◆ポイント
・小さな子どもがいるご家庭は、インフルエンザの家庭内感染発生リスクが特に高い
・家庭内感染を防ぐための具体的な対策をご紹介
・感染したかも? “検査キット”はドラックストア等で購入可
・子どもが感染した場合の早期対処と看病のポイントも解説
いよいよ本格的な冬シーズンの到来です。2025年は、インフルエンザが例年よりも早く流行し始めており、さらに気温の低下や空気の乾燥も重なって、より一層心配な季節になりました。
特に保育園・幼稚園や学校に通う子どもがいるご家庭では、
「うちの子、園や学校でインフルエンザをもらってこないかしら?」
「もし感染したら、家族みんなにうつってしまうのでは?」
という不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか?
今回大正製薬㈱が実施した調査では、
保育園や幼稚園、小学校低学年の子どもがいるご家庭で、インフルエンザの家庭内感染が起こりやすい傾向にあることが分かりました。
そこで、インフルエンザウイルス感染予防のポイントや、かかってしまった後の対処法を、川崎医科大学教授の中野貴司先生に伺いました。
<監修プロフィール>
川崎医科大学 小児科学 特任教授
中野 貴司 先生(なかの・たかし)
日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本感染症学会専門医・指導医、ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)、国際渡航医学会認定資格、臨床研修指導医。三重大学医学部小児科、国立病院機構三重病院などを経て現職に至る。
◆子どもはインフルエンザに感染しやすい?
インフルエンザは年齢を問わず注意が必要な感染症ですが、次のような理由から、未成年者や子どもはインフルエンザに感染しやすいと考えられます。
①体が発達途中で感染の経験も少なく、免疫の働きが未熟。
②保育園・幼稚園や学校などで、集団で過ごすことが多い。
③特に小さな子どもは、遊んでいる時の子ども同士の距離が近く、おもちゃを共有することも多い。
④自身で十分な感染対策を行えない。
◆小さな子どもがいると家庭内感染が起こりやすい!?
大正製薬㈱が行った調査では、同居する子ども(0~20歳)がいるご家庭といないご家庭では、子どもがいるご家庭でインフルエンザの家庭内感染※が発生しやすい傾向にあることが分かりました。
※同居家族の中で最初の人がインフルエンザを発症してから、1週間以内に別の人も発症した場合を家庭内感染と定義。
また、保育園や幼稚園、小学校低学年の子どもがいるご家庭は、他の年代の子どもがいるご家庭よりも、家庭内感染が起こりやすい傾向にあることも明らかになりました。
家庭内で感染が広がる原因には、
・家族で食卓を囲む
・タオルや食器を共有する
・寝室を共にする
といったことがあります。特に小さな子どもの場合は、抱っこや添い寝などで親と密着する機会も多く、子から親、親から子への感染リスクが高まります。
また、生後半年ほどの赤ちゃんは、母親から受け継いだ免疫に守られていますが、その後感染症にかかるリスクは高くなっていきます。
◆子どもがインフルエンザにかかってしまったかも?
☆早めの対処が大切!
子どもに以下のような様子が見られたら、インフルエンザを疑い、早めに対処しましょう。早めの対処は、回復を助け、重症化を防ぐことにつながります。
・突然の高熱
・ぐったりして元気がない
・高熱が出ない場合でも、次の症状がある
・体や関節の痛み
・倦怠感
・頭痛
☆発熱・痛みへの対策
つらい発熱や痛みに備えて、市販の解熱鎮痛薬を用意しておくと安心です。インフルエンザ脳症重症化のリスクが低いとされるアセトアミノフェンを成分とする薬剤を選びましょう。
◆感染したかも? 市販の抗原検査キットの活用も視野に
☆自宅での備え
一般用検査薬として承認されたインフルエンザと新型コロナウイルスの両方を検査できるキットもドラックストアやインターネットで購入できます。ご家庭に常備し、いつもと違う様子があれば活用してみるのも一案でしょう。
※性能等の確認がされていない「研究用」の検査キットも出回っているため、製品の選択には注意が必要です。「第1類医薬品」又は「一般用検査薬」と表示されている製品を選びましょう。また、検査キットは「検査」であり「診断」ではありません。インフルエンザが疑われる明らかな症状がある場合は、結果にかかわらず速やかに医療機関を受診してください。
◆家庭内感染を防ぐためにできること
家庭内に感染した人が出た場合に、家族に感染を広げないためのポイントをご紹介します。全てを徹底して行うのは難しいかもしれませんが、できる範囲で取り組んでみましょう。
●家の中でもマスクを着用する
家族全員でマスクの着用を。ただし、就学前の子どもは無理に着用する必要はありません。
●こまめな手洗い
看病にあたる人は、看病をした後にも必ず手洗いを。
●可能な限り部屋を分ける
感染した人とは部屋を分けて生活し、感染した人と家族は食事の時間を分けるようにしましょう。
●タオルや食器を共有しない
使用後はできるだけ早く洗剤を使って洗ったり、消毒用アルコールや熱湯で消毒したりしましょう。
●アルコール消毒を行う
ドアノブやスイッチなどの人が触れやすい場所やおもちゃは、消毒用アルコールなどを使い念入りに消毒するとよいでしょう。トイレや洗面所といった共有スペースの消毒もできる範囲で。
●加湿と換気を行う
インフルエンザウイルスが空気中に浮遊しないよう、加湿器などを使って室内の湿度を50〜60%に。換気も行い、インフルエンザウイルスを屋外に排出しましょう。
◆子どもの看病の注意点
●看病は限られた人が行う
家族の中で看病にあたる人を1人に決めましょう。感染を広げるのを防ぐだけでなく、決まった人が看病にあたることで、脱水や意識障害など危険を示す小さな兆候にも気づきやすいという利点があります。また、高齢者や妊婦、持病のある方は可能な限り看病を避けてください。
●こまめな水分補給
高熱が出て汗をかくため、子どもが脱水症状を起こさないように水分を摂らせてください。塩分も補える経口補水液などを活用するとよいでしょう。
●子どもの快適な環境づくり
体温の上がり始めは寒気や震えが起こりやすいため、布団を重ねたりして暖かな環境で休ませてあげましょう。体温が上がりきったら、室温や着衣なども調整して熱がこもらないようにしてください。
◆最後に大正製薬から
インフルエンザシーズンを乗り切るためには、日頃からの予防対策と、万が一感染した場合の適切な対応が重要です。特に小さな子どもがいるご家庭では、より一層の注意が必要です。
今回ご紹介した対策について、すべてを徹底して行うのは難しいかもしれませんが、まずはできる範囲で実践してみましょう。正しい知識を持ち、家族みんなで協力しながら一つずつ取り組むことで、インフルエンザシーズンを乗り切りましょう。
大正製薬では、これからも皆さまの健康と安心をサポートすべく、信頼できる情報の提供に努めてまいります。
【調査概要】
調査主体:大正製薬株式会社
調査方法 : インターネット調査(Surveroidを利用)
https://surveroid.jp/
調査期間 : 2025年9月10日~2025年9月15日
調査対象 : 2024年度に自身を含む家族の誰かがインフルエンザにかかったことがある方
有効回答数 :1,629人