ホテルが実現する芸術・文化活動として1996年より実施
The Okura Tokyoを運営する株式会社ホテルオークラ東京(所在地:東京都港区、代表取締役社長:梅原真次)では、第24回ホテルオークラ音楽賞の受賞者を辻 彩奈氏(ヴァイオリン)、上野 通明氏(チェロ)の両氏に決定しました(以下敬称略)。同賞は1996年の創業35周年を機に、その年にめざましい活躍を遂げ、さらに将来が嘱望される若手の音楽家支援・育成のための奨励制度として創設されました。当社の社会貢献・芸術文化事業の一環として、2000年以降は毎年受賞式と併せ、受賞記念演奏会を実施しています。
第24回(2022年度)ホテルオークラ音楽賞
【受賞者】
辻 彩奈(ヴァイオリン) / 上野 通明(チェロ)
© Makoto Kamiya
辻 彩奈(ヴァイオリン)
上野 通明(チェロ)
【選考委員】
選考委員長 : 成瀬 正治(株式会社ホテルオークラ東京 代表取締役会長)
選考委員 :
堤 剛(チェリスト、桐朋学園大学 特命教授、公益財団法人サントリー芸術財団代表理事、サントリーホール館長、日本藝術院会員)
大友 直人(指揮者、東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督、高崎芸術劇場芸術監督)
寺西 基之(音楽評論家、公益財団法人東京交響楽団 監事、公益財団法人東京二期会 評議員、公益財団法人アフィニス文化財団 理事、公益財団法人日本ピアノ教育連盟 評議員、公益財団法人日本交響楽振興財団 評議員)
【奨励金】各100万円
【副賞】The Okura Tokyo ペア宿泊券、記念トロフィー
【特別協賛】大成建設株式会社
<第24回受賞者紹介>
辻 彩奈(ヴァイオリン)
【経歴】1997年岐阜県生まれ。2016年モントリオール国際音楽コンクール第1位。モントリオール交響楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、NHK交響楽団など多くの国内外のオーケストラと共演している。第28回出光音楽賞受賞。小林健次、矢口十詩子、中澤きみ子、小栗まち絵、原田幸一郎、レジス・パスキエの各氏に師事。東京音楽大学卒業後、同大学アーティストディプロマに特別特待奨学生として在籍中。使用楽器は、NPO法人イエローエンジェルより貸与のJoannes Baptista Guadagnini 1748である。
選評:寺西 基之(音楽評論家)
『辻彩奈さんは2016年のモントリオール国際音楽コンクールで優勝して一躍注目されるようになった。彼女を初めて聴いたのはその翌年のことで、堤剛さんと須関裕子さんとのトリオによるコンサートだったが、堤さんという大家を相手に少しも臆することなく、自身の個性を出しながらしっかりアンサンブルを作っていくその演奏に大きな将来性を感じたものだ。果たしてその後の彼女の進化ぶりは実にめざましい。特にこのコロナ禍において、当初から予定されていた自身の演奏スケジュールに加え、来日が不可能になった外国の名手たちの代役を次々務めて多忙を極めた彼女だが、そうした機会をただこなすのではなく自分の成長のために生かし、表現の幅を大きく広げてきたその姿勢には瞠目すべきものがある。もともとからの特長といえる芯のある力強さの上に、表情の柔軟さと多彩さを加味した最近の彼女の演奏は説得力に満ちており、今後のいっそうの成熟が楽しみでならない。』
上野 通明(チェロ)
経歴】2021年ジュネーヴ国際音楽コンクール・チェロ部門日本人初の優勝。その他13歳で若い音楽家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクール日本人初の優勝、ヨハネス・ブラームス国際コンクール優勝など、国際舞台で次々と活躍し話題となる。オランダの名チェリスト、ピーター・ウィスペルウェイ氏に招かれ19歳で渡独。現在エリザベート王妃音楽院にてゲーリー・ホフマン氏にも師事。第31回出光音楽賞受賞。使用楽器は1758年製P.A.Testore(宗次コレクション)、弓は匿名のコレクターよりF.Tourteをそれぞれ貸与されている。
選評:寺西 基之(音楽評論家)
『上野通明さんの演奏に初めて接したのはもう10年くらい前のことになるが、鮮やかな技巧はもちろんのこと、その表現の豊かさは大器の素質を感じさせるものだった。そしてここ数年の彼は、まさに大器がすっかり花開いたといえるように、音楽にさらに奥行きと深みが加わり、そのため2021年に難関であるジュネーヴ国際コンクールに日本人として初めて優勝したという快挙のニュースに接した際も、彼ならばさもありなんという思いで受けとめたものだ。最近の録音であるバッハの無伴奏チェロ組曲のCDを聴いても、確かな造型のうちに即興風の趣も交え、雄弁な力強さの一方で軽やかな動きや陰影の濃やかさに事欠かず、自然な流れのうちに多様な表情を生み出した名演で、その確信に満ちたアプローチには彼が若くしてすでに自身の音楽観をしっかりと確立していることが見てとれる。この上にさらにどのように自らの音楽を究めていくのか、今後の彼の活動からは目が離せない。』
■メセナ活動とThe Okura Tokyo Cultural Fundについて
当社は創業以来、世界に誇る日本の国際ホテルを目指し、ホテル事業の特性である公共性を活かした「音楽」「美術」「国際交流」を柱に芸術・文化の支援活動を行っています。
創業55周年を迎えた2017年には、豊かな未来の創造力をつくる企業メセナ活動を目指し「Hotel Okura Tokyo Cultural Fund」(2019年オークラ東京開業時に名称変更)を設立し、子供達の芸術・文化活動を中心に、これまで11件の助成を行っています。「オークラ音楽賞」や創業25周年にスタートした毎月25日に開催する「ロビーコンサート25」会場内における募金も当ファンドの重要な一部になっております。
こうした活動が高く評価され、2021年には「オークラ音楽賞」と「ロビーコンサート25」は公益社団法人企業メセナ協議会が主催する「メセナアワード2021」において、優秀賞を受賞しました。
<参考>ホテルオークラ音楽賞 歴代受賞者
第1回 (1996年度)矢部 達哉(ヴァイオリン)、緑川 まり(声楽/ソプラノ)
第2回 (2000年度)阪 哲朗(指揮)、佐々木 典子(声楽/ソプラノ)
第3回 (2001年度)徳永 二男(ヴァイオリン)、森 麻季(声楽/ソプラノ)
第4回 (2002年度)上岡 敏之(指揮)、高橋 薫子(声楽/ソプラノ)
第5回 (2003年度)小川 典子(ピアノ)、林 美智子(声楽/メゾソプラノ)
第6回 (2004年度)若林 顕(ピアノ)、大萩 康司(ギター)
第7回 (2005年度)小山 実稚恵(ピアノ)、アントネッロ(古楽アンサンブル)
第8回 (2006年度)庄司 紗矢香(ヴァイオリン)、小菅 優(ピアノ)
第9回 (2007年度)村冶 佳織(ギター)、佐藤 俊介(ヴァイオリン)
第10回(2008年度)神尾 真由子(ヴァイオリン)、田村 響(ピアノ)
第11回(2009年度)辻井 伸行(ピアノ)、南 紫音(ヴァイオリン)
第12回(2010年度)金子 三勇士(ピアノ)、松田 理奈(ヴァイオリン)
第13回(2011年度)宮田 大(チェロ)、萩原 麻未(ピアノ)
第14回(2012年度)河村 尚子(ピアノ)、横坂 源(チェロ)
第15回(2013年度)成田 達輝(ヴァイオリン)、三浦 文彰(ヴァイオリン)
第16回(2014年度)郷古 廉(ヴァイオリン)、クァルテット・エクセルシオ(弦楽四重奏)
第17回(2015年度)崔 文洙(ヴァイオリン)、上野 星矢(フルート)
第18回(2016年度)新倉 瞳(チェロ)、鈴木 優人(指揮・作曲・ヒ゜アノ・チェンハ゛ロ・オルカ゛ン)
第19回(2017年度)毛利 文香(ヴァイオリン)、山根 一仁(ヴァイオリン)
第20回(2018年度)小林 沙羅(ソプラノ)、岡本 侑也(チェロ)
第21回(2019年度)藤田 真央(ピアノ)、服部 百音(ヴァイオリン)
第22回(2020年度)葵トリオ(ピアノ三重奏)、カルテット・アマービレ(弦楽四重奏)
第23回(2021年度)上村 文乃(チェロ)、田原 綾子(ヴィオラ)
■オークラ東京について
グループの旗艦ホテルとなるラグジュアリーブランドとして 2019年9月に開業。世界に通じるもてなしの心はそのままに、日本の伝統文化や歴史的要素をまとうグループ最上位ブランド「オークラ ヘリテージ」と、海外を中心に展開し、都市の躍動感と高機能で現代のニーズを取り込んだ「オークラ プレステージ」の2棟から構成され、敷地の約半分を占める広大なオークラ庭園では四季折々の風情を感じていただけます。総客室508室。5つのレストランと2つのバー、約2,000㎡の平安の間を含む19の宴会場、茶室、囲碁サロン、そしてオークラ フィットネス&スパを兼ね備える。また、ホテル正面玄関前には、現存する日本で最古の私立美術館である大倉集古館が位置し来館者、宿泊者により豊かな時間を提供しています。
世界的なホテルランキングを発表する「コンデナスト・トラベラー リーダーズ・チョイス・アワード2022」において、2年連続日本のトップホテル部門で第2位、東京では第1位のホテルとして評価を受けたことに次ぎ、ホスピタリティを格付けする世界有数のトラベルガイド『フォーブス・トラベルガイド2023』のホテル部門において、最高評価である「5つ星」を獲得し、5 つ星ラグジュアリーホテルとして認定されました。