【第2回 企業・団体等のPMO導入に関する実態調査】 “課題解決"や“品質是正"を起点に広がるPMOの役割、今後の期待は多様なプロジェクトへの適応力

~プロジェクトマネジメントにおける生成AI活用は3割にとどまり、用途の99%は「業務代替」~

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下、当社)は、NTTドコモビジネスX株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:稲葉 秀司)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターのうち、企業・団体などにおいてシステム開発に携わったことがある方(1,053人)を対象に、「企業・団体等のPMO導入に関する意識調査」(以下、本調査)を実施しました。

本調査は、2023年度に続く2回目の実施で、企業・団体などのシステム開発プロジェクトにおけるPMO※1の導入状況と期待される役割を把握することと、プロジェクトの成否との関係を分析することを目的としています。主な結果は以下の通りです。

※1…プロジェクト・マネジメント・オフィス(Project Management Office)の略。企業や組織の全体価値の向上という視点から、複数のプロジェクトが円滑に実施されるように、より上位の統合的マネジメントを実現するために導入された組織。具体的にPMOの業務とは、プロジェクトの発足から終了まで、プロジェクトの活動を全社的視野でマネジメントし、適宜、改善提案などの助言を行い、状況によってはマネジメントを支援する(出所:独立行政法人情報処理推進機構 ITプロジェクトの「見える化」, 2008年)。

2023年度に続き2回目となる「企業・団体等のPMO導入に関する意識調査」を実施


【調査詳細レポート】: https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/260331/


【主なポイント】
  1. プロジェクトのQCD別の成否を見ると、品質(Q)や納期・スケジュール(D)を優先する局面において、コスト(C)がトレードオフとなる実態がみられる
  2. 外部のPMOに対する期待は「課題・リスクの検知と解決推進」「品質状況の可視化、是正勧告、状況報告」にあり、高評価の理由は「プロジェクトのゴールや全体を俯瞰する視野など、プロジェクト責任者と同様の目線を持つことが適切であった」が62.0%で最多
  3. 今後のPMOへの期待は「システム開発における業務部門への支援」や「業務部門等が主導するシステム開発以外のプロジェクトへの対応」にある
  4. プロジェクトマネジメントへの生成AIの活用割合は3割、用途の99.7%は「業務代替」にとどまる

【背景】
近年、企業・団体の取り組みは、DXの進展や社会環境の変化を背景にプロジェクト型で推進される場面が増え、案件は複雑化・大規模化しています。このような状況下では、個別プロジェクトの推進力に加えて、横断的な可視化・意思決定支援・統制を担うPMOの役割が一層重要になります。

一方で、PMOの必要性は認識されつつも、役割や体制設計が十分に整理されていないケースも見受けられます。そこで本調査では、システム開発プロジェクトを中心にPMOの導入状況と期待される役割を把握し、プロジェクトの成否との関係を分析することで、実務に資する示唆の抽出を試みました。



【主な調査結果・考察】

1. プロジェクトのQCD別の成否を見ると、品質(Q)や納期・スケジュール(D)を優先する局面において、コスト(C)がトレードオフとなる実態がみられる

すべての回答者(n=1,053)を対象に、「直近で参画したシステム開発プロジェクト」について、システムの利用用途ごとにプロジェクトの成否を確認しました。その結果、納期・スケジュール(D)の観点で「プロジェクト開始時の計画より良い結果となった」と回答した層ほど、コスト(C)の観点では「プロジェクト開始時の計画より悪い結果となった」と回答する傾向がみられました(図表1、2)。

同様の傾向は、「開発レイヤー(アプリケーション/基盤、オンプレ/クラウド、パッケージ/スクラッチ)」や「開発規模」別に見た場合にも確認されました。また、納期・スケジュール(D)を品質(Q)に置き換えた場合にも、同様の関係がみられます。

本結果は、品質(Q)や納期・スケジュール(D)を優先する局面では、追加のコスト(C)を投下して対応する傾向があることを示しています。コスト面では、当初見積もりに対して一定の予算余力を確保しておくことが重要です。


【図表1】システム開発プロジェクトにおけるシステムの利用用途別の成否(D:納期・スケジュール)(n=1,053)
【図表2】システム開発プロジェクトにおけるシステムの利用用途別の成否(C:コスト)(n=1,053)



2. 外部のPMOに対する期待は「課題・リスクの検知と解決推進」「品質状況の可視化、是正勧告、状況報告」にあり、評価獲得にはプロジェクト責任者と同じ目線を持つことが重要である

すべての回答者(n=1,053)を対象に、「直近で参画したシステム開発プロジェクト」におけるプロジェクトマネジメント活動の実施有無を調査しました。そのうえで、PMO未導入(n=666)、自社要員のみでPMOを組成(n=112)、外部要員を含めてPMOを組成(n=275)の3群で比較しました。

比較の結果、PMO未導入から自社要員のみのPMO導入へ移行する際に伸びる活動は“PMOに対する期待”に、また自社要員のみから外部要員を含むPMOへ移行する際に伸びる活動は“外部PMOに対する期待”に、それぞれ対応していると考えられます。特に外部要員のPMOは「影響度の大きい課題やリスクの検知とその解決推進」や、「計画に基づいた品質管理と是正」の期待に応えることが重要であると考えられます。

また、導入したPMOを「良い」と回答した回答者(326人)に理由を確認したところ、「プロジェクトのゴールや全体を俯瞰する視野など、プロジェクト責任者と同様の目線を持つことが適切であった」と回答した割合は62.0%でした(図表4)。本設問は2023年の第1回アンケートでも54.0%であり、PMOにおいて普遍的に重要な要素である可能性が示唆されます。



【図表3】PMO導入状況ごとのプロジェクトマネジメント活動(n=1,053)


【図表4】導入したPMOの評価内容(n=387)




3. 「システム開発における業務部門への支援」や「業務部門等が主導するシステム開発以外のプロジェクトへの対応」がPMOに期待されている

PMOを導入したと回答した回答者(n=387)に、今後のPMOサービスとして期待する内容を確認したところ、「システム開発以外のプロジェクトへの対応」が38.5%でした。その他、「教育訓練領域の支援」(22.7%)、「受入テストの支援」(30.7%)、「業務移行の支援」(26.1%)など、システム開発プロジェクトにおける業務部門向け支援に関する項目も一定の回答率となりました。

このことから、システム開発プロジェクトにおいて、システム部門に対する支援に留まらず、業務部門に対する支援ニーズも高い傾向にあること、また、企業活動の一定割合がプロジェクト型であることを踏まえると、業務部門が主導するシステム開発以外のプロジェクトにおいても、プロジェクトマネジメントに関する支援ニーズが高いことが伺えます。



【図表5】企業・団体が今後のPMOに期待するサービス(n=387)




4. プロジェクトマネジメントにおける生成AIの活用は3割にとどまる

すべての回答者(n=1,053)を対象に、「所属する企業・団体でこれまでにプロジェクトマネジメントにおいて生成AIを活用していたか」を調査し、「活用した」と回答した回答者に対して「業務代替」「業務高度化」のいずれに活用したかを確認しました。その結果、「活用した」が35.2%で(図表6)、「業務高度化」に該当するいずれかの選択肢を1つ以上選択した回答者は0.5%しかおらず、99.7%は「業務代替」しかしていないことが分かりました(図表7)。

現段階では、プロジェクトマネジメント領域における生成AIの活用は限定的で、用途も業務の代替に留まっていることが伺えます。今後、活用や用途がどのように進展するのか、継続調査で明らかにしたいと考えています。


【図表6】プロジェクトマネジメントにおける生成AIの活用有無(n=1,053)



【図表7】プロジェクトマネジメントにおける生成AIの活用用途(n=371)


【本調査に関するコメント】
■NTTデータ経営研究所 マネージングイノベーションユニット シニアコンサルタント 植木 祐介

本調査から、プロジェクトのQCDでは、品質(Q)や納期・スケジュール(D)を優先し、費用(C)がトレードオフとなる傾向が確認されました。トレードオフが生じやすい大規模・高難易度プロジェクトほど、課題・リスクの検知と解決推進、品質状況の可視化や是正勧告・状況報告といった役割を担うPMOが、プロジェクト責任者と同じ目線で意思決定を支えることが重要です。PMO支援の対象はシステム開発以外のプロジェクトにも広がり、PMOを「参謀役」として位置づけ、機能と体制の計画的整備が成功確度の向上に寄与します。

また、PMO支援の対象はシステム開発以外のプロジェクトを含む業務部門にも広がりを見せ、PMOを「参謀役」として位置づける対象は今後増加する一方、システム開発だけではない知識や経験の習得も今後は必要になると考えます。当社は、本調査を基にプロジェクトの成功に寄与するためのPMOの在り方について知見の発信と継続調査を進めます。


【調査概要】
調査期間 2025年10月28日~2025年10月31日
調査方法 非公開型インターネットアンケート(NTTコム リサーチ クローズド調査)
調査対象 企業・団体等においてシステム開発に携わったことがある方
調査機関/実施者 ●株式会社NTTデータ経営研究所
 マネージングイノベーションユニット(和泉、白橋、上南、藤本、植木、酒井)
●NTTドコモビジネスX株式会社
有効回答者数 1,053人 ※PMOに関する有効な回答を得るために以下の割付を実施
所属部門 割付割合 実数
経営層 10% 128人
情報システム部門 60% 603人
その他部門 30% 322人
調査詳細レポート https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/260331/


【関連リンク】
■本件に関する過年度調査(2023年度):https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/240326/


【NTTデータ経営研究所について】
NTTデータ経営研究所は、1991年の設立以来、サステナビリティやヘルスケア、地方創生といった様々な領域の社会課題の解決や、企業変革の支援に向けたコンサルティングを行っています。政策や戦略の立案からプロジェクトの実行支援、新規事業の開発から実証までを一気通貫でお客様に伴走し、持続可能な成長と変革を支援します。NTTデータグループの戦略コンサルティングファームとして、多岐にわたる専門性により業界・組織を超えた連携を作り出し、未来への道筋を照らすことでお客様とともに新たな価値の創造に取り組んでいます。Webサイト:https://www.nttdata-strategy.com/
本件に関するお問合わせ先
株式会社NTTデータ経営研究所
コンサルティングサポート部 ブランド推進担当(三輪、宇城)
Tel:03-5213-4016  E-mail:webmaster@nttdata-strategy.com

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この企業の情報

組織名
株式会社NTTデータ経営研究所
ホームページ
https://www.nttdata-strategy.com/
代表者
山口 重樹
資本金
45,000 万円
上場
非上場
所在地
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-9JA 共済ビル9階・10階
連絡先
03-3221-7011

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