市の作り方ではなく、鳥の生息を尊重しながらその利点を人間の生活の中にもつながるような仕掛けになっている。

 今後は、研究成果をもとに、論文化や展示などを通じた社会への発信を進めるとともに、Comoris現地での実装や、将来的なパブリックスペースへの応用、地域や他大学との連携など、継続的な展開を目指していきます。


◆団体紹介
1.法政大学デザイン工学部システムデザイン学科アフェクティブデザインラボ(ADL)
 ADLは、法政大学デザイン工学部システムデザイン学科に2023年に新設された研究室で、社会の現実課題や未来の可能性に対して「感情」や「知覚」に基づいたデザインアプローチを重視しています。インタラクションデザイン、UXデザイン、サービスデザイン、メディアアート、スペキュラティブデザイン、リサーチスルーデザインといった領域を横断しながら、変化し続ける社会や都市空間において、他者との関係性や新たな価値創出の方法を探求しています。
 本プロジェクトでは、ADLの専門性を活かし、都市における"多種との共生"をテーマに、観察・センシング・表現・実装まで一貫した実験的なプログラムを構築しています。
 https://www.affectivedesignlab.com/ja 

2.Comoris DAO合同会社/アーバンシェアフォレスト「Comoris」
 アーバンシェアフォレスト「Comoris」は、都市の空き地や遊休地に小さな森をつくり、その場の自然や様々なアクティビティを楽しみながらメンテナンスを継続していくメンバーシップ制のシェアフォレストサービスです。NFTによるメンバーシップ制で運営され、メンバーや周辺住民は、場の育成はもちろんのこと、野草を使った食のイベント、森での実地研修など様々な学びのプログラムへの参加を通して、自身の暮らしにとっても、地球にとっても優しい、ネイチャーポジティブな都市生活を実現することができます。
 https://comoris.co/ 

3.東京工科大学片柳研究所
 東京工科大学は、実学主義に基づいた教育と研究を推進する理工系の大学です。本プロジェクトには、同大学の片柳研究所所属でエモーショナルエンジニアリングを専門とする上岡玲子教授が参加し、都市環境におけるセンシング技術やデータの可視化、環境デザインの観点から貢献しています。多種との共生に向けた表現や実装方法の開発を行い、技術と感性の融合による新しい都市像の探究に取り組んでいます。
 https://jyuken.teu.ac.jp/info/lab/teacher/laboratory/ueoka.html


▼本件に関する問い合わせ先
法政大学総長室広報課
TEL:03-3264-9240
メール:pr@adm.hosei.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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組織名
法政大学
ホームページ
https://www.hosei.ac.jp/
代表者
ダイアナ コー
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非上場
所在地
〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1

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