8月28日から29日に大宮ソニックシティで開催された「第51回日本診療情報管理学会学術大会」で、埼玉県立循環器・呼吸器病センター(熊谷市)医事担当の石川暢子氏が、病院経営支援システムを開発・提供するメディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区)が提供するコミュニティサイト「ちょこつな」を活用し、診療録監査体制を改善した事例についてポスター発表をしましたのでお知らせいたします。
同院では、前回の病院機能評価更新受審において診療録監査体制の改善点が指摘されました。これを受け、監査に関わる職員の意識改善を促すとともに、監査報告内容の精度向上を目的とした体制と手法を見直すことになりました。
診療録監査体制について、従来実施していた自科評価のみの体制から、他科の視点を取り入れた相互評価体制へ変更し、評価結果をグラフにして院内で情報共有するようにしました。
また、「ちょこつな」で配布している「診療記録の質的監査の運用支援ツール」を活用しました。このツールでは評価者ごとに配布するための評価票を作成し、記入された評価結果の集計をすることができます。また、患者ごとの総括の自然言語データを形態素解析し、頻出するワードを把握することで監査項目ごとの課題や改善が必要な点が分かり、次回の評価までの項目の見直しに活用することができます。
相互評価体制の導入と評価結果の共有により、医師から診療録記載に関する相談が寄せられるなど、意識の改善がみられました。また、ツールの導入により監査対象患者の抽出から評価票の印刷までにかかる時間を1件あたり16分から10分に短縮、結果入力の作業にかかる時間を15分から5分に短縮することができました。
石川氏は今後について、「監査結果のデータを長期的に蓄積し、改善提案の質を高めていきます。また、監査プロセスのデジタル化など、さらなる効率化に向けて積極的に電子化を進めます」としています。
【会場に出展したMDVのブース】