欧州で自動運転分野をリードするスタートアップ企業がボッシュ・グループの傘下に
- ロバート・ボッシュGmbH取締役メンバー マルクス・ハイン:「Fiveは安全な自動運転向けソフトウェア開発における当社の取り組みを、強力に推進してくれると期待しています」
- Fiveはイギリスに6拠点を構え140人の従業員が開発に従事
- ボッシュのソフトウェア領域における知見とFiveのツールチェーン開発環境が相互補完
シュトゥットガルト(ドイツ)– 自動運転車両の開発は、自動車メーカーにとって究極の分野と見なされています。世界最大のモビリティプロバイダーのひとつであるボッシュは、この分野を推進しています。このたび、ボッシュは欧州で自動運転分野をリードするスタートアップ企業であるFiveを買収し、その地位をさらに強固なものとします。Fiveはイギリスに6拠点を構え、約140人の従業員が安全な自動運転車両の開発に取り組んでいます。Fiveは株式公開買付けの交渉者としてボッシュを優先しました。両社は自動運転と安全な自動運転システムという同じビジョンを共有しています。Fiveとの合意は、4月の初めに署名をもって完了しました。両社は、財務的な詳細は非公表とすることで合意しています。なお、株式取得は独占禁止当局による承認を経て成立します。
ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバー兼モビリティ ソリューションズ事業セクター統括部門長であるマルクス・ハインは、「自動運転は道路交通をより安全なものとします。私たちがFiveに期待するのは、安全な自動運転向けソフトウェア開発の更なる推進と、お客様への欧州製の技術の提供です」と、述べています。イギリスのケンブリッジに本社を置くFiveは、ボッシュのクロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部傘下となります。FiveのCEOであるStan Boland氏は、「自動運転技術の構築には、規模が重要です。ボッシュは運転支援技術における世界的リーダーであり、安全な自動運転システムを市場に投入するのに不可欠なコア技術と膨大なデータレイクを保有しています。Fiveが欧州で最強のSAEレベル4プレイヤーの一員となり、ボッシュの未来の成功の一翼を担うことを大変嬉しく思います」と、述べています。
シミュレーション環境によりソフトウェアのテストと検証を実現
2016年の設立以来、Fiveはクラウドソフトウェア、安全保証、ロボット工学、機械学習のエキスパートチームを立ち上げ、SAEレベル4の自動運転向けの最先端のソフトウェアとAIベースのソリューションの開発をリードしています。Fiveは現在、主に自動運転車両に使用されるソフトウェアのクラウドベースの開発とテストプラットフォームに注力しています。このプラットフォームでは、エンジニアが自動運転向けソフトウェアを一定のペースで作成するために必要なプログラムを提供し、テスト車両への配備前や配備中にもソフトウェアのテストが行えるようにします。このプラットフォームはテスト車両群からの実データの分析、高度なテストシナリオの作成、さらにシステム動作をハイパースケールで評価・検証することが可能なシミュレーション環境の構築を可能とします。
ボッシュとFiveチームのアジャイルコラボレーション
Fiveは自動運転車両の開発のため、ボッシュでアジャイルなプロジェクト体制を強化します。両チームのソフトウェアエンジニアリング環境を互いに補完させ、今後、単一ソリューションとして統合させる予定です。「Fiveは、特に協調の理念や機動力のあるアプローチという点で、当社のエンジニアリング活動に最適な企業です。これにより、安全な自動運転を道路に導入するという私たちの目標に向かい前進することができます」と、ボッシュのクロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部長であるマティアス・ピリンは述べています。またボッシュにとって、この企業買収はソフトウェアと自動運転における市場ポジションの確立に向けた、さらなるステップでもあります。つい最近、ボッシュは高解像度デジタルマップ分野のスペシャリストであるAtlatecを買収し、ポートフォリオを拡充しました。これによりボッシュは、アクチュエーター、センサー、マップからソフトウェア、エンジニアリング環境に至るまで、自動運転に必要なすべての構成要素をワンストップでお客様に提供できる唯一の企業となります。
あらゆるレベルの自動運転に取り組むボッシュ
ボッシュにとって、自動運転は戦略的事業領域のひとつです。ボッシュは、この分野におけるイノベーションリーダーであり、運転支援システムと必要なセンサー技術によって、早い段階からあらゆる自動化レベルの基礎を築いてきました。ボッシュは、二方面からアプローチをとっています。一方では、安全でよりリラックスした運転の実現を目指し、運転支援システムと部分的および条件付き自動運転機能システム(SAEレベル1から3まで)に焦点を当てた自家用車向けのソリューションを開発しています。他方では、フリート車両と新たな運用モデルに焦点を当てたより高いレベルの自動化ソリューションにも取り組んでいます。特にロジスティクス分野において、SAEレベル4の自動運転システムに魅力的なアプリケーションと、ビジネスの可能性を見出しています。さらにボッシュは、ドライバーの介入を全く必要としない世界初の自動運転機能である自動バレーパーキングをすでに開発し、量産準備を整えています。