知床半島を含む道東の大自然のもと、ジャガイモ・トウモロコシの収穫や新巻鮭づくりなどの「体験型修学旅行」を実施しました。
東京農業大学第三高等学校附属中学校(埼玉県東松山市)は、2023年9月25日(月)から28日(木)まで3泊4日の日程にて、3年生の「北海道修学旅行」を実施しました。行き先となった道東地域は、網走市に東京農業大学北海道オホーツクキャンパスが設置されていることもあり、農大三中の生徒たちにとってはゆかりの地です。4日間の日程では、大学の見学に始まり、同じ網走市内の大曲湖畔園地にてジャガイモやトウモロコシの収穫を体験しました。知床ではオシンコシンの滝や知床五湖を見学し、ナイトネイチャーウォッチングにも参加。釧路湿原ではカヌーを体験し、野生のシカやキタキツネに遭遇するなど、まさに大自然を満喫する内容となりました。また、標津町にて北方四島の元島民の方の講話を聴いたり、阿寒湖アイヌコタンでは古式舞踊の見学や、「ムックリ」という楽器の演奏を体験したりと、歴史や文化についても見識を広めることができました。
中でも、「水産加工体験」のプログラムは、鮭の生態について、実際に見て、触れて、体験して、気づきを得て学ぶといった、農大三中の実学教育を象徴するような内容でした。鮭は、川で孵化して約2か月の稚魚の期間を終えると、海で3~5年間を過ごし、秋から冬の時期に故郷の川を遡上、産卵して一生を終えます。2日目に、知床半島の遠音別(オンネベツ)川で鮭の遡上を観察した生徒たちは、川面が黒く見えるほどの鮭の数とその迫力に驚き、川の流れに逆らいながら命を懸けて泳ぐ姿に感動している様子でした。
3日目の午前中は、標津町で水揚げされた新鮮な鮭を一人一匹使用し、新巻鮭を作りました。実際に鮭の鰓を取り、腹を裂いて内臓を取り除く作業に心を痛める生徒もいましたが、全員が鮭を捌き、塩をすり込みました。仕上がった新巻鮭は数日間熟成され、修学旅行終了後に自宅に送られます。加工体験を終えた生徒たちからは、「北海道らしい貴重な体験ができた」「生きている鮭を見てから加工したことで、より一層命の大切さを感じた」「いただきますという言葉の意味を改めて考えさせられた。鮭が届いたら美味しく食べたい」といった声が寄せられました。この日の午後には、標津サーモン博物館も訪問して、鮭についての学びを深めました。
引率した学年主任の松吉杏佳教諭は、「事前学習から興味を持った分野について深く調べてきていたので、北海道での様々な体験から一人ひとりが五感で何かを感じ、将来に繋がるような探究的な学びになっていると嬉しいですね。この学年は、コロナ禍で制限が多かったため、中学校生活において修学旅行が最初で最後の、学年全員で宿泊を伴う行事となりました。実行委員を中心に、全員が係活動を全うし、集団生活の中、自分たちで考えて行動できたことに大きな成長を感じました」と笑顔で話してくれました。
取材:学校法人東京農業大学 初等中等教育部(TEL:03-5477-2391)