新潟県は、2025年9月16日(火)に銀座・新潟情報館 THE NIIGATAにて、
「第40回 新潟プレミアサロン」を開催しました。今回のテーマは、
「阿賀北、加治川とともに生きる ~植樹100周年の桜の名所がつなぐ人・未来~」。加治川地域をつなぐ取組について発表や意見交換が行われました。
※「新潟プレミアサロン」は、主に首都圏に在住し、メディア、文化・芸能、経済界など各分野で活躍されているゆかりの方々を対象に、本県に関する旬の話題やプレミアな情報を紹介し、気軽に新潟を思い起こしていただける場として、新潟県が定期的に開催しているイベントです。開催の情報を希望される場合は、ページ下部「本件に関するお問合わせ先」までご連絡ください。
加治川堤の桜百年物語-世界一の加治川桜復元プロジェクト
講演では、「加治川を愛する会」会長の鬼嶋正之氏が登壇し、かつて
世界一の加治川桜と謳われた「加治川堤の桜」の歴史について語りました。新潟県北部を流れる加治川は、水害との闘いと干拓の歴史を背景に、大正期に地域住民や行政の尽力で桜が6,000本植樹され、「世界一の桜」と称される名所へ成長しました。戦時中の伐採や水害で一度は失われましたが、復元運動により再生し、現在は「加治川を愛する会」を中心に約2,130本の桜が守られています。鬼嶋氏は
「桜は花としての美しさだけでなく、地域の人々の記憶や誇りを映す存在。桜を守ることは、地域の未来を守ることにつながる」と、保存活動の意義について熱く語りました。
写真:鬼嶋氏講演の様子
加治川とともに生きる―地域の魅力を発信する取り組み
トークセッションでは、加治川桜・越後の姫まつり実行委員会 事務局長の間藤秀一氏と、道の駅加治川駅長の五月女奈緒美氏が登壇し、地域の魅力を発信する取り組みや、地域の可能性と展望について語りました。進行は新潟プレミアサロンコーディネーターの山崎まゆみ氏が行いました。
加治川地域について、地元で生まれ育ったという間藤氏は
「加治川は農業用水としても飲み水としても使われている母なる川。子供の頃に遊んだ思い出がある川」と話し、五月女氏は
「地域のことをあまり知ろうとしていなかったが、道の駅の駅長になり、川・桜・野菜など多くの魅力があることに気づき、大好きになった」と話しました。
加治川地域の課題や可能性、展望について、間藤氏は
「温かいふるさとの記憶がある。桜やイチゴを見た時に加治川を思い出してくれる子どもが一人でも多くいたら」と話し、五月女氏は
「加治川地域は観光名所などの多い新発田市中心部から離れていることもあるので、もっとアピールしていきたい。山や桜など、自然の豊かさ、魅力をアピールしたい」と話しました。
写真:トークセッション風景、山崎氏とのやり取り
加治川地域の食の魅力も体感
会場では、道の駅加治川で扱う「いちじく羊羹」や「いちじくドレッシング」などの商品のほか、連翹(れんぎょう)研究会企業組合による「れんぎょう茶」などが振る舞われ、参加者は加治川地域の食の可能性を“味わって”体感しました。
写真:試食、展示ブースや歓談の様子
登壇者インタビュー
鬼嶋 正之 氏
―今回のプレミアサロンについての感想を教えてください
素晴らしい出会いに感謝しています。多くの方に加治川の桜の魅力をお伝えすることができ、皆さんのお力、熱意を心強く感じました。プレミアサロンは今回が40回目の節目でしたよね。これからも、さらに情報発信の輪を広げていっていただければありがたいです。
―百年続いてきた「加治川の桜」を守る活動について教えてください
先人たちが、厳しい自然環境の中で力を合わせて世界一の桜を育てました。それを引き継いで、もう一度それを磨いて光らせたいと思っています。観光とは「光を見に来る」ことでもあるので、この加治川の桜を「光を発する」ものにしたいです。地元の自治体にも頑張ってもらいたいと思っています。
―来春の観光シーズンに向けて、加治川の魅力を教えてください
4月は、飯豊山系の見事な残雪を背景に桜が咲きます。この光景をぜひ実際に見ていただきたいです。清流の音を聞きながら、「今年も頑張ろう」という春のエネルギーを注入する機会にしてもらえればと思います。ぜひお越しください。
間藤 秀一 氏
―今回のプレミアサロンについての感想を教えてください
やっぱり東京に来たなぁという感想です。東京、イコール日本でもあると思うので、そこでこのような機会を設けてもらったことは嬉しかったです。
―今後の企画や地域に対しての思いについて教えてください
大事にしているのは、楽しく町づくりに関わっている姿を子どもたちに見せたいということです。子どもたちが成長した後にふるさとのことを思い出してくれるよう、子どもたちなど関わる人を増やして、皆さんの楽しい記憶の1つになればと思っています。
―今後やっていきたい活動や考えている施策について教えてください
子どもたちと一緒にもっとイベントを作っていきたいと思っています。また、地域発展のもう1つの歴史である紫雲寺潟の干拓から290年でもあり、10年後の300年という節目に向けて地域で盛り上げていけるよう、私たちもイベントを通じて貢献できればと思います。
五月女 奈緒美 氏
―今回のプレミアサロンについての感想を教えてください
新潟愛が強い人が多いと感じて、すごいと思いました。30年近く東京、横浜に住んでいましたが、その時は新潟のことを忘れがちでした。プレミアサロンは新潟の良さを改めて知ることのできる良い機会だと思います。私が東京にいた頃にこういう機会があれば、東京の人と知り合い、仲間ができたのではないかとも思います。
―加治川に対する思いや今後の展望について教えてください
加治川地域は過疎地域に指定されており、人口が減っています。ただ、若い世代の方々も住んでいるので、一度地域を出たとしても、また帰ってきてもらえるようにしたいです。道の駅がそのきっかけになればと思います。にぎわいを取り戻し、人が集まるような地域にしていきたいです。
◆登壇者プロフィール
鬼嶋 正之 氏 「加治川を愛する会」会長
1981年から2005年まで紫雲寺町長を務める。
「東洋一・世界一の加治川桜」と称賛された堤桜の復元を目指し、新発田市・聖籠町・加治川村・紫雲寺町で1982年に加治川堤桜復元市町村連絡協議会を設立、副会長として推進。
退任後、加治川を愛する会提唱者・たかたかし名誉会長の要請を受けて会長に就任。
現在、公益社団法人にいがた緑の百年物語緑化推進委員会副理事長・新発田地域緑化推進協議会会長も務める。
間藤 秀一 氏 「加治川桜・越後の姫まつり実行委員会」 事務局長、株式会社マトー 代表取締役
1977年、新発田市(旧・紫雲寺町)生まれ。
3年前、地元中学生の職場訪問をきっかけに、大人が楽しみながら街づくりに取り組んでいる姿を子ども達に見せたいと、仲間数人と「加治川桜・越後姫まつり」を企画。地元の誇りである加治川の桜と、特産品のブランド苺「越後姫」を地区内外に広く発信し、「世界いちご早食い選手権」などのユニークな企画もあり、開催2年間でのべ1万人以上が来場するイベントに成長している。
五月女 奈緒美 氏 「道の駅 加治川」駅長、三福運輸株式会社 代表取締役
事業承継のため、26年勤めた航空会社を退職し運送業界に入り社長となる。180度違う環境に飛び込み、悪戦苦闘しながら安全とマナー教育を徹底し、高品質の運送会社としてブランディングを続ける。
2022年に道の駅の指定管理者、駅長に就任。地域に根差し地域から愛される道の駅にするために地元小学生や地域住民が参加できるイベントや取り組みを行っている。CAの経験を活かし、接遇に力を入れおもてなしNo.1の道の駅を目指す。
◆次回予告
次回の新潟プレミアサロンは、
2025年11月17日(月)開催予定。テーマは
「文化とともに暮らす島・佐渡」。今後の展開にもぜひご期待ください。
【新潟プレミアサロン(新潟県ホームページ)】
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kouhou/premiersalon.html