日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)が開発した環境負荷低減型超ハイテン橋梁ケーブル用線材の製造技術が、科学技術に関する開発、理解増進等において顕著な成果を収めたものの功績を讃える賞である「令和3年度文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)」を受賞しました。
1.受賞内容
(1)受賞名 : 令和3年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)
(2)受賞件名 : 環境負荷低減型超ハイテン橋梁ケーブル用線材の開発
2.開発の特徴と成果
従来、吊り橋等のメインケーブルに用いられる橋梁ワイヤは、鉄鋼メーカーから供給された高炭素鋼線材を、ワイヤメーカーにて加熱後、溶融鉛浴に浸漬して金属組織と引張強さを整える熱処理(以下LP処理)を施し、引抜き加工(伸線)及び亜鉛めっきを施して製造されていました。しかしながら、LP処理は生産能力が低いこと、国によっては鉛が環境規制の対象となることから、LP処理を施さずに伸線が可能な線材の製造が強く望まれていました。
本開発では、ワイヤの延性を低下させる金属組織の生成を回避するため、橋梁ワイヤ用線材では使用例のない硼素とチタンを有効に添加し、線材圧延ライン中で、圧延直後に溶融塩浴に浸漬して金属組織と引張強さを整えるDLP(Direct In-Line Patenting)処理を施すことで、LP処理を省略して伸線が可能な橋梁ワイヤ用線材を、世界で初めて開発しました。
本開発により、ワイヤ製造工程のLP処理省略と、これに伴うCO2排出量削減を可能とし、環境負荷低減を実現しました。更に、DLP処理の高い生産能力により30倍の生産性向上を実現しました。
本成果は、中央支間長世界TOP10の長大橋の超ハイテンケーブルに複数採用されており、社会インフラの整備における我が国の国際競争力強化に寄与しています。
図:線材・ワイヤの製造工程
日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した優れた製品・サービスの提供を通じて社会の発展に貢献して参ります。
以 上
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