学習院大学(東京都豊島区)は7月1日(土)に講演会「カントにおける<最高善>と<根本悪>」を開催する。これは、同大哲学会の平成29年度総会と同時開催するもの。今回は、講師に哲学者の中島義道氏を招請する。なお、講演会は誰でも参加できるが、哲学会総会は関係者のみとなる。
学習院大学哲学会は、文学部哲学科ならびに大学院哲学専攻・美術史学専攻を母体とし、大学院生を中心に運営されている学内学会。会員(学部生や大学院生、卒業生)による研究発表会や『哲学会誌』の発行などを行っている。
また、学外の著名な研究者あるいは哲学科の新任教員による講演会も開催しており、今回は哲学者で哲学塾カントを主宰する中島義道氏を招請し、「カントにおける<最高善>と<根本悪>」と題した講演を行う。概要は以下の通り。
◆平成29年度 哲学会総会及び講演会
【日 程】 7月1日(土)
●総 会 13:30~ ※関係者のみ参加可
●講演会 14:00~16:45 ※講演会はどなたでもご参加いただけます
講演: 14:00~15:30
休憩: 15:30~15:45
質疑応答: 15:45~16:45
【場 所】学習院大学 西2号館302教室
【講演題目】カントにおける〈最高善〉と〈根本悪〉
【講 師】 中島義道氏(哲学塾カント主宰)
【講演要旨】
カントは『実践理性批判』(1788年)において、道徳的善の完成という「最上善」と並んで、道徳的善と幸福の一致という「最高善」を論じている。人間という(低劣な)「感性的理性的存在者」は、前者に関して「魂の不死」を、後者に関して「神の現存在」を「要請する」のである。興味深いことに、われわれ人間は道徳的善を求めることにおいてではなく、それと幸福との一致を求めることにおいてはじめて、神の現存在を要請するのだ。
そして以上のことは、『実践理性批判』のしばらく後に刊行された『単なる理性の限界内における宗教』(1793年)において、カントが「人間は道徳的善と幸福との一致を原理的に達成できない」という「根本悪」の思想を展開したことに、深いところで通底しているように思われる。
こうした観点から、カントが提唱する「超越論的神学」また「道徳神学」とは何か、さらには「神」とは何かを、おそるおそる(?)探っていきたい。
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