関西大学社会安全学部の災害心理学研究室(元吉忠寛教授)は、2018年6月18日の大阪府北部地震が発生したときに通勤途中で鉄道を利用していた方500人を対象として、当日の行動や意識をたずねるインターネット調査を行いました。その結果、対象者のうち61%が勤務先に向かうなど、当日の人々の通勤中の行動実態が明らかになりました。
【本件のポイント】
・地震発生後、勤務先に行った人は61%、自宅に戻った人は39%
・情報を得るのに役立ったものは、インターネットニュースやLINEなどスマホを利用するもの
・不安やイライラを感じていた人は10%未満と少なく、時間がかかっても比較的冷静に行動
本調査は、インターネット調査会社に登録しているモニターのうち、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県に在住で働いている方で、地震発生時に通勤中に鉄道を利用していた500人(男性394人、女性106人)を対象として実施しました。
まず、6,504人を対象に当日の状況をたずねたところ、自宅にいた人は39.6%(2,574人)、通勤中だった人は29.8%(1,939人)、勤務先にいた人は25.6%(1,663人)でした。通勤中だった人のうち、電車の中にいた人が最も多く36.7%(712人)、自家用車の中にいた人は18.7%(362人)でした。つまり、調査対象者のうち約1割の人たちが鉄道利用中に地震に遭遇したということです。
そこから地震発生時に鉄道を利用していた500人に対象をしぼって、当日の行動を調査した結果、地震発生時に利用していた鉄道は、JR西日本が最も多く37.6%(188人)、大阪メトロが18.0%(90人)、阪急電鉄が13.2%(66人)、近畿日本鉄道が10.0%(50人)などとなっていました。また地震の後、勤務先に行った人は60.8%(304人)、自宅に戻った人が39.2%(196人)でした。自宅よりも勤務先に近い場所にいた人(233人)のうち、勤務先に向かった人84.5%(197人)が多いのは当然ですが、勤務先よりも自宅の方が近い場所にいた人(173人)のうち勤務先に行った人も35.8%(62人)いました。「災害時に無理をしてでも勤務先に向かおうとする人々の行動は、社会的な混乱を大きくする可能性がある」と元吉教授は指摘しています。
また、当日、情報を得るのに役立ったものとしては、「インターネットニュース」が51.6%と最も多く、そのほか「鉄道や駅係員からの案内情報」が42.2%、「LINE」が31.6%、「Twitter」が11.0%となっていました。ここから、今回の地震ではスマートフォンを使って情報収集を行った人が多くいることがわかります。さらに、当日困ったこととして、「電車の復旧状況がわからなかった」が51.4%、「長い時間、電車内や駅で 待たされた」が47.6%と多かった一方、「この先どうなるかわからず不安だった」は9.4%、「先の見通しが立たずイライラした」は8.8%と少なく、長い時間がかかっても、比較的冷静に行動していたことが推察されます。
鉄道会社や駅員の対応については、復旧の遅くなったJR西日本に対する評価が非常に低く、阪神、京阪、南海、大阪メトロ、阪急、近鉄に対しては、「やや信頼できる」と「非常に信頼できる」をあわせると50%以上の評価でしたが、JR西日本だけは26.4%にとどまりました。
▼本件の詳細▼
関西大学プレスリリース
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2018/No27.pdf
<本件に関するお問い合わせ先>
関西大学社会安全学部 教授 元吉 忠寛(もとよし ただひろ)
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E-mail:motoyosi(at)kansai-u.ac.jp ※(at)は@に置き換えてください。
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