持続可能性が求められる時代における日本の重要なパートナー
カナダ最大の木質ペレット業界団体であるカナダ木質ペレット協会(WPAC: Wood Pellet Association of Canada)より、カナダの森林管理と林産品生産の信頼性について紹介します。
森林管理に対する期待が世界的に上昇する中、林産品が責任ある調達に基づき、長期的な視点で適切に管理されているかを、各国政府、実業界、消費者が検証したいという機運が高まっています。そのような状況下で、持続可能な森林管理で定評を得ているのがカナダです。厳格なガバナンス、透明性、継続的な改善を続けてきた長年の実績があってこその信頼を獲得しています。特に木質ペレットにおいては、ペレット製造業者が自ら森林経営を行うわけではないため、森林制度の健全性と誠実な運営を実現するガバナンスが非常に重要となります。
カナダ林産業の誇る信頼性は、建材をはじめ、紙パルプ、バイオエネルギーといった幅広い森林由来品にかかわっています。特に日本のバイオマス業界においては、GHG排出量削減の実績のみならず、どのような森林由来であるかが重視されます。カナダの木質ペレットは、エネルギーを目的とする伐採から生産されるのではなく、伐採地や製材所の残材や廃材などの一次製材由来です。原木はまず長寿命かつ価値の高い製品に加工され、残った木質材料から回収した木質繊維を効率的にバイオエネルギーとして利用するのがペレットです。この生産方法により、再生可能エネルギーの長期的な供給体制、トレーサビリティ、そして持続可能性が確保されます。
カナダの森林経営は、明確なルール、一貫した測定評価、科学の進歩と社会からのニーズの変化に応じた進化を基盤としています。これらの取り組みを継続してきた結果として、カナダは世界から、信頼できる責任ある林産品のサプライヤー、そしてパートナーとして認められるに至っているのです。
国際的枠組みと用語の共有およびグローバルな持続可能性目標との整合
カナダが世界から評価されている最大の理由は、森林経営の成果が、国内基準ではなく世界的に認められている枠組みを用いて評価されているためです。カナダは、1994年に日本を含めて13か国の林業国が集まって設立したモントリオール・プロセスの創設メンバーであり、持続可能な森林経営に対して科学を基礎とする共通評価基準と指標を参加国全体で開発し、採用してきました。
この指標とは、森林の状態、種の多様性、炭素貯留、長期的な生産性を評価するための、いわば共通言語を提供するものです。森林経営について国際基準の枠組みを用いることで、カナダを他の林業大国と同じ土俵で比較することができ、各国間の比較に信憑性と一貫性をもたらします。
カナダは森林に関する報告様式を、国際連合の持続可能性目標、特にSDG15(陸の豊かさも守ろう)、さらには国連世界森林目標とも整合させています。後者は、失われた森林面積の回復や、森林保護、森林製品の持続可能な利用の推進などを内容としています。これらと整合させることで、カナダの森林管理制度は国内の優先課題の枠に留まらず、国際的に広く認められた持続可能性目標に沿ったものとなっています。
ブリティッシュ・コロンビア大学は、カナダの森林管理制度を、欧州連合と日本も含むモントリオール・プロセス参加国6か国の制度と比較する研究を行いました。この研究を通じて、カナダの制度は、森林経営において最も厳しい法令と政策の枠組みのひとつであり、国家、州、自治体それぞれで包括的な政策と立法枠組みを持っているということが証明されています。
持続可能性、原産地、合法性を優先するガバナンス
バイオマスならびにその他林産品の持続可能性に対する要求は、日本にとって根幹を成す重要な考慮点であり、クリーンウッド法ならびにFIT/FIP制度の持続可能性基準などの再生エネルギー政策にも表れています。同様の目標をカナダは森林のガバナンス体制で対応しています。
また、カナダの森林の90%近くは公有林であり、州政府や準州政府が伐採量、環境保護規定、森林再生要件を定めて監視を行っています。林産企業自らはこれらを設定せず、公的な枠組みの中で経営を行います。伐採量は、科学に基づき、長期的な森林の健全性を支えるよう設計された計画プロセスを経て決定されます。
同様に重要なのは、伐採した森林を、自然再生、植林、播種のいずれかを通して再生させ、将来の世代のために生産的な森林として存続させなければならないということです。このようなガバナンスモデルであれば、カナダの林産品の持続可能性と合法性の両方を信頼してもらえる強固な基盤となり、これは言うまでもなく木質ペレットに使われる残材にも当てはまります。
独立機関による検証と透明性
持続可能な森林経営におけるカナダの姿勢は、第三者機関による検証によって裏打ちされています。 カナダは国際的に認められている以下の独立認証制度による認証林面積が世界最大であり、その面積は1億6千万ヘクタールを超えています。
- カナダ規格協会(CSA)
- 森林管理協議会(FSC)
- PEFC森林認証制度
- 持続可能な森林経営イニシアチブ(SFI)
これらの認証は、カナダ森林インベントリ(National Forest Inventory)やカナダ森林データベース(National Forestry Database)など、国内のデータシステムによって支えられています。継続的に森林の状態、伐採、再生、かく乱、炭素動向を記録し追跡するデータベースとして公開されており、定期的に更新を行い、政府機関、バイヤー、海外パートナーに透明性のある支援を提供しています。
トレーサビリティ、検証、長期データを活用する日本企業にとって、認証と全国的な報告制度を組み合わせることで、森林施業状況を分かりやすく、信頼性の高い形で示しています。
カナダの森林は、世界の多数の森林と同様に、林野火災、害虫、異常気象など、気候変動の影響が拡大する一方であり、カナダは、こうした課題に研究、モニタリング、適応で対処しています。
カナダの持続可能な森林経営は、固定された到達点を目指すものではなく、継続的に改善されていくプロセスとして位置付けられています。科学の発展や気候変動への理解の深化、さらには先住民族の知恵が森林経営の理念と計画に取り入れられるにつれ、林地施業の在り方も進化してきました。カナダの森林経営において学習と適応が強調されている背景には、森林の長期的な健全性には、安定性と柔軟性の双方が不可欠であるという実践的な理解の進展があります。
変化する世界情勢においても信頼できるパートナー
日本とカナダの間には、信頼、予見可能性、品質と責任に関する共通の価値観に基づく協力関係が長年にわたって築かれてきました。どのような森林由来であるか、また持続可能性に対する視線が世界的に厳しくなる中、バイオエネルギー産業では、森林のガバナンス、原料調達、検証制度の重要性が一層高まっています。こうした状況において、日加が共有してきた基本姿勢は、これまで以上に重要な意味を持ちます。
カナダの持続可能な森林経営への取り組みは、海外パートナーとの長年の実践と協業を通じて形づくられてきました。環境に対する要求が高まる時代に、着実に積み重ねられてきた実績が、国際社会においてカナダが高い評価を受けている礎となっています。
■WPACの取り組み
https://pellet.org/ja/%e3%83%9b%e3%83%bc%e3%83%a0-%e3%83%9a%e3%83%ac%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%a8%e5%9c%b0%e7%90%83/?utm_source=newsletter&utm_campaign=Global&utm_id=JP26_1
カナダ木質ペレット協会(WPAC: Wood Pellet Association of Canada)
カナダ最大の木質ペレット業界団体です。カナダの持続可能で世界をリードする木質ペレットセクターの代弁者として、WPAC会員とともに責任ある再生可能なクリーンエネルギーを世界に供給することに尽力しています。カナダ全土に施設を有する50以上の生産者と組合員を代表し、かつては廃棄物とみなされていた繊維をペレットの変容力を利用した責任ある再生可能エネルギーに変えています。詳しくは
https://pellet.org/ja をご覧ください。