米国 Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州/代表取締役社長 兼 CEO:アンドリュー・アナグノスト、以下、Autodesk)は、建設分野においてサステナビリティとレジリエンスを推進するクラウドツールの提供を Autodesk University 2021 にて発表しました。
近年、建設・エンジニアリング・建築分野においても、気候変動や新型コロナウイルス感染症などグローバルな課題に直面するなか、持続可能で回復力のある豊かな未来を創造するために、これまでの働き方を協力して変えていく必要があります。
下水道をクラウドベースで管理する「Info360 Asset」
Autodesk の子会社である Innovyze 社は、下水道管理のデジタル化においてクラウドベースの「Info360 Asset <
https://www.innovyze.com/en-us/products/info360-asset>」の一般提供を開始しました。(※日本でのリリースは未定です)
地域住民の健康や健全性に不可欠な下水道設備が老朽化するなかで、下水道点検の膨大な情報はこれまで紙やハードドライブなど、別々に管理されデータが分散していました。Info360 Asset の導入により、下水道網に関する正確なデータを 1 カ所にまとめ、管理担当者は点検作業を効率的に確認できます。設備状態の評価も簡便になり、問題発生リスクの正確なモデル化までの全ての作業を同一の環境で行えるようになりました。リスクの所在やレベルを正確に特定し、データに基づく意思決定で下水道システムを機能させ続けることができます。
BIM と GIS(地理情報システム)のクラウド連携
地理情報システム(GIS)のリーディング企業である Esri 社と 2017 年に提携を発表して以来、Autodesk と Esri のチームは CAD、BIM、GIS をクラウドで連携するワークフローの開発に取り組んできました。現在、ArcGIS Online <
https://www.esrij.com/products/arcgis/>と Autodesk Construction Cloud <
https://construction.autodesk.co.jp/>の 2つのクラウドプラットフォームを連携させた新たなソリューションにより、BIM と GIS の情報は一体となっています。
BIM と GIS のクラウド連携によって、プロジェクトチームは地理情報に基づき複数のシステムのデータを BIM プロジェクトに連動させ、使いやすいウェブベースの環境を活用できます。シームレスなワークフローが可能になり、GIS 環境と BIM 環境の間でデータを頻繁に移行させる必要はありません。一か所の安全な場所からアクセスすれば、プロジェクトの実際の状況が加味されたインサイトを得ることができ、企画から建設、運用に至るまで、全ての期間にわたり、設備資産の所在地、コスト、問題点、リスク、タイムラインを総合的に捉えることが可能になります。
Autodesk BIM Collaborate Pro <
https://www.autodesk.co.jp/campaigns/aec-collaboration>と Esri ArcGIS GeoBIM <
https://www.esri.com/ja-jp/arcgis/products/arcgis-geobim/overview>を搭載した Autodesk と Esri の新たな共同ソリューションによって、クラウド上の相互連携の利点を活かしたウェブベースのリアルタイムアプリケーションのソリューションを得ることが可能になりました。この新しいソリューションによって、実際の環境を考慮に入れた上で設計、建設および運用が行えるようになり、最終的に持続可能性、回復可能性の高いインフラストラクチャを実現できます。
都市のヒートアイランド現象を計測する微気候解析ツール
2020 年に Autodesk 傘下となった Spacemaker <
https://www.spacemakerai.com/>社は、不動産開発や都市計画、建築設計者に、屋外空間における快適性評価を素早く計測できる微気候解析ツールの提供を開始しました。都市のヒートアイランド現象の計測手法は既に存在しているものの、大抵の場合は専門家にしか利用できず、実行に時間を要し、データが視覚化できないものがほとんどです。Spacemaker が新たに提供する微気候解析は、簡単で直感的に使用でき、視覚化機能に優れています。ヒートアイランド現象について、設計段階で快適性評価への影響を試算し、あらゆる問題を事前に効率的かつ効果的に解消できることを確認しています。わずか数秒のうちに表示されるヒートマップには、屋外スペースにおける快・不快の持続時間と時間帯が表示されます。投下コストが小さい計画初期に微気候解析を活用すれば、将来大量の廃棄物を伴う大規模、高コストの改修や改善を行うリスクを低減することができます。
全世界の温室効果ガス排出量の 40% が建物から発生しているなか、パリ協定で設定された排出削減目標の実現に向け、Autodesk は「Total Carbon」のベータ版を発表しました。Autodesk Revit <
https://www.autodesk.co.jp/products/revit/overview>のデータとオープンソースのエネルギー分析や資材の炭素化合物データを組み合わせ、リアルタイムで正確かつ信頼性の高いトータルの炭素分析をクラウドで提供します。持続可能性の高い設計に有用なインサイトを顧客に提供することで、より簡単に計画の初期段階から環境に配慮された設計を行えるようにします。設計から建設、運用に至るまで、内包される二酸化炭素排出量を概算することができるため、Autodesk はこの製品を「Total Carbon」と名付けました。例えば、建築家がコンクリートかレンガ、あるいは木材を使用することで、建物やインフラに内包される二酸化炭素量はどのように変わってくるか、設計の初期段階でこうした情報を考慮することで、環境に与える影響を大幅に変えることができます。
Autodesk が提供するこれらの新しいソリューションは、お客様がより持続可能性の高い建築物を設計し、より回復可能性の強い都市を建設し、すべての人にとってより良い未来の創造に役立つインサイトやイノベーションを得るために活用いただけます。
【Autodesk, Inc. 概要】
代表者: Andrew Anagnost (アンドリュー・アナグノスト) 社長兼 CEO
設立: 1982 年
売上高: 37 億 9040 万ドル (2021 年 1 月期)
社員数: 約11,500 名 (2021 年 1 月時点)
事業内容: 製造、建築、土木インフラ、CG / 映像業界向け設計・デザインソフトウェアの販売、サポート、デベロッパー向け技術支援など