日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)が運営するNTT技術史料館所蔵のアナログ電話機の3機種(「4号自動式卓上電話機」、「600形自動式卓上電話機」、「601形自動式卓上電話機」)が、9月13日に国立科学博物館の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)*1」に登録されます。
これらアナログ電話機は、NTTの前身である電気通信省や電電公社時代に日本独自の技術開発を進めて実用化した世界屈指の高性能な電話機(当時)でした。NTT技術史料館にて実機を一般公開しております。
1.4号自動式卓上電話機
戦後復興期の社会活動を支えた電話機で、日本独自の技術開発により1950年に誕生しました。これまで粗悪であった音響部分を徹底的に研究して、抜本的に改良することで、当時の最先端と言える優秀な通話品質を実現しました。流線形のデザインも特徴の一つで、高い通話品質に加えデザインも改良されました。
2.600形自動式卓上電話機
高い通話性能だけでなくさまざまな改良を加え高度成長期の大量需要にこたえた電話機です。初めて電気回路にプリント配線板を導入するなど電話機回路の見直しや送受話器はもちろんダイヤルや筐体に至るまでさまざまな研究を重ねて信頼性や量産性を高めました。
基礎研究から導き出した電話機の目標とすべき音響特性を参照して電話機設計を行うなど性能を向上させ、製造の自動化も視野に入れて部品配置や組み立て方法に配慮した設計も行われ、高性能化と大量需要に対応した電話機でした。
3.601形自動式卓上電話機
大幅なコストダウンや高いメンテナンス性を実現した高度成長後のオイルショック時代に対応した電話機です。省資源化や将来の需要減を勘案しての手作業による組み立てを前提とした実装構造を採用したほか、音声明瞭度や通信音量に関わる国際規格を満たすなど、世界市場も視野に入れた電話機でした。
4号自動式卓上電話機 600形自動式卓上電話機 601形自動式卓上電話機
参考:NTT技術史料館とは
NTT技術史料館は、日本の通信事業のルーツから日本電信電話公社発足以降の半世紀を中心に、NTTグループの電気通信に関する研究・技術開発の歴史的資産を集大成した施設です。1,500点以上の技術史料を「歴史をたどる」と「技術をさぐる」の2部構成で紹介しており、これまでに以下の技術史料が「未来技術遺産」に登録されています。
NTT技術史料館では、自由にご来館いただける一般公開を行っております。詳細はNTT技術史料館ホームページ(
https://hct.lab.gvm-jp.groupis-ex.ntt/)をご確認ください。
・ 2010年度登録(第00060号) (1) 内航船舶無線電話装置 NS-1号 JAA-333
(2) ワイヤレステレホン(大阪万博の携帯電話)
(3) 自動車電話 TZ803A
・ 2011年度登録(第00084号) (1) マイクロ波4GHz帯用進行波管 4W75A
・ 2011年度登録(第00087号) (1) ポケットベル B型 RC11 2点
・ 2012年度登録(第00105号) (1) D10形自動交換機
・ 2014年度登録(第00142号) (1) ポケットベル送信装置(TC-11形送信装置、TC-15形送信装置、CE-15形A符号化装置)
・ 2016年度登録(第00224号) (1) D60形ディジタル交換機
・ 2017年度登録(第00232号) (1) C400形クロスバ交換機
・ 2018年度登録(第00250号) (1) 磁石式手動交換機
・ 2019年度登録(第00274号) (1) VAD法光ファイバ母材製造装置
・ 2019年度登録(第00275号) (1) F-32M-1形端局中継装置
・ 2021年度登録(第00309号) (1) 100km長VAD単一モード光ファイバ
用語解説・補足
*1重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産):
平成20年より、独立行政法人国立科学博物館が、科学技術史資料のうち、「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」に該当する資料を選定し、『重要科学技術史資料登録台帳』に登録した重要な史資料