アストラゼネカ、2型糖尿病患者さんを対象とした リアルワールドエビデンス試験「CVD-REAL」で SGLT2阻害剤の心血管ベネフィットを示す新規データを発表

40万人超の2型糖尿病患者さん(うち74%が心血管疾患の既往歴なし)を対象にした
リアルワールドエビデンス試験結果により
フォシーガ服用による心血管ベネフィットが示される

最新解析は、日本を含むアジア太平洋、
中東および北米の6カ国を対象に
心筋梗塞と脳卒中を評価項目に追加し、より長い観察期間で実施

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2018年3月11日、フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン、米国での製品名:Farxiga) を含むSGLT2阻害剤 (SGLT-2i) による治療を受けている2型糖尿病患者さんの全死亡、心不全による入院、心筋梗塞および脳卒中のリスクを、他の血糖降下薬治療との比較で評価する、最初の大規模リアルワールドエビデンス試験である「CVD-REAL」の、新たな解析を発表しました。この解析結果はフロリダ州オーランドで開催された第67回米国心臓病学会年次学術集会 のlate breakerにおいて発表され、同時にthe Journal of the American College of Cardiologyにも掲載されました1


今回の新しい分析結果「CVD-REAL 2」は、世界6カ国 (オーストラリア、カナダ、イスラエル、日本、シンガポール、韓国)の40万例超の2型糖尿病患者さんを対象とし、うち74%の患者さんには心血管疾患の既往歴がありませんでした。この広範囲にわたる2型糖尿病患者集団全体において、SGLT2阻害剤であるフォシーガ(ダパグリフロジン)、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、カナグリフロジン、トホグリフロジンおよびルセオグリフロジンによる治療は、他の2型糖尿病治療薬による治療と比較して、全死亡率を49%、心不全による入院率を36%、心筋梗塞の発症率を19%、脳卒中の発症率を32%(全てp≤0.001)減少させたことを示しました。また、心不全による入院あるいは全死亡の複合評価項目の減少率は40%(p<0.001)でした1

現在、世界では約4億2,500万人の成人が糖尿病に罹患し、患者数は2045年までに6億2,900万人(成人10人中1人)に増加し、その大多数がアジア太平洋、中東および北米に居住していると推定されています2。2型糖尿病患者さんは、心筋梗塞あるいは脳梗塞の高いリスクに晒されていると同時に、2倍から5倍の心不全のリスクを有しています3。さらに、2型糖尿病患者さんが心不全を発症すると、心血管死および全死亡のリスクは60~80%上昇します4,5

アストラゼネカのバイスプレジデント兼グローバル医薬品開発部門循環器・代謝疾患 (CVMD)領域の責任者であるElisabeth Björkは、「現在進行中のCVD-REAL試験において、統計学的に有意でかつ一貫性ある結果が得られたことは臨床現場にとって朗報です。 今回の解析において患者さんの大多数がフォシーガを服用していたことから、多様な人種・民族の患者さんにわたる、フォシーガ服用と心血管ベネフィットの強い関連性を示唆しています」と述べました。

2018年下半期に最初の結果の公開が予定されているDECLARE試験によって、フォシーガの心血管系に対する有効性と安全性に関する重要な質問に対する解答が得られることでしょう。DECLARE試験は、SGLT2阻害剤クラスにおいての最も広範かつ最も代表的な患者さんを対象とした心血管アウトカム試験で、臨床的に意味のある、心不全による入院および心血管死の複合エンドポイントを共主要評価項目とする唯一の試験です6,7,8

なお、日本におけるフォシーガの効果効能は2型糖尿病であり、全死亡や心不全による入院、心筋梗塞、脳卒中のリスクの減少としての効能は取得していません。
以上

*****

フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン、米国での製品名:Farxiga)について
フォシーガは、成人2型糖尿病患者さんの血糖コントロールの改善を適応として単剤療法および併用療法の一環として使われる、ナトリウム・グルコース共輸送体2に作用するファーストインクラスの選択的阻害剤(SGLT2阻害剤)です。米国においてダパグリフロジンは、食事・運動療法で改善しない成人2型糖尿病患者さんの血糖値コントロールの改善としての効能が承認されていますが、心血管イベントや死亡リスクあるいは心不全による入院のリスクの減少を効能とした承認は受けていません。

CVD-REAL試験について
本CVD-REAL 2試験結果は、昨年発表したCVD-REAL試験の主要結果と一貫していました1,9。本解析の対象患者さんの使用薬剤の割合は、フォシーガ使用が75%、エンパグリフロジンが9%、イプラグリフロジンが8%(韓国および日本のみでの処方)、カナグリフロジンが4%、トホグリフロジンが3%、ルセオグリフロジンが1%(両剤ともに日本のみでの処方)でした。CVD-REAL試験は進行中で今後も解析が継続されます。本試験のデータは、診療記録、レセプトデータベースおよび国家レジストリなど、匿名化されたリアルワールド情報源から入手され、それら情報源の書面の個別判定あるいは検証はされていません。メタ解析はSt. Luke’s Mid America Heart Institute(米国・カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証されました。CVD-REAL試験は、頑健性の高い傾向スコアマッチング手法を用いた大規模試験ですが、観察的な試験であるため、測定不能な交絡因子が残されている可能性を完全に除外することはできません1

アストラゼネカの循環器、腎および代謝疾患 (CVMD) 領域について
アストラゼネカは、循環器・腎・代謝疾患領域を将来の成長基盤のとなる主要な治療領域としています。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追及し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、世界中の何百万人もの循環器・代謝疾患患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器及びその機能の再生の実現を目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。


参考文献
  1. Kosiborod, M. Lower Risk of Cardiovascular Events and Death Associated with Initiation of SGLT-2 Inhibitors versus Other Glucose Lowering Drugs - Real World Data Across Three Major World Regions with More Than 400,000 Patients: The CVD-REAL 2 Study. Presented at the American College of Cardiology 67th Annual Scientific Session, 2018.
  2. International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 8th ed. Brussels, Belgium: International Diabetes Federation; 2017. Available at http://www.diabetesatlas.org/resources/2017-atlas.html. Accessed 21 February 2018.
  3. Kannel WB, et al. Role of Diabetes in Congestive Heart Failure: The Framingham Study. American Journal of Cardiology. 1974;34:29.
  4. MacDonald MR, et al. Diabetes, left ventricular systolic dysfunction, and chronic heart failure. European Heart Journal. 2008; 29:1224-1240.
  5. Cubbon RM, et al. Diabetes mellitus is associated with adverse prognosis in chronic heart failure of ischaemic and non-ischaemic aetiology. Diabetes and Vascular Disease Research. 2013;10(4)330-6.
  6. Multicenter Trial to Evaluate the Effect of Dapagliflozin on the Incidence of Cardiovascular Events (DECLARE-TIMI58). ClinicalTrials.gov. Available at https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01730534. Accessed 10 March 2018.
  7. Zinman B. et al. Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes. New England Journal of Medicine. 2015;373:2117-28. DOI: 10.1056/NEJMoa1504720.
  8. Neal B. et al. Canagliflozin and Cardiovascular and Renal Events in Type 2 Diabetes. New England Journal of Medicine. 2017. DOI: 10.1056/NEJMoa1611925.
  9. Kosiborod M, et al. Lower risk of heart failure and death in patients initiated on SGLT-2 inhibitors versus other glucose-lowering drugs: The CVD-REAL Study. Circulation. 2017. doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.117.029190.
本件に関するお問合わせ先
アストラゼネカ株式会社
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
コーポレートアフェアーズ統括部 池井、杉本
JPN.Ex.Comm@astrazeneca.com
Tel: 03-6268-2800 / 070-1369-2228

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組織名
アストラゼネカ株式会社
ホームページ
https://www.astrazeneca.co.jp/
代表者
ステファン・ ヴォックスストラム
上場
海外市場
所在地
〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪タワーB

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