酪農学園大学(北海道江別市)黒澤記念講堂のエントランスに現在、学生が制作したフィンランドの伝統装飾品「ヒンメリ」が展示されている。これは2017年に開始したヒンメリプロジェクトの一環として、毎年、制作・展示しているもの。今年は「星に願いを」をテーマに、同大で栽培されたライ麦の麦わらと羊毛を使用して制作した。
「ヒンメリ(himmeli、語源は独語のヒンメル「天」の意味)」とは、ライ麦の麦わらを使って作るフィンランドの伝統的なモビール(室内装飾)のこと。フィンランドでは収穫が終わったシーズンにヒンメリを飾り、一年の感謝の祈りを捧げる。
酪農学園大学ヒンメリプロジェクトは2017年にスタート。ヒンメリアーティストの山本睦子氏の指導の下、農産物利用学実習(担当:宮崎早花講師 農食環境学群選択授業)の一環として毎年制作しており、材料は同大作物学研究室(義平大樹教授)が栽培したライ麦の麦わらと、同大で飼育されている羊(テクセル)の羊毛を使用。羊毛の毛刈りや洗浄などには家畜栄養学研究室(中辻浩喜教授)が協力し、全て手作業で行われている。
昨年度までは農産物利用学実習を履修する学生がヒンメリを作っていたが、今年度は新型コロナウイルスの影響により遠隔で授業が行われた。そのため、食物利用学研究室の学生がゼミ活動として、麦わらの選別・洗浄などの下処理からヒンメリの作製・展示までを行った。
2020年度のデザインコンセプトは、山本氏の提案による「星に願いを」。今年はコロナ禍にあり、できることは限られていたが、「これまでのヒンメリプロジェクトで大切に育ててきた想いを途切れさせないように、そして2021年度へのメッセージとして、新しい年が輝きのあるものであるように『21個の星』に願いを込める」として、中央集合体のスケールの大きな作品に仕上げた。
また、エントランスの窓側には、キリストの誕生を知らせたとされるベツレヘムの星をイメージし、フェルトボールとヒンメリを組み合わせて八芒星を表現した作品を展示。「星に導かれるように、優しい光が満ちる黒澤記念講堂の展示へ多くの人々が足を運んでくださるように...」という想いが込められている。
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