低ヤング率耐熱無酸素銅TOFC(TM)を開発

~低ヤング率・高耐熱・高熱伝導により、パワー半導体モジュールの高性能化に貢献~

● 300℃以上の高温下でも無酸素銅の硬さが維持され、反りや変形を抑制
● 低ヤング率により、熱膨張率が異なる部材との接合界面における熱応力を低減。剥離が抑制され接合信頼性が大幅に向上
● 2025年度中の量産・販売開始を予定
 
 古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区大手町2丁目6番4号、代表取締役社長:森平英也)は、一般的な無酸素銅よりヤング率(注)が低く、高い耐熱性と熱伝導性を特長とする低ヤング率耐熱無酸素銅「TOFC(TM)」を開発しました。

■背景
 近年、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの活用や、xEV、データセンタなどで、電力の変換・制御を行うパワー半導体の使用が急速に拡大しています。特にSiC(炭化ケイ素)チップ等を使用する次世代パワー半導体モジュールでは、高出力・高性能化に伴い発熱量が増大しています。無酸素銅は、その優れた熱伝導性から、放熱基板や端子としてモジュールに搭載されています。
 しかし、はんだ付けや樹脂との接合時には熱が加わることにより、無酸素銅の軟化や反りの発生が接合信頼性を低下させます。また、モジュール内の半導体チップ、セラミックス、樹脂それぞれと銅との熱膨張係数が異なることから、使用時の発熱によって生じる応力により部材間の接合界面での剥離や割れが発生し、機能停止に陥ります。

■内容
 当社は一般無酸素銅(C1020)に加え、独自の材料設計技術と製造技術により、高温接合時の結晶粒粗大化を抑制する耐熱無酸素銅GOFC(R)を量産中です。そして今回新たに、低ヤング率耐熱無酸素銅TOFC(TM)を当社の製品ラインアップに加えました。TOFC(TM)は高い熱伝導性を維持したまま、高温下でも軟化しない耐熱性を実現しました(図1)。その結果、はんだ付けや樹脂接合が行われる300℃以上でも無酸素銅の硬さが維持され、反りや変形の抑制が期待されます。さらに、600℃以下の領域において一般的な無酸素銅より低いヤング率を保つことに成功しました(図2、表)。これにより熱膨張率が異なる部材間の接合界面で生じる剥離などが抑制され、接続信頼性を大幅に向上させることが期待されます。
 こうした特長を持つTOFC(TM)は、パワー半導体モジュールの断面模式図(図3)に示した放熱板や端子用途に適しています。また、耐熱性が要求される大電流用バスバー等へ適用することで、一般無酸素銅やタフピッチ銅と比較して高温使用時の強度低下を抑制でき、再生可能エネルギーのインバータ用途やxEVのパワーコントロールユニット等への展開も期待されます。
 なお、本製品は本年度中の量産・販売開始を予定しています。
 当社は今後も幅広い用途へ高機能無酸素銅条を提供し、パワー半導体モジュールの高性能化に貢献します。
 
図1 熱処理による硬さの変化
 
図2 熱処理によるヤング率の変化
 

図3 構造の異なるパワーモジュールでのTOFC(TM)適用箇所の例
 
表 無酸素銅の特性

(注)ヤング率:材料が弾性変形する際の応力とひずみの比例定数で、縦弾性係数とも呼ばれ、材料の硬さや変形のしにくさを表します。この値が大きいほど硬く、変形しにくい材料となります。

『TOFC』は古河電気工業株式会社の商標です(出願中)。
『GOFC』は古河電気工業株式会社の日本における登録商標です。

関連ニュースリリース
パワー半導体向け無酸素銅条の板厚精度を向上
https://www.furukawa.co.jp/release/2022/ele_20220622.html


■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、2030年をターゲットとした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定して、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。ビジョン2030の達成に向けて、中長期的な企業価値向上を目指すESG経営をOpen,Agile,Innovativeに推進し、SDGsの達成に貢献します。

古河電工グループのSDGsへの取り組み
https://furukawaelectric.disclosure.site/ja/themes/182

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この企業の情報

組織名
古河電気工業株式会社
ホームページ
https://www.furukawa.co.jp/
代表者
森平 英也
資本金
6,939,500 万円
上場
東証プライム
所在地
〒100-8322 東京都千代田区大手町2丁目6番4号常盤橋タワー
連絡先
03-6281-8500

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