昭和女子大学(理事長・総長 坂東眞理子、東京都世田谷区)は、「第12回昭和女子大学女性文化研究賞」 を、弁護士・早稲田大学比較法研究所招聘研究員の黒岩容子氏による『EU性差別禁止法理の展開:形式的平等から実質的平等へ、さらに次のステージへ』(日本評論社)へ贈呈することを決定し、表彰式・記念講演 を行いました。
昭和女子大学女性文化研究賞は、昭和女子大学女性文化研究所が主宰し、男女共同参画社会の推進と女性文化の振興に資する本を顕彰しています。坂東眞理子理事長・総長の「労多く、報われることが少ないが、世の中を変える力のある本を書くという作業を応援したい」という思いから、著書の印税などを寄付して設立された坂東眞理子基金により運営されています。対象は、前年に刊行した単行本で、今回は35件の応募がありました。併せて、昭和女子大学関係者を対象に優れた著書や論文に「女性文化研究奨励賞」を贈っています。
★女性文化研究賞(坂東眞理子基金)
『EU性差別禁止法理の展開:形式的平等から実質的平等へ、さらに次のステージへ』(日本評論社)
黒岩 容子 氏 (弁護士・早稲田大学比較法研究所招聘研究員)
本書は、EU法の性差別禁止法理において、形式的平等を越えた実質的平等とは何か、その先の包括的差別 禁止・社会構造的差別排除には何があるのかという問題意識をもって、その展開について分析・再考しています。「実質的平等アプローチ(法理)」をキーワードに、性差別禁止法理の規範内容と規範理論の進展について法令・判例・学説を丹念に分析し、EU司法裁判所の「先決裁定」を解読して体系的に理論化を試みています。EUの事例をふまえて日本国憲法14条の解釈を再検討し、日本における性差別禁止法の方向性も示しています。男女共同参画に資する、現代的に意義ある労作と評価されました。
<坂東眞理子女性文化研究賞選考委員長のコメント>
「本書がこれからの日本における性差別禁止の議論における重要なレファレンス先になるだろう。ジェンダー平等を推進するための情熱を感じた」
★女性文化研究奨励賞(坂東眞理子基金)
『女子のたしなみと日本近代:音楽文化にみる「趣味」の受容』(勁草書房)
歌川 光一 氏(聖路加国際大学大学院看護学研究科准教授・昭和女子大学初等教育学科非常勤講師)
芸能史の死角となってきた女子の「たしなみ」に着目し、音楽の「趣味」を受 容していった明治後期から大正期を中心に、近代化のプロセス、ジェンダー規範の違いによるたしなみへの影響等を明らかにしています。当時女子に期待されていた役割から、本来生業となりうる音楽を"たしなむ" 程度にしか習得してはいけなかったことを「女子職業論」の観点から丹念に導いた点が評価されました。これらは、ジェンダー平等と男女共同参画社会形成に資する研究内容としての現代的意義があるとし、今回の受賞に至りました。
両氏による記念講演はオンラインで配信しています。昭和女子大学女性文化研究所のウェブサイトからどなたでもご覧いただけます。
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